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食品仲卸業界のDX〜取り組み事例と日本のDX補助金制度〜

  • 2021年1月14日
  • 読了時間: 8分

更新日:2月5日

近年、多くの企業がイノベーションやデジタルテクノロジーを駆使して、既存製品の付加価値を再構築したり、蓄積したデータをもとに新規事業の立ち上げを行なっています。


数あるビジネストレンドの中でも、世界中で注目を浴びるのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。


本記事では、様々ある業種の中で生鮮食品の仲卸業にフォーカスをあて、DXを推進する必要性や具体的な取り組み事例、さらに日本のDX補助金制度について解説します。


<目次>

生鮮食品の仲卸業におけるDXとその背景

DX(デジタルトランスフォーメーション)には様々な考え方がありますが、簡単に言うと、「顧客や社会のニーズを基に、ITやデジタル技術を駆使して、ビジネスモデルや企業風土を変革していくこと」と言えます。

では生鮮食品の仲卸業におけるDXとは一体何を指しているのでしょうか。 以下では、生鮮食品の仲卸業におけるDXと小売業全体が抱える課題やニーズの変化からDXの必要性について解説します。

生鮮仲卸でのDXとは?

まず初めに、生鮮仲卸業にDXを導入することで期待できる効果として下記が挙げられます。

  • 蓄積したデータを分析/可視化することによる業務の属人化の解消と省人化の実現

  • システム一元化による入出荷業務のスピードアップ

  • ロボットやAI、IoTを活用することで人手(労働力)不足の解消

  • 生産現場・行政・流通・小売が一体化することによる新たなエコシステムの構築

今後、生鮮仲卸業を成長産業に引き上げるためには、従来の生鮮仲卸のビジネスモデルを見直すだけでなく、大小問わず様々なプロセスにデジタル化を推進することが求められています。 生鮮仲卸においてのDX推進は、将来的に現場と行政、さらには流通や小売といった食品仲卸に携わる部門をシームレスに繋げることで、データやリソースを最大限活用して、従来の付加価値を再構築することや業務の効率化を図ることに繋がります。そうすることで、生鮮仲卸や農業界全体の活性化や利益率の改善、労働力不足の解消といった課題を解決することが可能になります。

小売業のニーズの変化

現在、小売業全体が抱える課題は多様化の一途を辿っています。例えば、人口動態の変化による消費者ニーズの多様化、トレンドの高速化、異業種参入による競争激化、オペレーションの複雑化、業務の効率化やコスト削減などの意識改革、アイテム数の増大による在庫管理の煩雑さなどが挙げられます。 これらの課題やニーズの変化に対応するために、多くの小売業ではリアルタイムでの売上や在庫・発注などの管理体制の構築をはじめ、顧客管理システムやデジタルマーケティングを導入することで、より高品質かつ価値のある商品やサービスの提供を実現しています。 生鮮食品を扱う小売業では、すでにデジタル化が加速しDXが推進されていると言えるでしょう。したがって、今後は小売業と紐づく、仲卸業界や農家においても、持続的な成長を促すためにDXの推進は必要不可欠と言えます。


生鮮食品の仲卸業におけるDXの取り組み

DXを実現することでどのような効果が得られるのでしょうか。ここからは、生鮮食品の仲卸業におけるDXの具体的な取り組み事例を挙げながらご紹介していきます。


入出荷管理・販売受発注管理のシステム化

生鮮食品の仲卸業におけるDXの事例の一つとして、入出荷管理・販売受発注管理のシステム化が挙げられます。 従来の業務では、入出荷管理や販売受注管理は電話やFAX等でやりとりが主とされており、基本的には紙などアナログな手法で管理されることが一般的でした。これらの入出荷管理や販売受注管理業務をシステム化することで、情報をリアルタイムに入手し、データとして細かく管理することで、適正な在庫管理が行えたり、納品書の作成等、事務作業を大幅に軽減することが可能となります。また、将来的には、業務情報をデータとして蓄積・分析することで、的確な売上予測やリスク管理を行えるようになります。その結果、関連する部門や企業で情報共有を行うことでシームレスな業務が可能となり、より一層の業務効率化に繋がるケースも出てくることでしょう。

人と車両の動態管理

DXの一環として、市場や倉庫などに点在する人や車両(フォークリフトやトラック等)の動態管理をすることで、作業の効率化やランニングコストの削減につなげる取り組みも行われています。 従来の人や車両の動態管理は、人による目視での管理が行われていたため、危険エリアへの立ち入りなどから生まれる事故や、広い敷地内でのコミュニケーションロスによる作業の無駄を知らぬ間に生み出していました。しかし、IoTやデータの分析によって、人の行動ルートの可視化や車両の稼働状況・動線把握を行うことで、作業の効率化や稼働率の向上によって生産性を高めることが可能です。



BtoB、D2Cのプラットフォームによる流通販路の拡大

食品仲卸業が抱える課題の一つに、消費者ニーズの多様化によって、さらなる流通経路の拡大が必要とされています。 これまでの販路や大口顧客が大半を占める既存の流通経路のみではなく、これまで未開拓とされてきたBtoBや*D2Cに対するプラットフォームの拡充です。


D2Cとは、メーカーやブランドが自社企画した商品を、既存の流通経路を介さずに、自社独自のECサイトで消費者に直接販売する形態を指します。

DXによってBtoB並びにD2Cの販路拡大を図ることで、過去のデータや市況価格に応じて最適な物流ルートでの販売が可能となり、食品ロスを軽減させることに繋がります。 また、販路の多様化を図ることで、生産者と買い手が直接繋がるだけでなく、これまで取り込むことが難しかった小口ニーズへの対応や小規模産地の良品配送などが可能となりビジネスの幅も広がりやすくなります。経時変化が激しい環境下でも安定的かつ合理的に供給できるため、機会損失を生み出すことなく商品を提供することができます。


日本のDX補助金制度

最後に紹介するのは、食品卸売業に携わる人たちに役立つ国内の補助金制度の紹介です。 農水産業界に対する国からの支援にはどのようなものがあるのか、また、2020年6月21日に施行された新たな卸売市場法によってどのような影響があるのかを解説していきます。

農水産業界向けの補助金制度

現在、農林水産省をはじめとする各省庁では、企業や産業にDXを推進させることを目的として様々な支援制度や補助金を出しています。ここでは、最近話題となっている制度をいくつかご紹介します。

経済産業省

中小規模の事業者向けに先端ICTの活用を促し、ビジネスの高度化を図ることを目的としている事業です。

中小サービス業などが既存のITツールを連携・統合させるシステムを導入する際の費用を支援する制度です。

農林水産省

酪農家や肉用牛農家の労働負担軽減・省力化に対する先端技術の導入、ビッグデータ構築の取組みに対する支援を行う制度です。

漁業所得の向上を目的として、コスト削減や作業の軽労化等、水産業のスマート化を推進する取り組みを支援しています。

持続的生産に向けた産地の課題解決を図るため、ロボットやAI、IoTなどの先端技術を組み合わせた新たな営農技術体系を検討する取組みを支援する事業です。 上記以外にも、各省庁ではDXの推進を目的とする取組みに対して、様々な補助金を出しています。農林水産業および食品仲卸に携わる人で今後DXの導入を検討される場合は一度、農林水産省をはじめ、関連する省庁の公式サイトを見るようにしましょう。

卸売市場法の改正で注目すべきポイント

2020年6月21日より、食品生産や流通の合理化や円滑化、取引の適正化を図ることを目的として卸売市場法が大幅に改正されました。今回の法律改正では、農林漁業者の所得向上を図るとともに、食品流通の構造改革によって卸売業者及び仲卸売業者の利益の最大化やコスト削減が期待されます。 その中でも、今回の改正で注目すべきポイントと言えるのが「第三者への販売禁止の廃止」です。 これにより、今後は市場内の仲卸業者や売買参加者以外にも販売経路を拡大させることが可能になります。したがって、従来であれば間接的にしか購入できなかった商品を直接仕入れることができるため、飲食店や小売店の仕入れコストの削減や価格競争力の向上が図れるため、食品流通の競争を促すことに寄与します。 今回の法改正によって、卸売業者及び仲卸売業者を取り巻く環境は変化することが予想され、利益の最大化やコスト削減を目的としたDXが促進することも期待されています。


まとめ

本記事では、農業や水産業など一次産業に関わる人や生鮮食品の卸売に携わる人に対してDXの必要性について解説してきました。 現段階では、DXをはじめデジタル化の推進や、生産性向上やコスト削減に寄与するソリューションの活用に遅れをとっているものの、今後これらのテクノロジーを駆使することは不可欠と言えるでしょう。また今回の法改正を起点として、「アナログからデジタル」への動きはますます加速することが予想されます。 DXが必要とされる背景や可能な業務領域を事前に知ることで、今後のテクノロジーの波に乗り遅れないようにすることが今後の成長に役立つ第一歩ではないでしょうか。


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