
2022年12月に公開された「Perplexity」は、いま注目されている対話型AI検索エンジンです。
Perplexityはリアルタイム情報の提供に優れ、信頼性も高いとされていることもあり、ビジネス分野での活用が増えてきました。
Perplexityは従来の検索エンジンとは若干イメージが異なり、ChatGPTやCopilotなどと同様に対話形式で解答を生成するため、使い勝手や回答のイメージは、検索エンジンというよりも生成AIに近いかもしれません。
一方で、ChatGPTやCopilot、Gemini、Claudeなどの有名な生成AIツールと比較すると、Perplexityはまだまだ知名度が低く、一般的な利用者も少ない状況です。
そこで本記事では、Perplexityとはどのような特徴のあるツールなのか、ChatGPTなどの生成AIとはどのような違いがあるのかを詳しく解説します。
生成AI関連に関心のある企業担当者にはぜひ読んでいただき、企業での業務効率の向上に活用してみてください。
<目次>
Perplexityの主な機能6つを詳しく紹介
・リアルタイム情報の提供
・Pro版では複数のAIモデルを利用可能
・出典が明記される
・モード選択によって検索範囲を絞れる
・モバイルアプリでスマホ利用が可能
・ファイルアップロード機能
Perplexityの料金プラン
・日常的な調べ物なら「無料プラン」で十分可能
・高度やドキュメント化するなら「有料プラン」
AIを活用した新たな検索体験『Perplexity』とは?
Perplexityは、最先端の自然言語処理と機械学習技術を駆使した対話型のAI検索エンジンで、AIスタートアップ企業の『Perplexity AI, Inc.』により2022年に公開されました。
Perplexityは、ユーザーが入力した質問に対し、インターネット上の情報を収集・要約し、出典を明示した上で自然な文章で回答を生成するサービスです。
従来の検索エンジンが提供するリンク一覧から情報を探し出す手間を軽減し、より迅速かつ的確に情報を提供するニーズを満たしたサービスと言えます。Perplexityは、AI技術を活用してユーザーの質問に直接回答を提示し、情報収集の効率化を図っています。
Perplexityは、無料プランと有料プラン(Perplexity Pro)の2種類を提供していますが、無料プランでも日常の検索には十分利用できるレベルである点が大きな特徴です。
日本においては、2024年6月17日にソフトバンク株式会社との提携が発表され、一躍脚光を浴びました。2025年1月現在も、ソフトバンクでは有料プランのPerplexity Proを無料で利用できるキャンペーンを行っています。
Perplexityの主な機能6つを詳しく紹介
Perplexityの主な機能は以下の6つです。
- リアルタイム情報の提供
- 複数のAIモデルの利用
- 出典が明記される
- 検索範囲を絞れる
- モバイルアプリでスマホ利用が可能
- ファイルアップロード機能
それぞれ詳しく解説します。
リアルタイム情報の提供
Perplexityのもっとも大きな特徴が、リアルタイム情報の提供です。リアルタイム情報を提供できる生成AIはまだ少ないため、Perplexityがほかの生成AIと一線を画しています。
Perplexityはインターネット上にある最新データの収集と解析が可能です。したがって、常に最新のデータから回答を生成できます。
じつは、ブラウジング機能を備えている従来のAI検索エンジンは多くありません。したがってインターネット上に豊富な情報があっても、リアルタイムで回答を生成できない状況です。一方、Perplexityはブラウジング機能を備えているため、最新の情報から直接的に回答を生成できます。
Perplexityを活用すれば、ユーザーは複数のWebサイトを読み込む必要が無くなり、大幅な時間短縮が可能です。
最新のデータを取り扱うことで、政治のトレンドニュースや市場動向に関する質問、論文などの最新情報を重要視するような文書作成などに最適でしょう。
Pro版では複数のAIモデルを利用可能
Perplexityには、有料プランのPro版でのみ利用できる機能があります。有料プランのみ利用できる機能の一つが、1つのプラットフォームで複数の高度なAIモデルを利用できるものです。
利用できるAIモデルは以下の3種類で、必要に応じてAIモデルを使い分けられます。
- GPT-4:言語AIモデル
- Claude 2.1:言語AIモデル
- DALL-E3:画像生成AIモデル
複数のAIモデルを利用することで、多くのメリットが得られます。主なメリットは、以下のとおりです。
- さまざまな視点から情報を収集できる
- 回答の精度が向上する
- 情報の信頼性が高まる
2025年1月現在、Perplexity以外に複数のAIモデルを利用できるサービスはありません。
出典が明記される
Perplexityで出力された生成物は信頼性が高く、ファクトチェックにも有効です。その理由は、回答を生成する際に利用した出典を明確に「ソース」として表示する点にあります。
Perplexityは従来の生成AIとは異なり、「回答」の前に「ソース」の項目が表示される仕組みです。ソースとして表示された項目は、クリックすると別ウィンドウでウェブページが表示されます。
Perplexityが重視したのは、情報の透明性です。従来の生成AIでは、出力された回答の正確性に疑問を抱いても、真偽の確認に時間を要しました。一方でPerplexityは出典の情報を明示し、回答の真偽を簡単に確認できます。
また、Perplexityが出力するのは出典のソースだけではありません。出力する際には、関連する質問として「Related」がアウトプットされます。Related機能は、さらに詳しいリサーチを行う場合に有効です。
モード選択によって検索範囲を絞れる
Perplexityは6種類のモードが有り、各モードに実装されているフォーカス機能によって検索範囲やテーマの絞り込みが可能です。
各モードの概要を表に示します。
モード | 概要 |
ウェブ(ALLモード) | 絞り込みを行わずインターネット全体から情報を収集する |
作成(文章生成モード) | チャット形式で文章を生成 |
学術(学術論文モード) | ・論文サイトから回答を生成 ・専門知識の収集に最適 |
数学(計算モード) | 数値やデータをもとにAIが計算 |
ビデオ(動画モード) | YouTubeを中心とした動画で回答を生成 |
ソーシャル(コミュニティモード) | 議論が行われているサイト(SNSやブログなど)から、さまざまな意見や考察を生成 |
6種類のモードを使い分け、検索範囲を絞り込むことで以下のようなメリットが得られます。
- 不要な情報を排除できる
- 専門性の必要な分野でも信頼性の高いリサーチが可能
- さまざまな分野や情報源に特化した検索が可能
上記のモードは、とくに学術研究や市場調査などにおいて力を発揮します。
モバイルアプリでスマホ利用が可能
多くの生成AIサービスはブラウザ上で利用しなければなりませんが、Perplexityはモバイルアプリが用意されているため、スマートフォンでもすぐに利用できます。モバイルアプリを利用すれば、わざわざブラウザを開く必要がありません。
モバイルアプリはAndroid版とiOS版があり、さまざまなデバイスで利用可能です。また、従来の検索エンジンよりも直感的な操作性となっており、音声入力や画像検索にも対応しています。
ただし、モバイルアプリからは無料プランから有料プランへのアップグレードができません。したがって、アップグレードする際にはブラウザ版で利用する必要があります。
また、ソフトバンクユーザーは1年間無料でPro版の利用が可能(※2025年1月現在)となっているので、ソフトバンクユーザーにはモバイルアプリの利用がおすすめです。
ファイルアップロード機能
Perplexityにはアップロード機能があり、プレーンテキストやプログラムコード、PDF形式のファイルをアップロードできます。ファイルのアップロード機能を活用すれば、PDFの要約やコードの説明文などが生成可能です。
現在は画像や動画などをアップロードできませんが、将来的には対応予定です。
ただし、現状ではファイルサイズの上限が25 MBまでとなっているため、大きな容量のファイルは利用できません。また、一度にアップロードできるファイルについても、最大で4個までの制限があり注意が必要です。
また、Perplexityのモバイルアプリにはファイルアップロード機能が搭載されていないため、アップロード機能を利用するにはブラウザ版を利用しなければなりません。
ファイルアップロードについてはセキュリティ面の不安が懸念されますが、Perplexityにアップロードしたファイルはプライベート状態のままとなっているため安心です。
Perplexityの料金プラン
Perplexityの料金プランは、以下の2種類があります。
プラン | 料金 |
無料プラン | 無料 |
有料プラン(Pro) | 月額20ドル(約3,000円) 年払い200ドル(約30,000円) |
それぞれのプラン内容について詳しく解説します。
日常的な調べ物なら「無料プラン」で十分可能
Perplexityの無料プランは、完全無料で基本的なリサーチ機能の利用が可能です。無料プランは制限が大きなイメージがあるかもしれませんが、Perplexityの無料プランは日常的な調べ物程度ならまったく問題なく利用できます。
無料プランで利用できない主な機能は以下のとおりです。
- Pagesの利用
- 高性能AIモデルの利用
- 画像生成機能
- 1日4回以上のファイルアップロード
- Discordコミュニティへの参加
- 優先サポートの利用
なかでも大きいのは、Pagesの利用と高性能AIモデルの利用に制限がある点です。
Perplexityは情報をまとめてドキュメント化するPages機能がありますが、無料プランでは利用できません。
また、GPT-4、Claude 3、DALL-E 3などの高性能モデルも使用できないため、より高度で多角的な検索を行うには有料プランへのグレードアップが必要です。無料プランで満足できない場合には、有料プランを利用してください。
高度やドキュメント化するなら「有料プラン」
Perplexityの有料プラン「Perplexity Pro」は、月額20ドルまたは年払い200ドルで利用できます。年払いでの利用は40ドル(約6,000円)も安く利用できるため、長く利用したい場合には年払いがおすすめです。
有料プランでは、以下のような機能が利用できます。
- 複数の高性能AIモデル(GPT-4、Claude 3、DALL-E 3)の利用
- Pro Search(対話型の高度な検索)を1日300回以上使用可能
- 画像生成機能
- 動画生成機能
- PDFや画像のアップロードが無制限
- GPT-4の利用が1日600回まで実質無制限
- Discordコミュニティへの参加
- 優先サポート
- Pages
- 翻訳機能
基本的な機能は無料プランでも利用できますが、有料プランにアップグレードすることで検索速度や精度が格段に向上します。情報収集を効率的に行いたい場合には、有料プランの利用がおすすめです。
PerplexityとChatGPTとの主な相違点
Perplexityはほかの生成AIサービスとはさまざまな点が異なります。ここでは、代表的なモデルであるChatGPTと比較してみましょう。
PerplexityとChatGPTは、どちらも対話型AIモデルとして多くのユーザーに利用されているサービスですが、多くの相違点があります。以下の表にPerplexityとChatGPTとの主な相違点を表にまとめました。
項目 | Perplexity | ChatGPT |
データ収集方法 | 検索に特化 | 汎用的な対話型AI |
生成方法 | インターネット上の最新情報を提供 | 学習済みデータに基づく回答 |
情報源 | 出典を明示 | 情報源を明示しないことが多い |
利用可能モデル | Proプランは複数のAIモデルを使用可能
・GPT-4 |
GPT-4が利用可能 |
機能 | ・無制限のファイルアップロード ・画像生成機能 ・APIアクセス |
テキスト生成と対話機能の強化 |
料金 | ・Proプラン:月額$20(年契約$200) ・無料プランは機能制限あり |
・Plusプラン:月額$20 ・無料プランはGPT-4の利用が制限される |
PerplexityとChatGPTには上記のような多くの相違点がありますが、ここではデータの収集方法と情報の正確性について詳しく解説しましょう。
データの収集方法
PerplexityとChatGPTの最大の相違点は、データの収集方法です。
Perplexityは検索エンジンとしての機能に特化しています。一方、ChatGPTは文書作成など幅広いタスクに対応している点が大きな特徴です。
前述したように、Perplexityはインターネット上にある最新情報を取得して解析し、質問に対する回答を生成します。一方でChatGPTは、主にデータセットで学習した知識を基にテキストを元にして回答を生成するため、最新の情報とは限りません。
しかし、2024年10月にChatGPTにもウェブブラウジング機能が追加されたことにより、Perplexityとの差は徐々に小さくなってきています。
情報の正確性はPerplexityの方が優位
情報の正確性においては、ChatGPTよりもPerplexityの方が優れています。繰り返しになりますが、Perplexityの特徴は最新のウェブデータを参照し、ソースとして情報源を明示する点です。
一方でChatGPTは学習済みデータを元に回答を生成し、情報源の明示を行わないことがあります。したがって、回答の根拠が明確か否かの判断ができません。また、最新の情報と以前の情報が異なっている場合には、古い情報を提示する可能性もあります。
Perplexity Proが複数のAIモデルを利用できる点も大きなメリットです。ChatGPTと比較すると、多角的な視点で判断した結果を回答として生成できます。
したがって、ChatGPTよりもPerplexityで生成した回答の方が信頼性の高い情報といえます。
Perplexity AIを使う際の6つの注意点
Perplexity AIを使う際には、いくつかの注意点があります。主な注意点は以下の6点です。
- 日本語の不自然さに注意
Perplexityは最先端の自然言語処理技術を使用しており、日本語を含む複数の言語に対応しています。しかし、日本語での回答においては、文法が不自然であったりわかりづらい言い回しであったりする場合があります。 - 多言語での検索の推奨
Perplexityは、日本語での検索と英語での検索では回答が異なる場合があります。したがって、日本語だけでなく、英語やほかの言語でも検索するのがおすすめです。より正確で詳細な情報を得たい場合には試してみてください。 - プロンプトによって回答が異なる
Perplexityに限らず、生成AIではプロンプトによって回答の精度が大きくことなります。具体的で明確な質問でなければなりません。 - 生成された情報が100%正確とはいえない
Perplexityは信頼性の高いサービスです。しかし、提供する情報が必ずしも正確であるとは限りません。とくに重要な情報については、情報を精査する必要があります。 - 対話形式を活用して深堀りする
Perplexityは対話を続けることで情報を深掘りできます。一度の質問で満足できる回答が得られない場合は、回答時に表示される「Related」を参考にしたり、質問を変更したりしてみてください。 - プライバシーへの配慮
Perplexityに提供された情報は回答作成以外に使用されることはありません。しかしながら、個人情報や機密情報を含む質問をする際は注意が必要です。公開してもよい情報を取り扱うようにしましょう。また、著作権の取り扱いに関しても注意が必要です。
まとめ〜信頼性を求めるならPerplexity AIがおすすめ〜
本記事では、Perplexityとはどのようなサービスなのかを詳しく解説しました。
Perplexityは2022年に公開された革新的な対話型検索エンジンで、より迅速かつ的確に情報を提供することで情報収集の効率化が図れるサービスです。生成AIサービスの1つで、情報収集にも幅広く活用されているChatGPTと比較しても優れた面が多く、情報の正確性や最新情報を提供できる点においてはとくに優れています。
Perplexityには無料プランと有料プランがありますが、日常的な調べ物の場合には無料プランでも十分利用価値はあるでしょう。ただし、無料プランは機能の制限があるため、満足できないと感じたら有料プランへのアップグレードがおすすめです。
ビジネスに活用するという観点で考えた場合、ほかの生成AIよりも信頼性が高く最新情報が網羅されているPerplexityの利用をおすすめします。