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スマートシティとは?次世代の街を実現させる技術と国内事例

  • 2021年1月15日
  • 読了時間: 9分

更新日:2月4日




環境問題やエネルギー不足、大都市への人口集中と地方の過疎化、超高齢化や人口減少、インフラの老朽化など、現在様々な社会問題が切実な課題として捉えられています。


そしてこれらの課題を解決しようと、「スマートシティ」の開発が活発化してきています。

本記事では、スマートシティとは何か、具体的にはどのような取り組みが行われていて、どのような技術が必要とされるのかについて、国内事例を交えながら解説していきます。


<目次>



スマートシティとは

「スマート家電」「スマートホーム」「スマートシティ」など、最近は何かと「スマート」の付く用語が多くなっています。ここで使われる「スマート(smart)」は、「賢い」という意味です。テクノロジーが発達し、今では家電も家もさらには都市までもが、賢さを求められているのです。 そんなスマート群の中でここ1〜2年話題となってきているのが、「スマートシティ」。詳しくは後述しますが、スマートシティの意味合いは少しずつ変遷してきています。厳密には変遷しているというよりは範囲が拡大して注目されるポイントが変わってきているのですが、10年前と今とでは、スマートシティの概念や実現に向けた動きはかなり異なっているのです。


スマートシティの定義

スマートシティは端的に言うと、ICTを有効活用した先端都市のことです。 スマートシティの定義は解説元によって多少異なることがありますが、都市のインフラ管理や運用を効率的に行うためにITを活用するという点では共通しています。そうすることで、地球環境に配慮しながら人々の暮らしをより良くすることを目指しています。


スマートシティのこれまでの動向

スマートシティの考え方は、2009年にアムステルダム・スマート・シティ(ASC)の動きが始まったことをきっかけに注目され、世界中に広がりました。この頃のスマートシティ構想は、エネルギー消費の最適化・効率化やCO2排出量の削減を目指していて、交通や生活・商業エネルギーの課題解決がメインでした。今思い返してみるとそういえば10年ほど前のスマートシティはそんな感じだったな、と記憶されている方も多いのではないでしょうか。 2013年頃には環境問題に加え、健康医療や防災、公共サービス、産業創造といった分野の活動が活発化していきます。スマートシティの主人公は結局のところ、その街に住む人やその街を利用する人々である点が強調されるようになり、生活者にとっての利便性や街全体としての魅力が追求されるようになります。 このようにして、当初各分野ごとに分断して行われていた課題解決が、次第に生活者視点または都市全体視点での課題解決へと移りわっていき、分野横断型の取り組みが必要とされる今に至りました。つまり、都市の中のあらゆるデータが収集・統合され、システムが接続され、その全てのシステムが連携し制御できることが、スマートシティの質を向上させるために欠かせないと言われているのです。 最近では、昨年8月に国土交通省が「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立したり、グローバルレベルでは10月に世界経済フォーラムが「G20グローバル・スマートシティ・アライアンス」を設立するなど、いよいよ分野横断型の活動が本格化してきています。


スマートシティ実現に必要とされる5つの技術

スマートシティを実現させるには、様々なプレイヤーがそれぞれの強みを生かして連携していく必要があります。では、具体的にスマートシティでどのような技術が使われるのでしょうか。 細かく見ていくと様々なものがあるので、ここではわかりやすく5つに分類していきます。事象をデータとして捉える「センシング技術」、そのデータを送信する「通信技術」、データを処理する「データ技術」、処理したデータを人に見え やすくする「可視化技術」、そして様々な作業を自動的に行わせる「自動化技術」です。 詳しくそれぞれを見ていきましょう。

センシング技術

センシング技術とは、専用のセンサー(感知器)を使って事象や状態を計測、数値化する技術です。 例えば、気温を知るためには温度計を使いますが、この温度計が大気の温度を感知し、計測し、数値化してくれて初めて「今この部屋の気温は26℃」といった具合に気温を把握できるのです。同様に、湿度や気圧、音量、明るさなど、「状態」を把握するには、専用のセンシング技術を使うことで、その時その場の状態を数値として捉えることができるのです。また、状態以外にも、衝撃や動きなどの「事象」もセンシング技術で数値化することができます。

通信技術

次に必要とされるのが、通信技術です。最近では5Gが出てきて話題にもなっていますが、様々なセンサーで取得したデータをしかるべきところに送ったり、センサーや機器に対する制御情報を伝達したりするのが、この通信技術です。5Gは今までの通信技術よりスペックが高くなったもので、データ送受信量が増え、速度が速くなり、同時に接続できる端末数が増えた通信規格です。 スマートシティではIoT化、つまりあらゆるものがインターネット接続されたり相互通信できる状態が必要なので、この通信技術なしでは何も起こらないのです。


データ技術

センサーで取得できたデータ、あらゆる方向から収集したデータの数々は、単体ではあまり使えません。そこで必要なのが、これらのデータを「料理」する技術です。 ビッグデータとも呼ばれる大量のデータを蓄積し、様々な観点で分析し、何かしらの意味や解を見出して初めて「使えるデータ」となるのです。さらには、このプロセスを人の頭脳ではなく機械が行うのが人工知能(AI)です。AIはデータベースに蓄積された大量のデータを活用し、自らが考えているかのようなロジックでデータを引き出す、組み合わせる、再度蓄積する、といったことを行います。 AIの活用を含めてこのデータ技術プロセスはデータサイエンスと呼ばれ、これを専門とするデータサイエンティストが現在職業として確立されていることもご存知の方は多いことでしょう。それだけデータ技術は難易度が高く、しかしながらスマートシティのような大規模データを取り扱う場合には必要不可欠なのです。


可視化技術

使えるデータが出来上がったら、次にはそのデータを綺麗に整えます。データそのものは様々な形態をしていますが、いずれも単なる数値や事象の形なので、人が視覚的に理解・認識しやすいように整形する必要があるのです。わかりやすい例を挙げると、数値が単純に並んでいるよりも、その数値を元にしたグラフの方が数値自体の意味を感覚的に捉えやすいですよね。 可視化技術の最先端といえば、VR(Virtual Reality、仮想現実)、MR(Mixed Reality、複合現実)などがあります。仮想空間を作り出したり、現実空間に立体的なデジタル映像を組み合わせたりすることで、あたかもその空間に入り込んでいるかのような体験ができるというものです。


自動化技術

最後に、自動化する技術です。従来であれば人間が動かしていた機械は、前述の4つの技術が発展したことで自ら動くことができるようになっています。自動化されることにより、人の手間と時間がかからないという省人化が期待できることはもちろんのこと、人が行うと危険な作業も積極的に取り組むことができたり、人が行うよりも効率良くスピーディーに行うことができるようになります。 自動化技術の中でも現在の注目の的は、自動運転技術です。現在実用化の段階まで来ているものの、まだ完全無人化までは至っていないケースが多く、ハードルは高いと言わざるを得ません。というのも、安全性の確実な保証、社会の許容、コスト、などの面で課題が残っているからです。



今話題の国内スマートシティ事例

世界各所でスマートシティに向けての動きが始まっている中、日本国内ではどのようになっているのでしょうか。ここでは、国内のスマートシティの具体的な事例をご紹介していきます。

柏の葉スマートシティ (千葉県柏市)

柏の葉スマートシティでは 、「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」という3つのテーマを掲げ、それぞれ取り組みを行っています。 例えば健康への取り組みの一つとして、まちの健康研究所「あ・し・た」を設けて住民が無料で各種ヘルスケア機器を利用できるようにしています。他にも少し前に、生活リズムの見える化を図る実証実験が行われています。リストバンド型ライフレコーダーや通信機能付き体組成計などを参加モニターに無償配布し、健康データを集めて見える化し、専門家からのアドバイス提供や、利用者同士のコミュニティサポートが提供されました。 他にも、自動運転バスの営業運行の実証実験が行われていたり、パーソナルデータを含めた様々なデータの連携を促進する新たなプラットフォーム「Dot to Dot」の活用が開始されていたりと様々な動きを見せています。


スマートシティ会津若松(福島県会津若松市)

福島県会津若松市には、大手企業の生産拠点が存在し、ICT産業が活発となっています。そのような中、「スマートシティ会津若松」プロジェクトが2013年頃から始動しています。このプロジェクトでは3つの視点「地域活力の向上」「市民生活の利便性向上」「市民との情報共有の促進」を元に様々な取り組みが行われています。 そしてスマートシティを実現すべく、2019年4月に誕生したのが、ICT戦略拠点「スマートシティAiCT」です。その施設館内一部では、早くも5G対応が行われています。 他にも2020年には、幼稚園〜中学校や教育委員会の情報を一本化して配信する「あいづっこ」のアプリ版が提供開始されたり、会津若松市のオープンデータを利活用できる基盤として「DATA for CITIZEN」が本格稼働されるなどの動きがありました。


Fujisawa SST(神奈川県藤沢市)

Fujisawa SSTは、Fujisawaサスティナブル・スマートタウンの略で、神奈川県藤沢市と企業との官民一体の共同プロジェクトです。Fujisawa SSTの目標は、住人ひとりひとりのくらし起点の街づくりを実現することです。 一例として、すべての戸建住宅で太陽光発電システムと蓄電池を備えています。さらに、家庭が使用する電力をマネジメントする「スマートHEMS(ホームエ ネルギーマネジメントシステム)」を備え、家全体のエネルギー使用を最適にコントロールする取り組みも行われています。


まとめ

ここまで、スマートシティの変化や現状、具体的な国内事例などをご紹介しました。 当初のスマートシティは環境保護などスケールの大きい話が多かったのですが、現在はどちらかというと地域、人間一人一人に密着する形で、なおかつ最先端技術と組み合わせて目標設定されることが多くなっています。 今後も、技術中心で人々の暮らしを良くしていく、というスタンスは変わらないでしょう。課題は色々とあるものの、今後に期待したいものです。


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