アメリカで急速拡大!新たなコンビニ「Foxtrot」とそのビジネスポイント

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アメリカで事業拡大を続けているコンビニの「Foxtrot」が2020年2月5日に1700万ドル(約18億7000万円)の成長資金を調達し、再び注目を集めています。

Foxtrotは、コンビニの新たなビジネスモデルとして、Eコマースと実店舗を軸としたサービスで顧客の囲い込みに成功しています。

本記事では、日本のコンビニとFoxtrotのビジネスの特徴の違いと比較しながら、なぜFoxtrotがアメリカで成長しているのかを6つのビジネスポイントを元に解説していきます。

新しいコンビニの形を体現する「Foxtrot」

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Foxtrotは2013年にシカゴで誕生したコンビニで、オンラインならびにオフラインの両軸でコンビニ事業を行なっています。現在、実店舗はシカゴに7店舗、ダラスに2店舗あります。

先に述べたように2020年2月5日に1700万ドル(約18億7000万円)の成長資金を調達に成功し、今後約2年間でニューヨーク、マイアミ、ロサンゼルスなど全米に50店舗拡大することを発表したことで、再度アメリカでの注目されているニューリテール企業と言えるでしょう。

Foxtrotは、モバイルアプリを活用したオンラインショッピングと実店舗で買い物、両方が体験できることが大きな強みで、コンビニでは珍しいオムニチャネルを強化しています。創業当初は、オンラインショッピングのみで事業展開を行なっていましたが、2015年に1号店をオープンして以来、オンラインで取得した顧客情報を活用しながら実店舗経営にも生かしています。

また、Foxtrotはオンライン特化だけが他のコンビニとの差別化戦略ではなく、実店舗の運営でも他のコンビニとは差別化を図っています。実際顧客のニーズを的確に掴み、実店舗でも差別化することに成功しています。

補足説明:ニューリテールとは?

中国の世界的IT企業アリババ創業者のJack Ma氏より提唱された言葉です。
テクノロジーやデータを活用し、オンラインとオフラインをシームレスに融合させることで、新しいかつより満足度の高い顧客体験を創り出すためのビジネスモデルのことを指します。

Foxtrotの注目のビジネスポイント6選

本章では、Foxtrotが注目され、そして成功している理由ともされる6つのビジネスポイントを紹介していきます。

注文から30分以内での商品配達

Foxtrotでは注文から30分以内に商品配達を行います。また配達価格は一律5ドルです。配達が早く価格も安いという特徴があります。

これらの特徴はEコマース事業に軸を置き、配達網を拡充させることで少ない店舗数で1つの地域をカバーできる=顧客を囲い込むことができるメリットを享受していると言えます。実際にFoxtrotの店舗は人口が密集する住宅地等に構えられ、配達網の拡充に役立っています。

一方、日本のコンビニは特定の地域に集中して複数店舗を出店させ、地域全体の顧客を囲い込む「ドミナント戦略」の手法が取れています。特定地域の中に集中して店舗を構えることで、在庫補充の配送コストを削減できるメリットがある一方で、特定地域にコンビニが集中し、他社との競争が激しくなることもあります。

Eコマースを軸とすることで、店舗数を最小限に抑えながらも広域の顧客を囲い込むことに成功したFoxtrotは、結果的に店舗の運営に割く費用を抑えながら企業として大きな成長を収めています。

5分以内の店舗受取サービス

Foxtrotは注文から30分以内に商品配達を行いますが、オンラインで事前に予約を行い、店舗で受け取ることも可能です。店舗では5分以内に注文した商品の受け渡しが行われています。

店舗においても徹底した顧客の利便性を追求した顧客体験が提供されています。

オンラインを通じて顧客データの活用

日本のコンビニではポイントカードを発行することで、顧客データを収集することが一般的です。コンビニ各社が別々のポイントカードを活用していることもあり、顧客の全てのデータを取ることは難しいのが現状です。

しかし、Foxtrotではオンライン購入が前提のビジネスモデルのため、オンライン購入時に顧客データを集めやすくなっています。収集した顧客データは配達事業の精度アップや、売上予測、在庫管理、商品改良、店舗運営などの各マーケティング施策に役立てています。

オンライン事業は、細かな顧客データを収集することを容易にし、またデータを有効活用しやすいという点でもメリットがあります。

商品の主軸はアルコールとおつまみ

Foxtrotで取り扱うメイン商品はアルコールとおつまみです。アルコールやおつまみは需要が高いことはもちろん、賞味期限が長いため在庫を抱えるリスクを減らすことができます。また、頻繁な在庫補充が不要となり、物流コストの削減にも繋がります。

また、商品は地元でしか手に入らない希少価値の高いものや、ニッチな商品を展開することで他社との差別化に成功しています。FoxtrotはEコマースに特化しているだけでなく、商品でも差別化を図っています。

地元と連携した豊富な品揃え

Foxtrotは地元と連携した地域密着型の仕入れを採用し、顧客に「新たな発見」を体験する場の提供をしています。

実際に、株式の40%は小規模の地元企業で構成されており、ほとんどの商品は、他の店舗では購入することができない品質の良い希少稀なローカル商品が並んでいます。顧客は新しい商品に出会う機会があり、食のトレンドや自分の好みに合った商品を探すことができます。

また、Foxtrotは、これらの地元中小企業に対しては、開発中の商品を販売しながら市場テストを行う機会を与え、インキュベーターの役割を果たしています。顧客の購買データから顧客の好むローカル商品を開発していくことができ、連携する中小企業からもFoxtrotは厚い信頼を得ていると言えるでしょう。

店内の工夫

Eコマースに強みを持つFoxtrotですが、Foxtrotのデータによると、顧客は月に平均6回の買い物のうち、店舗での買い物とEコマースを利用する回数は均等であることがわかっています。

Foxtrotの新店舗は、コンビニでありながら店舗内の飲食スペースを確保しています。そして、店舗は、これまでに蓄積された膨大な顧客データを元に、顧客のライフスタイルや好みにあわせた店舗設計をし、顧客の購買体験を実現しています。

例えば、朝はカフェから始まり、夜はバーを運営し、飲食をしながら勉強や仕事をしたり、友達と会話を楽しんだりする空間を作り、購買体験を向上させる取り組みが進められています。

まとめ

Foxtrotはオンラインに強みのあるコンビニですが、オフラインでも他のコンビニやスーパーとは大きな差別化を図り成功しています。オンライン販売で蓄積された顧客データは、オンライン事業にも、オフライン事業にも活かされ、結果的に顧客体験を向上させていると言えます。

今後Foxtrotはさらに店舗を拡大していくことを予定しています。すでに都市部を中心に新たに50店舗オープンすることを予定しているので、今後の展開にも目が離せません!