リアルタイムGIS〜位置情報の最新活用法とデータ処理速度の上げ方〜

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GISは20年以上前からあるものですが、AIやビッグデータとの相乗効果もあり精度や活用方法が急速に進化しています。

中でも特に今注目されているのがリアルタイムGISで、今後いかにリアルタイムGISを使いこなすかが行政にとっても民間にとっても重要な課題となります。

そして、GISは扱う情報量が多いからこそ考慮しなくてはならない点も抱えています。

そこで本記事では、GISがどのようなものなのかを改めておさらいした上で、今注目のリアルタイムGISが可能にすることやストレスなく高速で有効活用するにはどうすべきかなどについて解説します。

GIS(地理情報システム)とは

GISはGeographic Information Systemの略です。日本語では地理情報システムなのですが、システムの幅は広く、たとえば単なる地図情報だけのシステムもGISの一種で、さらにそこに様々な情報が載っていたり、特定の情報に特化したGISなどもあります。

具体的には、たとえば地図アプリと連動したスマホゲームなどもGISの一種です。あえて具体的なゲーム名は出しませんが、おそらく多くの方は2種類のゲームが頭に浮かんだのではないでしょうか。一時期は社会現象になりましたが、今でも街中ではレアモンスターを求めて人が集まっている様子を時折見かけます。

このようなGISですが、発端は1960年代にカナダで開発されたシステムが世界初のGISです。また日本では、阪神淡路大震災をきっかけにGISを防災に使用するようになりました。そのため、GISと聞いて真っ先に防災マップをイメージされる方も多いかもしれません。現状も災害現場で最大限活用するようにデータの収集や研究が進められています。

GISが有効な分野

GISが有効な分野は、直接的、間接的に地理が関係する分野のほぼすべてです。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 店舗経営
  • 都市計画
  • 防災
  • 犯罪防止
  • 訪問介護、看護
  • インフラ

他にも対消費者に商品、サービスを売っている企業がマーケティング目的に活用することも増えています。つまりあらゆる分野でGISが使われていて、今後はより商用に使われる機会も増えるでしょう。

リアルタイムGISが可能にすること

GISの歴史は古く一般に実用化されるようになってからも久しいのですが、今特に注目されているのがリアルタイムGISです。リアルタイムGISとはその名の通り、リアルタイムで情報が反映されるGISのことです。

では具体的にどのようなシーンで、このリアルタイムなGISが活躍するのかをご紹介していきます。

道路状況を考慮した配送・運行管理

ただでさえ人手不足が深刻化している配送業界ですが、現在コロナ禍でさらに配達業者が大変な状況だと言われています。そこで活躍しているのが、リアルタイムな渋滞情報や他の車両の走行状況や現在地を考慮した配送・運行管理です。

AIによって道路状況に合わせた最適なルート選択なども実現されていて、これにより効率的に配送できるようになっています。

位置情報を用いたリアルタイムマーケティング

一般的な店舗マーケティングにもGISは活用されていますが、リアルタイム性を加えることでさらにできることの範囲が広がります。例えば、POSデータとGISで取得できたリアルタイムな位置情報で顧客の動きを分析することにより、現在の商品・サービスの売れ行きや顧客の集客具合をより細かく可視化でき、リアルタイムな施策を打つことができるのです。

GISの機能としてはあくまでも地理的な情報の上に顧客の動きが加わるだけなのですが、そこから顧客の年齢層や生活圏などの属性を推測することも可能です。結果的に、マーケティング施策を打つための検討材料が増え、大きなマーケティング効果につながる可能性があるのです。

災害時の警報・危険エリアシミュレーション

メディアなどでも頻繁に目にするのは、やはり災害時の警報・危険エリアシミュレーションへのGIS活用でしょう。どこでどのような災害が発生したのかをデータとして収集して直近の未来の危険を予測をするには、データの正確性とリアルタイム性が重要です。

災害時に活用されるリアルタイムなGISには、事前に人々に危険を通知することや、正確な避難ルートを案内するといった役割を持っています。今後は災害予測の精度が上がっていくことが期待されていますが、現状は災害発生後の避難ルートや避難対象エリア等の割り出しが主な活用シーンです。災害発生時に迅速に避難経路等を案内したり、危険エリアのシミュレーションをするという意味では実用化のレベルに達しているので、次に大規模な災害が起こらないことが理想ではありますが、発生してしまった場合には活躍が期待されます。

データ処理速度の重要性

以上のように幅広い用途でGISは活用されていて、今後AIやビッグデータを合わせて活用することによりGISがさらに活躍していくでしょう。しかし同時に、GISの技術を支える情報処理技術を考慮しなくてはなりません。

リアルタイム性が加わることでより情報量は膨大に増えるので、その情報量を処理できる基盤が必要なのです。情報処理速度が情報量に追いつかないと、当たり前ですがリアルタイムなGIS活用は実現できません。

最近では膨大データの処理速度の高速化を叶えるソリューションが世の中に出てきています。例えば「Kinetica」はその一つです。

Kineticaは大量データ処理、リアルタイムデータ処理、高速AIなどを得意とするデータウェアハウスです。データウェアハウスはデータを蓄積する倉庫という意味でデータベースと混同されがちなのですが、データベースよりも大量データを扱うための容量や分析に特化したツールです。

イメージとしては大量データを高速に扱えるデータベースのようなものです。いくらGISが優れていてもデータベースとの連携処理で時間がかかってしまってはリアルタイム分析にならないので、GISとKineticaのようなデータウェアハウスを組み合わせることでパフォーマンスが最大化されます。

まとめ

GISは、AIやビッグデータと合わせて今後活用が加速するでしょう。特にリアルタイムGISはあらゆるシーンで活用されることが予測され、行政が活用することはもちろん、民間企業のマーケティング、ゲームなどにも活用されていくことが容易に想定できます。

GISは今後の社会を変えるほどの技術ですが、扱うデータ量が膨大であるという点は免れません。従来のデータベースだとパンクしてかえってユーザーにストレスを与える可能性も高いでしょう。今後GISを活用する上で、データ処理の高速化は避けて通れない道になるのではないでしょうか。