最新ARグラスまとめ|各種特徴や性能を徹底比較!

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ARグラスはまだ認知度の低いウェアラブルデバイスですが、将来的にはスマホと同じように誰もが持つようになる可能性のある次世代ガジェットです。

多くの人が夢中になったゲーム「Pokemon GO」は、現実世界とデジタル情報を結びつけるARを活用した新しいゲームとして人気を博しました。現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術がARであり、ARの技術は今もなお進化し続けています。

今回取り上げるのは、より気軽にARを楽しめるARグラスです。本記事では、最新ARグラスの特徴や性能、価格などを詳しく解説します。

また、ARグラスはビジネス分野にも活用可能です。記事内では、ARグラスをビジネスに活用した事例も紹介しています。ARグラスの導入を検討している場合は本記事を参考にし、業務の効率化や省人化などに取り組んでみてください。

<目次>

ARグラスとは?
ARグラスができること
ARグラスとスマートグラスとの違いはAR機能の有無
ARグラスの進化の歴史
ARグラスが注目される理由
ARグラスの市場規模は拡大している
ARグラス使用時の注意点

ARグラスの最新5選!人気モデルの特徴と性能を詳しく解説
軽量・ワイヤレスなXRグラス「MiRZA(ミルザ)」
Meta初のARグラス「Orion」
没入感の高さなら「XLEAL Air 2 Ultra」
臨場感のある音質VITURE「VITURE One XRグラス」
大迫力の映像Rokid「Rokid Max AR Grasses」

ARグラスのビジネス活用事例3選
NECはピッキング業務にARグラスを活用
ANAエンジンテクニクスはCareARの導入で業務改善
PayPayドームではARグラスで座席案内

まとめ〜誰もがARグラスを利用している未来が見える〜

ARグラスとは?

ARグラスは、ARを手軽に体験できるメガネ型のウェアラブルデバイスです。

ARとは「Augmented Reality」の略で、現実を仮想的に拡張する技術を意味します。日本語では「拡張現実」と訳され、「ポケモン GO」のように現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術です。

ARについての詳細は下記の記事を参考にしてください。
参考記事:【XR技術まとめ】VR/AR/MRの解説とメタバースとの違い

ここでは、以下の5つについて解説します。

  • ARグラスでどのようなことができるのか
  • ARグラスとスマートグラスの違い
  • ARグラスの進化の歴史
  • ARグラスが注目される理由
  • ARグラスの将来的な市場予測

それでは、順に見ていきましょう。

ARグラスができること

ARグラスはメガネ型であり、レンズ部分に映像が映し出される仕組みです。PC用のモニターとは異なり、目に近い位置で映し出されるために大画面のモニターと同等の働きがあります。

大画面と同等の機能を有しながらも小型で直接身につけられるため、設置スペースが不要な点が大きなメリットです。また、3D機能で現実世界の空間や立体物を認識できます。

ARグラスは基本的にスピーカー内蔵で、なかにはマイクも内蔵されている商品もあります。まさに次世代を担うガジェットです。

両手を自由に使えるウェアラブルデバイスのため、さまざまな分野に応用できます。たとえば、ゲーム機やスマホ、タブレット、PCと接続し、ゲームやエンターテイメント、医療現場、工場の保全作業などです。

ARグラスとスマートグラスとの違いはAR機能の有無

ARグラスと同様によく耳にするデバイスとしてスマートグラスがあります。ARグラスとスマートグラスにはどのような違いがあるのでしょうか。

じつは、ARグラスはスマートグラスの一種です。したがって、形状や機能はよく似通っています。主な共通点としては、以下の2点です。

  • レンズ部分のモニターに映像を映し出す
  • メガネ型をしており装着して使用する

ARグラスとスマートグラスの機能や特徴の相違点については、下表にまとめましたので参考にしてください。

ARグラス スマートグラス
表示 AR機能有り(現実の視界にデジタル情報を重ねて表示) AR機能無し(通知や情報の表示が目的)
操作 高度なトラッキング性能(頭や目、手、全身の動きを検知して操作) 音声やタッチパッドでの操作が主
活用事例 ・地図案内
・製品の3Dモデル
・実空間でのデータの触媒化など
・通知の表示
・写真や動画の撮影
・通話など

総合的に見ると、ARグラスは現実空間とデジタルデータを統合したインタラクティブな体験が可能であるのに対し、スマートグラスはスマートフォンやウェアラブル端末と連携して通知や表示のみの機能を有する点が大きな違いです。

ARグラスの進化の歴史

ARグラスは最近開発されたイメージが強いかもしれませんが、実際は100年以上前のSF小説に記述されたのが始まりです。その後、長い年月を経て、現在のようなARグラスが誕生しました。

それでは、簡単にARグラスの進化の歴史を振り返ってみましょう。

1901年:ライマン・フランク・ボームのSF小説にARグラスが登場
1968年:最初のARデバイス『ダモクレスの剣』開発
2000年:ARゲーム『ARQuake』が開発される
2013年:Google Glass(開発者向けプロトタイプ)がリリースされる
2016年:『Pokemon GO』がリリースされる

ARデバイスが一般に認知されるようになったきっかけは、ARゲームでしょう。2000年に開発された『ARQuake』を皮切りに、さまざまなARゲームが発表されました。ARグラスとして発売された最初の商品はGoogle Glassです。

その後、2016年には『Pokemon GO』がリリースされ、AR技術がより身近になりました。

ARグラスが注目される理由

ARグラスが注目される理由ARグラスは、次世代の情報デバイスとして注目を集めていますが、どうして注目されているのでしょうか。主な理由としては次の2点です。

  • 普段使いでも違和感がない
  • 現実の視線と同化するために動作が安全

ARグラスはメガネ型デバイスです。見た目は少し大きめの眼鏡と大差ないため、日常で使用している人がいても違和感がありません。また、ARグラスはPC用のモニターやスマホのように視線を動かす必要がないのが大きな特徴です。

したがって、現実の視線を維持した状態で情報デバイスとして利用できるため、比較的安全に操作ができます。近年はコンタクトレンズ型のARグラスも研究され、実用レベルに近づいてきました。さらに手軽に安全に利用でき、さまざまな分野での応用が期待されています。

ARグラスの市場規模は拡大している

ARグラスの市場規模は、2023年の時点で166億米ドルでした。SDKI(渋谷データカウント)の調査によると、2024年から2032年にかけて12.44%の成長率(CAGR)で成長する見込みです。また、2032年までに491億米ドルに達すると予測されています。(※)

市場規模が拡大している主な理由は、以下のとおりです。

  • 日常的に使われるデバイスとしての期待
  • スマートフォンの代替としての可能性
  • AR体験の質の向上
  • 政策による国内産業の強化

ARグラスは小型で手軽に持ち運べるため、現在のスマホのように広く普及すると予測されています。また、スマホの代替機種となる可能性もあるため、今後の動向に注目せざるを得ません。

日本国内においては、自治体によるXRプロジェクトなどに取り組んでいる状況です。政策によって開発も推し進められ、さらにARグラスが普及する可能性があります。

※参考:SDKI(渋谷データカウント)「ARとVRスマートグラス市場調査レポート」

ARグラス使用時の注意点

さまざまな分野での活用が期待されるARグラスですが、いくつかの課題もあるため使用する際には注意が必要です。

主な注意点としては以下のとおり。

  • 長時間の使用により視力低下の可能性がある
  • 白内障や緑内障のリスクを高める可能性がある
  • 使用できない環境がある
  • プライバシー侵害のリスクがある

健康被害については、今後何らかの対策が必要です。現状では長時間使用しないように注意するしかありません。

ARグラスは環境によって利用できない場合があります。それは、通信環境が悪い場所やカメラ機能が使用できない環境です。プライバシーや著作権などの問題があり、カメラ機能が使用できない場所ではAR機能が意味をなしません。

ARグラスは、撮影機能を使用しなければAR機能そのものが使用できないため、利用できない環境があるということを覚えておきましょう。

ARグラスの最新5選!人気モデルの特徴と性能を詳しく解説

おすすめのARグラスを5機種紹介します。基本的な情報を下記にまとめましたので、参考にしてください。

型式 発売年月 価格(税込) メーカー
MiRZA 2024年9月 248,000円 NTTコノキューデバイス
Orion 未発売 未定 Meta
XLEAL Air 2 Ultra 2024年1月 99,800円 XREAL
VITURE One XRグラス 2023年11月 62,800円 VITURE
Rokid Max AR Grasses 2023年12月 59,800円 Rokid

それぞれ詳しく解説します。

軽量・ワイヤレスなXRグラス「MiRZA(ミルザ)」

「MiRZA(ミルザ)」はNTTコノキューデバイスが開発した小型軽量のARグラスです。MiRZAの主な仕様は以下のとおり。

サイズ(mm) (使用時)約187(W)×約45(H)×約184(D)

(収納時)約187(W)×約45(H)×約96(D)

重量(g) 約125
解像度 FHD (1920×1080)
視野角(度) 45
輝度 約1,000nits
価格(税込) 248,000円
商品ページ docomo OnlineShop

MiRZAは小型軽量のARグラスのため、普段使いのメガネに近い感覚で利用できます。ARグラスはエンタメでの利用を想定した商品が多い状況ですが、MiRZAは主に外出先での活用やビジネスユースなどを想定して開発されました。

ビジネスユースを想定した価格となっていますが、サブスクプランを利用すれば、月額30,000円(税込)のお試し感覚で利用できます。

MiRZA開発事例:XRグラス「MiRZA(ミルザ)」のソフトウェアとインフラ開発

Meta初のARグラス「Orion」

次世代ARグラスとして注目を集めているのが、2024年9月にMeta社が発表した「Orion」です。ただし、詳細は不明な点が多く、今後の情報発信に期待ができます。

現在わかっている情報としては以下のとおりです。

解像度 視野角1度当たり13ピクセル
視野角(度) 70
価格(税込) 未定
商品ページ https://about.meta.com/realitylabs/orion

「Orion」はARグラスのなかに7基のカメラとセンサー、バッテリーを内蔵しています。次世代のガジェットと呼ぶに相応しいARグラスでしょう。

発売時期や価格も未定となっていますが、年内発売を目標にコストダウンに取り組んでいるところです。目標価格は、ハイエンドスマホ程度と予想されています。

没入感の高さなら「XLEAL Air 2 Ultra」

「XLEAL Air 2 Ultra」は、ARグラスでは世界トップクラスと謳っているXLEALの商品です。

サイズ(mm) (使用時)約148(W)×約52(H)×約168(D)

(収納時)約148(W)×約52(H)×約49(D)

重量(g) 83
解像度 1920×1080
視野角(度) 52
輝度 最大500nits
価格(税込) 99,800円
商品ページ https://www.xreal.com/jp/air2ultra/

XLEAL Air 2 Ultraは、調光レベルの切り替えが簡単にできるため、場所を選ばずに使用できます。高音が伸びやかで臨場感を味わえる点も人気の理由です。

ARグラスは没入感が重要とされています。XLEAL Air 2 Ultraは没入感の高さを求める人におすすめです。

臨場感のある音質VITURE「VITURE One XRグラス」

「VITURE One XRグラス」はVITUREが販売しているARグラスです。発色がよく、鮮やかな映像が楽しめます。

サイズ(mm) (使用時):152(W) x49(H) x171(D)

(収納時):163.0(W) x47.7(H) x53.7(D) 

重量(g) 78
解像度 1920×1080
視野角(度) 43
輝度 1800 nits
価格(税込) 62,800円
商品ページ VITURE One  XRグラス

VITURE One XRグラスはオーディオメーカー「HARMAN」と共同開発したオーディオシステムを採用しており、迫力があり臨場感を感じられる音質です。ただし、音漏れがやや気になるかもしれません。

大迫力の映像Rokid「Rokid Max AR Grasses」

Rokidは、AR関連機器を開発している中国のメーカーです。「Rokid Max AR Grasses」は視野角が広く、映画館のスクリーンのような迫力ある映像で人気があります。

サイズ(mm) (使用時):148(W) x55(H) x164(D)

(収納時):152(W) x55(H) x51(D)

重量(g) 75
解像度 1920×1080
視野角(度) 50
輝度 600 nits
価格(税込) 59,800円
商品ページ https://jp.rokid.com/products/rokid-max

発色や音質に関しては、多少の物足りなさを感じるものの、臨場感を味わうには十分な仕様です。

本体に視度調整機能が搭載されているため、ある程度の視度補正ができます。眼鏡を必要としない程度で視力が悪い人におすすめです。

ARグラスのビジネス活用事例3選

ARグラスはエンタメ業界で活用するイメージが強くなっていますが、ビジネスにも活用されています。ビジネスにおけるARグラスの活用事例として、以下3社の事例を紹介します。

  1. NEC
  2. ANAエンジンテクニクス
  3. PayPayドーム

それぞれ詳しく紹介しましょう。

1.NECはピッキング業務にARグラスを活用

物流業界のピッキング作業は近年、自動化が進んでいます。コンベヤに流れてくるワークをロボットが判断して取り出す手法です。

しかし、どうしても人の手に頼らなければならないピッキング作業も多く残っています。NECではARグラスを活用し、ピッキング業務を改善できるシステムを開発しました。

ARグラスを活用することで、対象物から視線を外さずにピッキング業務を行えます。開発したシステムを実際に利用しているのは、系列のNECネッツエスアイ株式会社です。

NECネッツエスアイでは、従来のピッキング業務よりも18.2%の作業時間短縮に成功しました。

また、NECでは病院の薬剤部においても実証実験を行っています。病院の薬剤部では、作業ミスの改善や作業時間の短縮などの効果が確認できたとのこと。

2.ANAエンジンテクニクスはCareARの導入で業務改善

ANAエンジンテクニクス株式会社は、航空機用エンジンのオーバーホールと部品修理を専門的に行っている企業です。ANAエンジテクニクスでは、ARグラスを活用し、業務改善に成功しています。

ARグラスを活用した際の主な効果は、以下の3点です。

  • 整備の現場と社内との移動時間を削減
  • スムーズな意思伝達による整備作業の品質向上
  • リアルタイムの情報共有による設備不具合時の早期復旧

具体的には、デジタルツイン型サービスプラットフォーム「CareAR」を活用し、熟練技術者や専門家が遠隔で指示できるサービスです。AIやARでデジタル化されたワークフローを通じてアドバイスや指示を行います。

CareARを活用することで、熟練技術者を海外拠点へ派遣する必要がなくなりました。

3.PayPayドームではARグラスで座席案内

2024年4月3日と4日にPayPayドームにおいて、ARグラスを活用した新しい観戦体験の実証実験が行われました。実証実験の主な内容は以下の3点です。

  • 自分の座席までの案内
  • 球団マスコットとバーチャルな交流
  • リアルタイムのAR演出

PayPayドームは大規模な施設であり、座席案内が大きな課題となっていました。そこで、ARグラスを活用した座席案内を実施したところ、スムーズな座席案内ができたとのこと。

また、AR機能を使用した球団マスコットとのバーチャルな交流においても、大きな成果を得ています。ゲーム中のAR演出もファンを楽しませました。

実証実験で利用したARグラスは、XREAL社の「XREAL Light」です。

まとめ〜誰もがARグラスを利用している未来が見える〜

近年、ARグラスに関する話題をよく見聞きするようになりましたが、実際に使用したことのある人は少ないかもしれません。

残念ながら2024年現在、ARグラスは一般に広く普及しているとは言えない状況です。しかしながら、小型で高機能なガジェットなため、今後はスマホの代替品となる可能性もあります。

すでにARグラスの市場は成長している状況ですが、今後ますます伸びることが予想されています。近い将来、誰もがARグラスを使用するときが訪れるでしょう。

ARグラスはビジネス分野でも有効活用されています。今後はさらに活用する場面が増えることは間違いありません。ぜひARグラスを利用して、身近なところから業務改善してみてはいかがでしょうか。