サブスクリプションとは?特徴とメリットを解説

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最近「サブスク(サブスクリプション)」という言葉をよく耳にするようになり、何かしらのサブスクサービスを使ったことのある方も多くなってきたのではないでしょうか。

このサブスク、流行っていることもあり取り入れようとする企業も増えていますが、従来の単なる「分割払い」や「定額制」と似ていながら少し異なります。

本記事では、今話題のサブスクの特徴やユーザーメリット/ビジネスメリットについて解説し、現在世の中に出ている国内のサブスクサービスをいくつかご紹介します。

サブスクリプションとは

サブスクリプション(subscription)または略して「サブスク」は、直訳すると「加入」や「購読」といった意味があります。つまりサブスクリプションとは、会員になることでサービスを受けたり利用することができる契約形態のことを指します。

サブスクサービスで有名な音楽聴き放題の「Spotify」も映画・ドラマ見放題の「Netflix」も、会員登録をしてはじめて使えるサービスです。

ではなぜこのようなサービス形態が流行り始めたのでしょうか。

その背景として「モノからコトへ」という消費行動の変化があります。今まではモノを購入して初めてやりたいコトを実現させることが当たり前でした。しかし昨今は、モノ自体ではなくそれを使うコトに対して価値を感じるようになりました。違う言い方をすると、モノに対して大きな初期費用をかけることを嫌がり、一つ一つのモノに対する執着心はなくなり、多くのモノを使えるコトが増える方が満足に繋がるようになったのです。

SpotifyやNetflixの例に戻ると、CDというモノではなく音楽を聴くコト、DVDではなく映画・ドラマを観るコトに対価を払うサービスですね。

では、サブスクについてもう少し詳しくみていきましょう。

サブスク1.0、サブスク2.0、サブスク3.0

サブスクというサービス提供形態は、そもそも、ユーザーの嗜好やニーズに合わせてあることが大前提です。しかし現状は様々な”サブスクサービス”が世の中にあり、3つのフェーズに分類できることができます。

サブスク1.0は、従来からある商品・サービスの料金体系が定額制になっているものです。言わば「まとめ購入」で、サービス提供企業は契約分の商品・サービスを提供し、まとめて購入しているので多少のディスカウントが得られます。例えば、新聞の定期購読や牛乳の宅配などがサブスク1.0にあたります。新聞であれば、都度購入した場合は朝刊が1部150円、夕刊が50円程度ですが、購読すれば月間4,500円程度(1,500円程お得)で同じ物が自宅に届く、といった具合です。

サブスク2.0が現在は多く、商品・サービスを「購入」するのではなく「利用」するサービス形態です。利用期間中の料金が月額制でプランも複数用意してあることが多く、ユーザーの好みでプランが選べます。例えば、AmazonプライムビデオやHuluなどの映画配信サービスであれば月額を払っている間は映画が見放題、洋服レンタルのMECHAKARIやエアークローゼットであれば契約プランの範囲内の洋服が借り放題、画像編集ソフトのPhotoshopであれば常時最新バージョンのソフトを使い放題、といった具合です。

サブスク3.0では、ユーザーの消費状況や嗜好傾向に合わせて料金やサービス内容が変わります。ユーザーのその時々のニーズに合わせたサービス提供ができるので、理想の状態だと言えるでしょう。利用・消費状況を把握するためには、サービスがデジタルで提供されているか、デジタルでない場合はIoT化されるなどして状態データが取れる必要があります。また、サービス内容を自動で変更させたり、より嗜好に合うサービスをリコメンドするために、AI(人工知能)が使われます。現状はまだこのフェーズのサービスは少ないです。

サブスクと定額制の違い

以前からある定額制とサブスクは、ユーザーが会員登録して利用する点では似ているものの、目的と重視するポイントが異なります。

従来の定額制は、予め一定の収益が得らえるように商品・サービスの立て付けを決めてユーザーに提供しています。それに比べサブスクは、ユーザーのニーズ起点でサービス内容と価格を決定します。つまりサブスクは、事業者ではなくユーザーのためのサービス提供形態であり、ユーザーがサービスに合わせて行動するのではなくサービスがユーザーの生活に馴染むことがポイントです。

サブスクのメリット

ユーザーがサブスクを利用するメリットと、企業が従来の商品・サービスの販売方式からサブスク方式に転換するメリットを解説します。

ユーザーメリット

ユーザーがサブスクを利用する大きなメリットは、初期費用が大きくかからない点です。洋服でも映画のDVDでも車でも購入すると費用が高くつますが、サブスクにすれば購入するよりも安く利用できます。

また、便利さと自由度の高さもメリットです。洋服のサブスクサービスであれば洗濯する必要もなく次の服を選べたり、映画や音楽配信の場合は、DVDやCDをわざわざセットしたり持ち歩く必要がなくスマホさえあれば簡単に鑑賞・視聴できます。

その他に、サービスを使い始めたものの自分に合わなかった場合、いつでも解約できるのも魅力です。多くのサブスクサービスには無料お試し期間が設けられているので、自分にとって最適なサービスを選択できます。

ビジネスメリット

企業がサブスクを取り入れる一番のメリットは、ユーザーと継続的な繋がりを得られることです。継続的にサービスを利用してもらうことでユーザーデータを集めることができ、サービス品質を上げやすくなります。

また、定めたいくつかのプランに対してのユーザー数を予め把握できるので、新規ユーザー獲得、生産・仕入れ、アップセルの計画が行いやすい点もメリットです。従来の販売方法のように大量の在庫を抱える心配も、逆に在庫不足に陥るリスクもほとんどありません。

さらに、新規ユーザーを獲得しやすいメリットもあります。例えばユーザーにとって2万円の商品を購入するのには抵抗があっても月500円で利用できるサービスなら、試しに利用してみようと考える人は多いはずです。ただし、そのサービスが如何にユーザーの期待値を越えて満足させれるかで継続利用は決まるので、サービス力は重要になります。

サブスク型で展開されている国内サービス

毎月定額で新車に乗れる「KINTO

「KINTO」は自動車のサブスクサービスです。車種によって月額料金は異なりますが、自動車税や任意保険セットで自動車をリースできます。例えばアクアなら月額39,500円(税抜)から利用できます。「KINTO」なら3年ごとに新車に乗り換えられて、購入のように頭金が必要ないのもユーザーにとって大きなメリットです。

新鮮な野菜や食材が届く「Oisixプライムパス

「Oisix」は野菜や玉子、牛乳などの定期宅配サービスで、定番セットなら1回5,300円(税抜)程度で17品前後届きます。さらに月額1,280円(税抜)の「Oisixプライムパス」をプラスすると人気の3品目が無料でもらえて、追加の野菜やフルーツも20%オフで購入できるなどお得がたくさんあります。

動画で勉強できる「スタディサプリ

「スタディサプリ」は小中高生向けの動画学習サービスで、月額980円(税抜)で講義動画が見放題です。スマホやタブレットで簡単に動画を視聴できるので通学中にも活用できます。全ての学年の講義が視聴できるため、追加料金なしで学年をまたいだ復習・予習ができるのもメリットです。

毎日1本ドリンクが受け取れる自販機「every pass

「every pass」は月額980円(2ヶ月目以降は月額2,480円)で利用できる自動販売機のサブスクサービスです。ユーザーは自販機から毎日1本好きなドリンクを選んで受け取れます。毎日自動販売機でドリンクを購入するユーザーにとってはお得なサービスです。

定期的に花束が届く「Bloomee LIFE

お家に花を飾りたいけれど花屋さんに立ち寄れないという人向けには、花のサブスクサービス「Bloomee LIFE」があります。体験プラン・レギュラープラン・プレミアムプランと3つのプランが用意されており、1回500円(送料250円)から利用できます。

清潔なワイシャツをレンタルできる「YClean

「YClean」はワイシャツを毎月レンタルできるサブスクサービスです。スタンダードプランは月額12,800円(税抜)からスタートし継続回数によって9,800円(税抜)になります。また、プレミアムプランは月額24,800円(税抜)からスタートし19,000円(税抜)になります。毎月20着届くワイシャツは洗濯もアイロンがけも必要なくすぐ着られるので、奥さんの家事の負担を少し減らしてあげられます。

新品の洋服も着放題の「MECHAKARI

「MECHAKARI」は3着が月額5,800円(税抜)で新品の洋服がレンタルできてクリーニングも不要のサービスです。ベーシックプランでは毎回3着ずつ新品の洋服が自分で選べて、気に入った洋服があれば購入もできます。さらに、4着レンタルできるスタンダードプランや、5着レンタルできるプレミアムプランも用意されています。洋服を購入した時とは違い、自分に合わなかった場合はすぐに返却して次の洋服をレンタルできるのが大きなメリットです。

まとめ

ご紹介したいくつかの事例を見てわかるように、様々な商品・サービスをサブスク化することができます。

サブスクは、ユーザーにとっては初期費用がかからず気軽に始められるサービスです。毎月一定金額支払えばモノを購入したり所有せずに、音楽や映画、洋服などを楽しめるのでメリットは大きいですよね。

事業者側にとっても、新規ユーザー獲得のしやすさやサービスを継続利用してもらえる等のメリットがあります。しかし、サブスク型に転換する際には、継続利用してもらえるようなサービスの設計とそこに対する投資が難しいところです。それでも、ユーザーと継続的な繋がりを得ることができることは、長期的に見ていくと利点の方が大きいでしょう。