こんなところでダイナミックプライシングされると嬉しい!新サービスアイディア3選

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ダイナミックプライシングとは、市場の需要と供給に応じて自社の商品やサービスの価格を変動させる手法です。

価格が自動的に変わっていくこの仕組みですが、なぜ今注目されるようになったのでしょうか。

この記事では、ダイナミックプライシングが注目されている背景や企業動向、ダイナミックプライシングを活用するアイディアを紹介します。

期待を担うダイナミックプライシングとは?

近年、デジタルやテクノロジーを活用して事業を展開し、私たちの生活や働き方を変革する「デジタルトランスフォーメーション」という概念が注目されています。

ダイナミックプライシングはその取り組みの一つで、需要と供給のバランスに基づいて適正価格を設定することにより、ユーザー・事業者双方にとってプラスに働きます。

従来から市場の動きと照らし合わせた価格設定の方法はありましたが、その多くが人の勘や経験に頼るものでした。しかし、AI(人工知能)の発達によってビッグデータを効率的に活用し複雑なアルゴリズムで計算もできるようになったため、より高精度な価格設定が可能になりました。

さらに業務を自動化が可能なRPA技術の普及が、オンライン上での競合他社の提供価格を適宜自動的にモニタリング調査可能な状況を作り出しました。これらの背景を通じ、ダイナミックプライシングを活用した適正価格算出が実現し、新たなビジネスチャンスが誕生しています。

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ダイナミックプライシングの企業動向

ダイナミックプライシングにおける取り組みが近年活発になっています。こちらでは、ダイナミックプライシングの企業動向を2つご紹介します。

ホテルや旅館の客室単価の向けにツール提供するメトロエンジン

メトロエンジン株式会社は、AIを活用してホテルや旅館など宿泊施設の客室料金を設定する「メトロエンジン」を提供している会社です。2018年に7億円、さらに2019年に3億円の資金を調達し、100名のエンジニア・データサイエンティスト集団によってダイナミックプライシングの研究開発を進めています。

「メトロエンジン」は、競合他社の客室単価や空室数、レビュー数などビッグデータを収集し、これらのデータをAIが分析し、最適な客室単価を算出します。まさに、ダイナミックプライシングです。

従来、客室単価を決めて最新情報をWEB等ユーザーの目に触れる場所に反映するにも、人が様々なツールを使いこなしながらデータを収集し、最適な単価を算出し、反映させる、といった一連の作業が発生していて時間も労力も多くかかっていました。そこで、ダイナミックプライシングをホテルシステムとAIと組み合わせて活用することで、業務を自動化して客室単価を自動決定・反映できるようになっているのです。

インドのホテルチェーン・スタートアップOYOもデータサイエンス企業を買収

Oyo Hotels & Homesはアジアを代表する格安ホテルチェーンで、日本においてもヤフーと合弁会社を設立し、賃貸住宅事業に本格参入しました。 2019年9月にはダイナミックプライシングの開発を行うデータサイエンス企業であるDanamicaを1,000万米ドルで買収しました。

Danamicaは民泊などの料金を機械学習により価格設定し収益管理を行う企業で、今後OYOのユーザーはDanamicaのダイナミックプライシング技術によって算出された最安値でホテル・民泊を利用できるようになります。

さらに物件オーナーとの結びつきを深め、新たなテクノロジー導入に向けてヨーロッパでの民泊ビジネスに3億2,800万米ドルの投資を決定しています。

ダイナミックプライシングの新サービスアイデア3つ

多くの商品やサービスにおいて時間帯や季節によって需給が変動するので、ダイナミックプライシングの適用で収益の最大化や在庫ロスの削減に繋げることができます。特に、その商品・サービスに希少性がある場合や競合他社のデータを取得できる場合は、ダイナミックプライシングを導入して需要変動に基づいた価格設定が行いやすくなります。

ここでは、ユーザーと事業者のメリットを考えながら、ダイナミックプライシング活用アイディアを紹介します。

食品ロス対策/消費期限が近い食品の提供サービスに

スーパーや食料品店では賞味期限の切れた商品は販売できないため、食品ロスは大きな問題となっています。しかし、賞味期限が近い食品や、賞味期限が切れていたとしたとしても消費期限でないため販売自体が法的には抵触しない食品もあります。これら未だ販売余地が残っている商品を販売できる環境づくりとサービス設計が整えば、通常とは異なる新しいサービスが提供できます。

よく見られるスーパーの見切り品もダイナミックプライシングを活用すれば、従来の現場の勘と経験に基づく価格設定以上に収益アップが見込める可能性があります。つまり、消費者は一定条件がつくものの優先的に安く食品を購入できるようになり、事業者も不良在庫や機会ロスをなくし収益を確保できるようになるわけです。

データサイエンスの人材登用/スキルベースの報酬体系に

近年、IT業界を中心にAI活用を推進できる人材が求められており、それら貴重人材の効率的な採用活動のためにダイナミックプライシングの活用を求める素地はできています。人材の採用や登用以外にも、データサイエンティストの育成を効率的に行う上でも、教育や報酬制度においてもダイナミックプライシングの適用は、転職者・企業の双方にとって有益となるでしょう。

転職者は転職市場の価格相場を見ていき、納得のいく年収の仕事に転職できます。持っているスキル次第で年収アップも可能です。企業側は人材登用する際に、事前に転職希望者のスキルや生産性の可視化ができれば、合理的な雇用が実現するでしょう。

高速道路の料金に

友人や家族と車で出かける時、費用面を気にして時間をかけて下道を利用する人も多いでしょう。もしも高速道路の料金が下道よりもどれくらい時間短縮に繋がるか、という割合に応じた費用設定がされていれば、ユーザーは納得して高速道路を利用できます。

自動運転規制緩和やライドシェア時代到来後、ETC2.0の更なるバージョンアップの概念にダイナミックプライシングの導入が実現すれば、有料道路と移動手段の選択が一体となった新たなサービス提供が可能になります。ユーザーにとって有料道路の利用価値が向上し、より計画的で快適なレジャーが送れるようになるでしょう。また事業者も、有料道路利用の活性化がはかれ収益向上にも繋がります。

まとめ

企業が商品やサービスを提供する上では、いかにビッグデータ活用を行い、ユーザー視点で新しい商品・サービスを生み出すかが重要となっています。

私たちの仕事や生活をより快適で豊かにするデジタルトランスフォーメーションを実現するため、今後はダイナミックプライシングがより多くの企業で活用されるようになるでしょう。