最新のIoT実証実験(PoC)事例ピックアップ【2019年9月】

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総務省メールマガジン「M-ICTナウ:実装の進むAI・IoT」によると、日本では6割の企業がIoTを導入しているという結果に。2020年に5Gが実用化されることもあり、急速にIoTの普及が進んでいます。

このIoTが付随するサービスを開発する際には、ほぼ必ず実証実験(PoC:Proof of Concept)が実施されます。

現在、各社が様々な分野で現在実証実験を実施し、しのぎを削っているのです。結果が公開されていないケースもありますが、プロジェクト・企画などのアイディアとして参考になることも多いでしょう。

本記事では、情報収集の参考の一つとして最新の実証実験事例をピックアップしてお伝えします。

最新のIoT実証実験12選

農場×野生鳥獣捕獲

福島県伊達郡にある国見町では、果樹や野菜をイノシシなどの被害から守るためにIoTの実証実験を実施しました。この実証実験はKDDIと国見町が連携し、次のシステムを導入するものです。

  • 大型の囲いわなをモバイル機器から遠隔監視・遠隔操作
  • 囲いわな内外の獣の状況を判別して自動捕獲する

同町はIoT監視カメラ導入によるわなの巡回見廻り効率化を、2018年1月からKDDIと連携して実施。今回の実証実験は、さらなる見廻りの効率化を狙っています。

参考:https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/09/04/3989.html

温泉地×ガス検知

秋田県仙北市と東京都品川区のアステリア株式会社は、温泉施設での有毒ガス検知にIoTセンサーを用い、同社の「Platio(プラティオ)」で制作した「温泉地ガス検知アプリ」の実証実験を2019年8月30日から9月30日の期間で実施します。

このアプリを導入することで、従来は現地でチェックしていた硫化水素の有毒ガス発生有無を、遠隔地でリアルタイムに監視できます。

この実証実験を通して、仙北市では防災分野でのIoT活用の有効性を見定め、ITに関する知見や適用範囲の増加などを通じて、新しい地方創生の在り方を提案していく考えです。

参考:https://www.asteria.com/jp/news/press/2019/09/02_01.php

路線バス×自動運転

相鉄グループの相鉄バス株式会社と群馬大学が協力し、大型路線バスを使用した自動運転の第1回実証実験を実施します。期間は、「里山ガーデンフェスタ2019 秋」の開催期間となる2019年9月14日から10月14日まで。

大型バス営業運行での実証実験としては、日本で初めての事例です。この実証実験には次の目的があります。

  • 大型路線バスでの自動運転適用における課題の解決
  • 地域における自動運転の機運の醸成
  • 郊外部における交通ネットワークの維持
  • 人口減少に伴う労働力不足

地方での課題を解決する糸口として、実証実験への期待が高まっています。

参考:https://www.sotetsu.co.jp/news_release/pdf/190827_01.pdf

空港×ゴミ箱状況把握

関西エアポート株式会社と山崎産業株式会社は、関西国際空港におけるゴミ箱センサー実証実験を実施します。この実証実験は、国内空港としては初の試みです。今回の実証実験は、観光客の増加を背景にゴミ回収作業の効率化を目指して計画されました。

空港内の各ゴミ箱にセンサーを取り付けることで、リアルタイムにゴミ箱の状態を把握し、ゴミが溢れる前に回収できます。ゴミ箱の状況を見ながら少人数で効率よくゴミを回収でき、空港美観を損なうことなく最適な清掃オペレーションが可能となるのです。

参考:http://www.kansai-airports.co.jp/news/2019/2750/J_20190911PressRelease_trushcan_HP.pdf

豪雪地帯×積雪深計測

アクセルマーク株式会社と株式会社Momoが、IoTセンサーを用いた積雪計測の実証実験について、共同で実施することを発表しました。

この実証実験の目的は、除雪の効率化。2020年度の商用化を見据え、2019年度は会津若松市をはじめとした30自治体での大規模実証実験を実施する予定です。

日本では国土の約半分、およそ2,000万人が豪雪地帯に暮らしています。これらの地域において、目視での積雪状況の把握は、適切な除雪作業のために重要です。全国的な人口減少・高齢化に伴う人手不足や、深夜・早朝の見回り負荷の軽減、天候の急激な変化などに対応するため、今後も実験が進められていきます。

参考:https://www.axelmark.co.jp/pr/?itemid=318&dispmid=518

戸建住宅×コネクテッドホーム

大和ハウス工業株式会社は、神奈川県の「最先端ロボットプロジェクト」において、「人と建物の健康をサポートするIoTスマートホーム実証」に選ばれました。

この選定をうけて、2019年9月11日より、神奈川県藤沢市において次期コネクテッドホーム基盤の実証実験に着手しています。

同社が本基盤を利用して推し進めるのは、2018年1月から展開しているコネクテッドホームブランド「Daiwa Connect(ダイワコネクト)」。2019年11月よりモニタ家庭を募集し、施工性や運用性の評価を実施します。また、神奈川県藤沢市のモデルハウスに遠隔操作ができる家電やサービスを展示し、有識者も交えた評価を実施する予定です。

参考:https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20190910183021.html

住戸×HaaS(Housing as a Service)

独立行政法人都市再生機構(以下「UR」)は、東京の赤羽台スターハウスにおいて、「Open Smart UR」スタートアップモデル住戸、および比較用として昭和30年代後半の再現モデル住戸を整備しました。

このスタートアップモデル住戸は、「HaaS(House as a Service)」という新たな概念のもと、IoTやAIなどの情報技術を活用した生活環境を目指し、整備されたものです。

室内には、見守りカメラや環境センサー、サーモイメージセンサー、マイク、深度カメラなど合計42個のセンサーを設置。各種センサーからのデータをもとに、「人が倒れた」といった状況変化をAIが判断します。トラブルの早期発見や不審者の通報、防犯対策にもつなげる形です。

また、買い物代行やクリーニング、宅配便サービスや地域のレストラン情報、天気・交通の運行状況などのデータを集約した、テレビ大のタッチパネル型ホームモニターを設置。IoTスイッチ一つで、すべてのサービスが受けられる仕組みとなっています。

参考:https://www.ur-net.go.jp/news/lrmhph000000xnr8-att/ur2019_press_0605_iot_ai.pdf

製造現場×リアルタイムコーチング

株式会社NTTドコモ、ノキアグループ、オムロン株式会社は、工場などの製造現場における第5世代移動通信方式(以下、5G)を活用した共同実証実験を実施することに合意しました。

製造業においては、熟練工不足や多品種少量生産などの課題解決に向け、IoTによるデータを活用した生産性向上の取り組みが進んでいます。

本実証実験で活用する5Gは、高速・大容量、低遅延、多端末の同時接続が特長です。

実証実験として検討されている内容は、例えば「AI・IoTによるリアルタイムコーチング」。製造現場では、熟練工不足が深刻化し、作業者の生産性の向上と、早期育成の必要性が高まっています。そこで、5Gの大容量・高速性を活かして製造設備のデータや、作業の動きを撮影した映像データなどを収集し、AIで解析。熟練者との違いを作業者へリアルタイムにフィードバックすることで、生産性の向上と早期習熟をサポートします。

参考:https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2019/09/10_00.html

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保育園×業務効率化

埼玉県はユニファ株式会社と連携し、「スマート保育園」の実証実験を実施すると発表しました。「スマート保育園」とは、体動記録や日誌作成等の業務をIoT・AI等で効率化し、保育士の負担を軽減する取り組みです。

実証実験では、次のような仕組みを実施予定です。

  • 監視カメラやスマート体温計から収集した情報を分析し、子どもの健康状態の異変を検知
  • 自動撮影や音声録音のデータをAIが処理することで効率的に日誌を作成
  • 保育園の組織診断による早期離職の防止

参考:http://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2019/0821-01.html

スタジアム内売店×混雑状況把握

アジアクエスト株式会社は、プロサッカークラブ「大分トリニータ」を運営する株式会社大分フットボールクラブと提携し、AIカメラをつかった実証実験を実施すると発表しました。

この実証実験は、大分トリニータのホームスタジアムである昭和電工ドームの「スマートスタジアム化」が狙い。次のような実験が予定されています。

  • AIカメラを使い売店に並ぶ人数を自動的に把握し、混雑状況を表示
  • スタッフの位置情報と作業内容をリアルタイムに記録・可視化

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000019319.html

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事業所内売店×無人化

東芝テック株式会社では、近年ニーズが高まってきているオフィスビルや工場内といったマイクロマーケット(小規模商圏)向けの無人店舗ソリューションの商品化を進めています。

今回、「オーバルコート大崎マークイースト事業所内売店」で、スマートフォン・タブレット・各種センサーを活用した無人店舗ソリューションの実証実験を開始しました。同実験の対象は東芝テックグループ従業員で、2020年3月31日まで行われる予定です。主に次のような実験が実施されています。

  • スマートフォンから商品バーコードスキャンを実施するセルフレジ
  • タブレットを利用したセルフレジ
  • 各種センサー・カメラを利用したウォークスルー決済
  • 来店者の行動情報とPOS取引データを突合した不正検知

参考:https://www.toshibatec.co.jp/release/20190822_01.html

公立中学校×スマート体育教育

株式会社エッジ・オブは、SOLTILO Knows株式会社と共同で、スポーツセンシングデバイスを活用した教育の実証実験を開始しました。

実験が実施されるのは、高知県土佐郡にある土佐町小中学校。高知県、土佐町教育委員会、NPO法人SOMAの協力を得ています。

今回のスマート体育教育では、サガン鳥栖、大分トリニータが活用するスポーツセンシングデバイス「Knows」を活用。主に次の2点の実験を実施します。

  • 運動中の心拍の変化や加速度をリアルタイムで計測し指導・管理
  • 運動数値を参照しての分析・ディスカッション

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000034550.html

まとめ

今回は、2019年9月時点のいくつかの最新IoT実証実験事例についてお伝えしてきました。2020年に5Gが実用化されることもあり、各社でIoTの実証実験が急ピッチで進められています。

IoTを導入すれば、各分野において解決できる課題が複数あります。この時代の流れに乗り遅れないよう、IoTを使用したサービスを検討し、小規模からでも実証実験を計画し、実施してみましょう。

 


弊社でも屋内位置測位やビーコンを活用した人流分析、ドローン活用など、実証実験の実績は多数ございます。ぜひお気軽にご相談ください。

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