WEBメディアをグロースさせるサービスデザイン思考

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レッドオーシャン化が続くメディア業界。

今やユーザーの限られたアテンションを獲得することは、容易ではありません。

小さな改善だけでは持続的な事業成長が望めない中、メディアを「次の成長軌道」に乗せるためには何が必要なのでしょうか。

今回は、成長の頭打ち感を打開するための「サービスデザイン思考」についてご紹介します。

<目次>

越えられない「壁」を突破する打ち手とは

サービスをリデザインする際のフロー
・Step1.顧客のインサイトを調査する
・Step2.問題定義を行う
・Step3.インサイトを満たすアイディアを出す
・Step4.プロトタイプを作成/検証する
・Step5.アウトプットをブラッシュアップする

デザイン思考に欠かせない4つのポイント
・ユーザー視点を欠かさない
・必ずFACTから設計する
・仮説は必ず検証する
・一つのアイディアに縛られない

まとめ

越えられない「壁」を突破する打ち手とは

かつては事業成長の必需品とされていた、工夫・改善のPDCAサイクル。しかし、テクノロジーの進化が加速し業界の参入障壁が下がりつつあるメディア界隈では、このアプローチの限界も指摘され始めています。

今や、過去と同じ取り組みを続けていても、持続的な事業成長は望めません。そうした中で有効なアプローチとされているのが、サービスの「リデザイン(再設計)」です。

ここでいうところのサービスのリデザインとは、次の3点の見直しを行い、メディアの提供価値を問い直す一連のプロセスを指します。

  • ①そのメディアは、誰を対象とするのか?
  • ②ユーザーのどんなインサイトを満たすものなのか?
  • ③そのために、どのようなUI/UX設計をすべきなのか?

①は、「ターゲットの明確化」を意味します。②は「ユーザーが潜在的に抱える願望や悩み」と表現できるでしょう。そして、特に重要な点が③です。

③では、顧客体験(UX)の設計を行い、その実現を見据えた画面設計(UI)を行います。つまり、画面設計から体験設計まで、一貫した発想の元での取り組みが求められる部分です。

では、具体的にどのようなフローでこの取り組みをすべきか、見てみましょう。

サービスをリデザインする際のフロー

サービスの設計を根底から見直す際には、いわゆる「デザイン思考(デザイン・シンキング)」の実践フローが最適といわれています。これは、ユーザーの観察を通して「そもそも問題は何なのか?」を定義した上で、その解決を目指すアプローチです。

具体的には次のようなステップをたどります。

Step1. 顧客のインサイトを調査する

実際のユーザーを見付け、インタビューや参与観察を行います。いきなり仮説構築を行うのではなく、ユーザーが抱える本当の問題や課題を掘り下げて考えることが目的です。先入観にとらわれないために、ユーザーの日常生活や行動様式を具体的に把握し、新たな気付き(=インサイト)を得ることが目的です。

Step2. 問題定義を行う

ここでは、Step1で明らかになったユーザーの実態を踏まえて、ユーザー自身も気づいていない真の課題や目的をあぶり出します。ペルソナやカスタマージャーニーマップといったツールを活用することで、顧客に提供すべき新たな価値を見出し、明確化することが求められます。

Step3. インサイトを満たすアイディアを出す

顧客に提供すべき新たな価値が明らかになったら、それを実現・解決するための具体的な方法を考えます。この段階では、ワークショップ形式でのブレインストーミングといった手法が多く用いられています。

Step4. プロトタイプを作成/検証する

アイディアが出揃った次の段階では、プロトタイプの作成・価値の検証が欠かせません。

ここでは、それぞれのアイディアが本当に必要なものなのかを検証するために、問題解決の軸となるMVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を抽出し、プロトタイプの作成・検証を行います。

Step5. アウトプットをブラッシュアップする

最後に、出来上がったアウトプットを実際にユーザーに使ってもらい、ブラッシュアップを行います。この段階ではプロトタイプの形などには固執せず、「想定している機能が有効になっているのか」といった点に集中します。ここでもしも想定していた機能が実現していないことがわかれば、躊躇せずに前のステップに戻ることが重要です。

デザイン思考に欠かせない4つのポイント

今回ご紹介した「デザイン思考」は、あくまでも大きな枠組みにすぎません。つまり、これらの目的に集中し、いかに徹底して取り組むことができるかが成否を分けるポイントになります。

そこで意識したい点は次の4つです。

Point1. ユーザー視点を欠かさない

デザイン思考では、作り手の先入観や思い込みを排除することが一つの目的でもあります。だからこそ、あくまでもユーザー視点を優先して取り組むことが重要です。

Point2. 必ずFACTから設計する

ユーザー視点を中心に据えて取り組む上では、個々人の解釈に左右されるのではなく、客観的な事実を踏まえた観察が大切です。そのためにも、観察を行う段階ではリサーチ結果に加え、写真・映像・音声といった複数の情報を元にした議論を行いましょう。

Point3. 仮説は必ず検証する

デザイン思考では、観察から得られる事実とその事実から得られたインサイトが肝になります。だからこそ、仮説だけで議論を行うのではなく、必ず検証結果とセットにした状態で議論を深めることが重要です。加えて、ブレが生じた際には軌道修正を行うことで、顧客インサイトの実現へと距離を縮めていきましょう。

Point4. 一つのアイディアに縛られない

デザイン思考のメリットは、コストを最小化しつつプロトタイプを作成・検証し、ユーザーからのフィードバックを得られる点です。だからこそ、一つのアイデアに固執することなく、様々な可能性を見据えた取り組みを行いましょう。

まとめ

長きにわたりユーザーの心を捉えることのできるメディアは、常にユーザーに新たな価値を提供し続けています。しかし、ユーザーの価値観が目まぐるしく変化を続け、革新的な新サービスが続々と誕生し続ける今、サービスの「リデザイン」は不可避といえるでしょう。

だからこそ、今回ご紹介したようなデザイン思考が重要な意味を持ちます。ユーザーの視点からインサイトを発掘し、速やかに検証を行うことによって、最小リスクでの価値創出を可能としています。

メディア成長の「次の一手」をお探しの方は、ぜひ一度取り組んでみてください。