UIとUXの違いをわかりやすく解説 | いまUI/UXが重要視される理由とは?

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デジタル化が加速する現代では、紙媒体や対面で展開していたビジネスはデジタル化、アプリケーション化され、その規模はテクノロジーの成長とともに拡大しています。そのため、ユーザーとのやり取りを行う際に接点となるUIや、UXはとても重要視されているのです。

本記事ではUIとUXの違いを解説し、その重要性について紹介していきます。

UIとUX それぞれの違いを解説

UIとUXは、同じ意味の用語のように使われてることが多いですが、この二つには大きな違いがあります。この違いを知ることで、Webデザインやマーケティングの基礎についてより深く理解することができます。

「UI」とは?

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略称のことです。直訳では「ユーザー接点」となり、機器やシステムと人とを繋げるための接点です。

たとえばPCと人との接点となっているキーボードやマウスもUIであり、ゲームのコントローラーもUIです。また、サイトにアクセスした際に目にする写真等のデザインも全てUIとなります。

また、普段私たちが使用しているPCやスマートフォンで表示されているアイコンや画像で分かりやすく操作ができるUIを「GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)」と言い、私生活では使うことはありませんが、エンジニアには馴染み深いテキストだけが表示されている画面を操作するUIを「CUI(キャラクターユーザーインターフェース)」と言います。このように、ユーザーとの接点となるものは幅広くUIと呼ばれるのです。

「UX」とは?

UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称のことです。直訳では「ユーザー体験」となり、UI等を通じて得られる体験をUXと言います。

UIがキーボードや写真といった具体的な物やデザインを指すのに対して、UXは抽象的に「かっこいい」「おもしろい」とユーザーが感じる体験を指します。たとえば、雑誌を読んでデザインが好みの商品を見つけて「これ欲しいな」と思うことや、実際に購入した後に使用してみて「使いやすい」と感じる体験がUXと呼ばれます。

このように、UIとUXには大きな違いがあります。Webデザインやマーケティングでは、ユーザーとの接点となるUIとユーザー体験のUXは、どちらも欠かすことのできないものなのです。

UXとよく似た用語「CX」とは?

UXと同じような意味を持つCXという用語があります。CXとは「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」の略称のことで、同じ体験を意味する言葉ですが、UXよりも幅広い範囲が対象となります。

UXがUIを通してユーザーが感じた「おもしろい」といったような体験を指す用語に対して、CXは購入前の物流や、購入後のサポートまでを含めた全ての体験を指します。たとえば、美容院で満足のいくサービスを受けた後に、担当の美容師からお礼のメールが届き、さらに「良かった」と感じてもらう一連の体験がCXです。

CXとDCXの違い

CXと同じように使われているDCXという用語があります。DCXとは「Digital Customer Experience(デジタルカスタマーエクスペリエンス)」の略称で、デジタル技術を活用したCX、テクノロジーに関するCXのことです。

年代問わず多くの人がPCやスマートフォンを保有し、インターネットを利用できるようになった現代では、ビジネスにデジタル技術が使われることが当たり前になってきました。そのため、DCXとCXを区別する必要性が薄くなり、デジタルが関係する体験も含めてCXと呼ばれてきています。

UIとUXの重要性

UIとUX、それに関連した用語の説明をしました。次に、現代におけるUIとUXの重要性を紹介します。

テクノロジーの発展に伴って拡大し続けているUIとUXの需要、そしてUIとUXのスペシャリストである「UI/UXデザイナー」の重要性について、具体例を踏まえながら紹介します。

IT社会の発展による需要拡大

今までITとは縁遠い業界も、次々とデジタル技術やシステムを導入してビジネスを展開しています。また、大手企業を中心にDXも推進しており、世の中のIT化は急速に拡大しています。そのため、UI/UXデザイナーの需要は拡大しているのです。

たとえば、スーパーマーケットではオンラインで注文できるネットスーパーや、自分で会計を済ませることができるセルフレジなどが普及しています。クレジットカードやQRコード決済等、会計を済ませる手段が豊富になっているため、レジに人を配置する必要性は薄くなっているのです。人を配置しないため人件費のコストを削減することができる等、企業側は様々なメリットを得ることができます。そのため、今後もネットスーパーやセルフレジの規模は拡大し、それに伴い、Webサイトやセルフレジにはより良質なUIとUXが必要となるため、需要も高まり続けることが予想されます。

UIとUXに求められるレベルが高くなっている

現代では、誰もが当たり前のようにWebに触れるようになっている世の中になっています。そのため、日々UIやUXに求められているレベルが高くなり、経験豊富なUI/UXデザイナーが必要とされているのです。

たとえば、家庭用ゲームやスマートフォンのアプリゲームには、昔のゲームのように説明書がありません。代わりに、ゲーム内のチュートリアルで簡単に操作が可能であり、システムも理解できるようになっているのです。説明書を読まずとも、すぐに遊べるような優れたUIとUXが設計されているためです。

もちろんゲームだけではなく、多くの企業が開発し、リリースされている様々なアプリケーションはより直感的に理解できるようになっています。

UI/UXデザイナーの人材不足

UI/UXデザイナーの需要の高さは、統計結果でも示されています。IPA(情報処理推進機構)が発表している「IT人材白書2020」では、DX推進に伴い不足している人材にUI/UXデザイナーが挙げられています。UI/UXデザイナーについて、DXに取り組む企業の3割以上が「UI/UXデザイナーがいないが非常に重要」と回答しています。これはITの花形と呼ばれている先端技術エンジニアやデータサイエンティストに並ぶ割合となり、資料では「人材不足感が強まる可能性がある」と記載されています。

DXを推進している日本において、人材不足が懸念されているUI/UXデザイナーは、今後も重要性が増していくことが考えられるでしょう。

事例紹介:UIとUXに大きな影響を与えたiPhone

事例の紹介として、優れたUI/UXを提供している代表的な企業を紹介します。現代では知らない人はいないと言えるほどの世界的大手企業であるAppleです。Appleは、MacBookやAppleWatch等のシンプルでわかりやすく高性能な製品を開発、提供しており、世界中で多くの人に親しまれています。

その中でも、UI/UXデザイン界隈に大きな影響を与えたのが、スティーブ・ジョブズが発表した「iPhone」です。今回はiPhoneを事例に優れたUI/UXについて紹介します。

従来のスマートフォンの問題点

今では多くの人が手にしているスマートフォンですが、iPhoneが登場するまでは通話ボタンやキーボード等、多くのボタンが搭載されているものしか存在しませんでした。その中で、スティーブ・ジョブズはこのボタンやキーボードが優れたUI/UXを生み出すことを妨げていると考えたのです。

たとえば、非常に魅力的なアプリケーションを開発できたとしても、ハードウェアであるボタンやキーボードの配置を変えることはできません。アプリケーションによって最適なボタン配置は異なるため、この問題を解決しなければ、優れたユーザー体験を提供することができないと考えたのです。この問題を解決したスマートフォンがiPhoneです。

革新的な全面タッチパネルのiPhone

iPhoneはワイドな画面全体がタッチパネルであり、基本的にボタンはありません。アプリケーションにとって最適なボタン配置はソフトウェア側でデザインすることが可能なため、従来のスマートフォンが抱えていた問題点を解消することができたのです。

PCのマウスやキーボードといったUIは使いやすい設計になっていたとしても、初めて触れる人にとっては操作に慣れるまでに時間がかかってしまいます。しかしながら、iPhoneのタッチパネルは自分の「指」がUIの役割を担っているため、誰でも簡単に操作することができ、より優れたUXを提供することが可能なのです。

また、初代iPhoneではホームボタンが搭載されていましたが、最近の機種ではホームボタンも組み込まれていません。評価され続けているiPhoneも日々ユーザー目線を持ってUIとUXに向き合い、進化し続けているのです。

まとめ〜UIとUXの重要性はより拡大していく〜

本記事ではUIとUXの違いや、その重要性について解説してきました。今後もIT技術が進化し、インターネットがより身近に感じる世界になっていくことは明白です。その中で、UIとUXは世の中から求められ続けるものとなるでしょう。

多くのアプリケーションやサービスに触れるユーザーは、使いにくいUIや、良質な体験が得られなければすぐに次のコンテンツに移行してしまいます。そのため、多くのユーザーから支持を得るためには、UIとUXの設計が重要なポイントとなるのです。