ビジネスモデル図解の書き方解説【無料テンプレート付】

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ビジネスを取り巻くさまざまな環境の変化により、業界業種問わず企業は新しいサービスが求められる時代となっています。そして、IT技術の発展により既存のビジネスモデルに囚われない様々な選択肢が生まれているため、ビジネスはより複雑さを増し、競争も激しくなっています。

本記事では、新規サービスや新規事業の開発を検討している方に向けて、ビジネスモデルを整理する上で有効なフレームワークの1つである「ビジネスモデル図」の書き方を解説します。是非、この機会にビジネスモデル図の書き方を学び、実践してみてはいかがでしょうか。

ビジネスモデル図とは?

そもそもビジネスモデル図とは、誰に対して、どんなサービスを、どのように提供して収益を上げるのかを図解にしたものを指します。ビジネスを図に書き起こすことで、ビジネスに関する情報や関係性を構造的に把握できるようになり、理解を深めることができます。

ビジネスモデルは時代の変化により、従来の考え方だけでは成り立たない場合もあります。より論理的なビジネスモデルの構築が求められており、且つ誰にでもわかりやすく共有できる資料が必要なのです。そのため、新規事業の成功には、優れたビジネスモデル図の作成が必要不可欠となっています。

ビジネスモデル図が求められる背景

冒頭で新規サービスにはビジネスモデル図の作成が必要不可欠と述べましたが、本章ではなぜビジネスモデル図が求められているのか、主な要因について解説します。ビジネスモデル図の重要性を高め、ビジネスモデルを大きく変化させた時代背景を2つ紹介します。

テクノロジーの発展による複雑な事業構造が生まれている

現代ではテクノロジーが大きく進歩しているため、企業の規模を問わず多くの業界でDX化が進んでいます。そのため、従来の単純な事業内容ではなく、IT技術を活用した複雑な事業が生まれているのです。

たとえば、一昔前の販売業は対面での商品販売のみ実施していたため、商品を発注して、納品されたら陳列し、来店したお客様から代金をいただいて売上利益を出すシンプルな構造でした。それと比べて現在では、ECサイトを展開することで、webから予約注文ができるようになったり、販売データからお客様一人ひとりに最適化された商品案内ができたりと、ITの力で多種多様なサービス提供ができるようになっています。

このように、新規事業のビジネスは複雑化しており、誰に向けてどのようなサービスをどのようにして提供するのかを具体的にする必要があるのです。そのため、ビジネスモデルを図解にして整理する重要性が高まっています。

競争戦略の激化

前述したように、現代では事業の構造は複雑化していますが、ターゲットとなる顧客セグメントや提供している価値が他企業と重なってしまい、競争が発生することも少なくありません。他企業と新規サービスで競争をする際、どのような対策を講じるべきか、どの点で差別化を図るべきかという点は重要なポイントとなっています。その際にも、複雑なビジネス構造を図解し、整理されたビジネスモデル図はとても重要な資料となるのです。

複雑なビジネスモデルを図解として整理していることで、他企業のサービスと比べて具体的にどの部分で競争が起こっているのか、どの部分を改善するべきなのかを視覚情報として把握し、共有することができます。

また、文字ではなく図解していることで、チームへの共有や社内への説明をスムーズに行うことができるため、対応を円滑に進められるようになります。

ビジネスモデル図を作成する3つのメリット

現代ではビジネスモデル図が必要とされていますが、本章では、ビジネスモデル図を作成することで得られるメリットを3つ紹介します。具体的なメリットを把握することによって、よりビジネスモデル図をうまく活用できるようになります。

ビジネスモデルへの理解・メンバーとの認識合わせができる

ビジネスモデル図の作成により、チーム内でディスカッションをしながら進めることでメンバー間でのビジネスモデルへの理解や認識合わせが容易になります。一人ひとりが別々に思い描いているビジネスモデルを一つの図にまとめることで、認識違いや理解不足を防ぐメリットが生まれます。

また、図として可視化させることで自社サービスの課題や強みが明確になるのも大きなメリットです。

具体的なゴールを設定できる

ビジネスモデル図は、誰に対してどのようなサービスをどのように提供して収益を上げるかの関係図です。そのため、ビジネスモデルの目指すべき具体的なゴールとなり、目標設定をすることができるメリットが生まれます。

目指す形が決まれば、それを実現するための中間目標や手法を話し合うことができるため、より生産的にビジネスモデルの実現が可能となるのです。やるべきことが明確になり、方向性を見誤らずにゴールに向けて着実に進むことができます。
<h3″>定期的な見直しが容易になる

現代はIT技術の進歩や各業界でのDX、顧客ニーズの変化により、目まぐるしく時代が変化していきます。ビジネスを成功に導くためには、その時代の変化に臨機応変に対応し、ビジネスモデルも変えていかなければならない場合があります。その際、ビジネスモデル図があればビジネスモデル全体の見直しが容易になるのです。

また、競合との比較を検討しなければならない際にも、ビジネスモデル図があれば修正を円滑に進めることができます。

ビジネスモデル図の具体的な作成方法

実際にビジネスモデル図を作成する際の具体的な手順を紹介します。

企業や顧客等、登場人物を明確にし、どの媒体を通して何を提供するのかを意識して作成します。本章では例として上記のワークキットでも紹介している「ネットスーパーサービス」のサンプル図解を基に、ビジネスモデル図の作成方法を解説します。

ステークホルダーを洗い出す

まず、ビジネスモデルに関係する顧客や企業を洗い出します。サービスを提供する媒体も一緒に決めておくことが大切です。

上記の図解を例にすると、「料理を作る消費者」「ネットスーパーモバイルアプリケーション」「ネットスーパー運営会社」といった主要なステークボルダーをビジネスモデル図に配置しています。ステークホルダーを洗い出すことで、展開しようとしている新規ビジネスには何が必要なのかを整理することができます。

提供するサービス・対価の関係を決める

次に、洗い出したステークホルダーとの関係性を具体的にしていきます。何を提供し、対価として何を渡しているのか、その流れを矢印で示していきます。

上記の図解を例にすると、「料理を作る消費者」をターゲットに「ネットスーパー運営会社」は「ネットスーパーモバイルアプリケーション」を通して「商品情報・料理レシピ」を提供することで、購入代金を受け取る関係が示されています。その後、契約している「生産者」が生産し、「契約しているコンビニ・駅など」へ配送することで、消費者が受け取れるビジネスモデルということが図解からわかるようになっています。

わかりやすくするために補足説明を追記する

最後に、ステークホルダーの関係図が完成したら、よりわかりやすくするための説明を追加していきます。想定している顧客のニーズ等、ビジネスモデルの重要な点となる部分に説明を記載することで、より理解しやすいビジネスモデル図になります。

上記の図解を例にすると、「料理を作る消費者」が持つニーズの補足説明が吹き出しに記載されています。買い物にかかる負担を軽減させること、消費者への商品提供を確約し、企業側は売り切れ等の機会損失を防ぐビジネスモデルだということが、吹き出しの説明を読むことでより理解できるビジネスモデル図となっているのです。

ビジネスモデル図作成のポイント

ビジネスモデル図を作成する上で、わかりやすく整理し、よりクオリティを高めるための重要なポイントがあります。本章では先程の「ネットスーパーサービス」の図解を基に、ビジネスモデル図を作成するポイントを2つ紹介します。

アイコンを使用してシンプルにする

ビジネスモデル図は、多くの関係者や媒体が必要となる複雑なビジネスの流れを図解にしたものです。そのため、アイコンを使用してわかりやすくすることが大切です。ビジネスモデル図は会社への説明やプレゼンで使用することもあるため、初めて見る人にも理解しやすくしなければなりません。

上記の図解を例にすると、ステークホルダーにはヒトやスマートフォンのアイコンが使用されていて、一目で理解しやすくなっています。また、矢印で関係性を表す際にもアイコンを使用することで、何を提供し何をもらっているのかが分かりやすくなっています。このように、記述を読まなくても頭に入ってきやすいビジネスモデル図にはアイコンの使用が必要なのです。

複数メンバーがいる場合、一度個々で作成してみる

新規サービスを立ち上げる時には、専用の担当チームで取り掛かることが多いでしょう。その際、一度チームのメンバー一人ひとりで、自分の想像しているビジネスモデル図を作成してみることがポイントです。

なぜなら、全員の思い描いているビジネスモデルを図解にして比較し合うことで、チームが目指すビジネスモデルの認識合わせができるからです。また、抜け漏れの発見や、一人では思いつくことがなかった革新的なアイディアが生まれるメリットもあります。

たとえば、チーム内に役職や立場の違いがあれば、経験が浅く立場の低いメンバーはなかなか意見を出しづらい場合があります。しかし、そのメンバーが思い描いているビジネスモデルが重要なポイントを抑えていることがあるのです。そのため、一度メンバーでビジネスモデル図を作成して比較することで、より洗練され、全員が納得のいくビジネスモデル図の作成が可能となります。

ビジネスモデル図はブラッシュアップしていくものであるため、最初から完璧なビジネスモデル図を目指さずに作成していくことが良いでしょう。

ビジネスモデル図は「手書き」と「PC」どちらが良い?

ビジネスモデル図を作成する方法として「手書き」と「PC」があります。どちらにもメリットとデメリットが存在し、自分に合った方法を選択することをおすすめします。今回は、「手書き」「PC」にどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。

手書きのメリット・デメリット

メリットとしては、誰でも直感的に作成できる点です。また、紙とペンがあればどこでも簡単に作成することができる点も非常に大きなメリットです。

デメリットとしては書き方の統一が難しく、一度記載した内容の修正もPCと比べると綺麗にはできない点です。またデータではない以上、全員への共有はプリンターでコピーしたり、PDF化したりする必要があるため手間がかかってしまいます。

PCのメリット・デメリット

メリットとしては、PCの扱いに慣れている人であればアイコン統一や修正が容易にできる点です。データとして作成しているため、ちょっとした修正も簡単にでき、チーム内への共有も円滑に行えます。

デメリットとしては、PC操作が不慣れな人、主にPowerPointに慣れていない人では作成に手間取る可能性がある点です。

「手書き」と「PC」のハイブリッドもおすすめ

基本的にはチームメンバーに合った方法を採用することが良いですが、「手書き」と「PC」両方を使ったハイブリッドな手法もおすすめです。最初に実施するディスカッションのフェーズでは「手書き」で直感的に様々なアイディアを出しながらビジネスモデル図を作成し、ある程度固まったら「PC」のPowerPoint等でデータ化すれば、どちらの長所も活用することができます。

まとめ〜ビジネスモデル図は時代の変化に対応するための土台となる〜

ビジネスモデル図は関係を整理し、原点となる資料になります。今後DX化やAI化がますます加速していく中で、事業の改善や抜本的な見直しを求められることもあるでしょう。その際、図解されたビジネスモデル図が土台となり、柔軟かつ素早い改善・変化に対応することができます。

より良いビジネスを展開するためにも、ビジネスモデル図の作成を検討してみてはいかがでしょうか。