
ITコンサルティング・調査を手がける株式会社アイ・ティ・アールが2018年に実施した調査によると、オンライン接客市場の2016〜2021年度におけるCAGR(年平均成長率)は34.6%で、大きく成長すると予測しました。
これはコロナ禍になる前のに行われた調査のため、実際の成長率はこの予測をさらに上回るとみるべきでしょう。
今回は、オンライン接客を導入するにあたっての注意点と、導入時に押さえるべきポイントを解説していきます。
<目次>
オンライン接客の注意点
・コストがかかる
・顧客・スタッフの感情が伝わりにくい
オンライン接客導入のポイント
・目的をはっきりさせる
・費用対効果に見合うか
・顧客との距離感が適切か
・商品が見えやすいか
・アクシデントへの対応策を準備しておく
オンライン接客とは
店舗やECサイトのスタッフがインターネット経由で商談することをオンライン接客と呼びます。ZoomやLINEなどのWeb会議システムやビデオ通話サービスを利用して行なうことが一般的です。
一方で、Web上で「何か質問はありますか?」などと表示されるチャットボットや、ポップアップでのお知らせによって顧客に情報提供することをWeb接客と呼びます。
実は、オンライン接客とWeb接客は厳密には区別されていません。いずれも顧客体験としての接客スタイルで、インターネット上の接客を示す場合に使われています。本記事では先ほど述べた区分けに沿って進めます。
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オンライン接客の注意点
新型コロナウイルスの流行により、非対面での接客方法であるオンライン接客が注目されています。安心で便利なオンライン接客ですが、導入にはメリットだけではなく、デメリットもあります。代表的なものを確認していきましょう。
コストがかかる
オンライン接客を導入するためには、Web会議やビデオ通話システムといったツールを使用することが一般的です。無料で使用できるツールもありますが、使用時間や機能に制限があるので、有料ツールを使うことが望ましいでしょう。
ツールの導入はイニシャルコストが無料の場合もありますが、月額利用料であるランニングコストが必ず発生します。プランによってランニングコストの差はありますが、どのプランを選択したとしても、予めコストを回収できるかどうかの試算をしておく必要があるでしょう。
顧客・スタッフの感情が伝わりにくい
オンライン接客での商談は、リアル店舗での商談と比較して、顧客やスタッフの感情が伝わりにくいというデメリットがあります。
リアル店舗の場合は、商談の中でお互いの雰囲気や感情、温度感が伝わりやすく「押しの一手」を出すタイミングなどを肌で感じることが可能です。非対面であるオンライン接客では、どうしてもリアル店舗と比べると、雰囲気や感情などを肌で感じることが難しくなります。
接客する側のECサイトのスタッフは、対面時よりもはっきりとした口調や、しっかりとした笑顔を作り、顧客に安心感を与える努力をすることが大切だと言えるでしょう。
オンライン接客導入のポイント
それでは実際にオンライン接客を導入するにあたっては、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?ポイントを解説します。
目的をはっきりさせる
まず決めておかないといけなのが、オンライン接客を導入する目的の設定です。
それぞれの企業や店舗でオンライン接客を導入する目的は異なるでしょう。「他のお店でもオンライン接客を取り入れているから、弊社でもやってみよう。」といった漠然とした考えでは、導入効果が測定できない可能性があります。
- オンライン接客を取り入れてECサイトの売上を向上させたい
- リアル店舗に来店できない顧客の満足度を向上させたい
- 新規顧客を獲得するツールとして活用したい
- 顧客向けのアフターサービスを充実させたい
上記の例の様に、オンライン接客を取り入れる目的を事前にはっきりさせておけば、ツール導入後に効果測定をすることも容易でしょう。
費用対効果に見合うか
オンライン接客を取り入れるためには、Web会議システムの導入費用だけでなく、マイクやカメラの購入費用が発生します。使用するツールは月額利用料も掛かることが一般的です。
さらにオンライン接客対策としてスタッフの教育を事前に行なう必要があるため、教育担当者の工数も計算し、コストとして把握しておきましょう。
これらのコストを考慮してオンライン接客に充てられる予算を事前に決めておくことが重要です。予算内で最適なサービスを見つけ出すために、多くの会社の提案を聞くことも大切でしょう。
顧客との距離感が適切か
リアル店舗での対面接客では顧客との距離感を誤ってしまい、不信感を与えてしまうケースがあります。これはオンライン接客でも同様に起こりうるので、注意しましょう。
ビデオ通話を利用したオンライン接客では、表情などは分かりますが、顧客が何を考えているか、感じているかなどの雰囲気はつかみにくいのが特徴です。スタッフが一方的に話すのではなく、時々「ここまでで不明点はありますか?」などの問いかけをおこない、顧客が話すタイミングを設ける気配りが大切だと言えます。
オンライン接客を求める顧客の多くは、リアル店舗と近しい体験ができることを期待しているでしょう。非対面ではありますが、顧客の距離感を感じ取る工夫をすることが大切です。
商品が見えやすいか
オンライン接客を行なう際は、商品の特徴をしっかりと伝えるための努力も必要でしょう。
リアル店舗での最大の特徴は「商品の現物がある」ということです。逆にオンライン接客の場合は、実物が顧客の手元にないので、どうしても商品の詳細を伝えにくいことがあります。
ビデオ通話でのオンライン接客では、室内の照明を調整して現物の色が分かりやすいようにしたり、カメラを商品に近づけて見やすくしたりなどの工夫を行ないましょう。こうすることで、商品の詳細を紹介することにつながります。
商品の現物とオンライン接客で見える商品を比較して、見え方に違いがあるかどうかなどの確認を行なうために、十分なテストを重ねることが大切なポイントです。
アクシデントへの対応策を準備しておく
オンライン接客はインターネット経由で行なう接客方法ですので、リアル店舗と比較するとアクシデントが発生しやすい環境と言えます。
店舗側の回線が問題なくても、顧客側の回線エラーによりビデオ通話ができない場合もあるでしょう。オンライン接客の予約時に、緊急連絡先として電話番号を記載するなど、インターネット以外の連絡手段が取れるように準備をしておくことが大切です。
想定外のアクシデントを放置していると、顧客の口コミで「あのお店のオンライン接客は使えない」といった悪評が広まってしまう恐れがあります。ささいなアクシデントであっても、顧客のアフターフォローを忘れずに信頼を回復する対策を取るようにしましょう。
まとめ
ビデオ通話を中心としたオンライン接客は、今後ますます広がっていくことが予想されます。非対面で商談することになりますが、各社がリアル店舗と同様のサービスを展開できるように、工夫するようになるでしょう。
オンライン接客はツールを導入して終わりではありません。売上の向上や新規顧客の獲得など「目的を達成することがゴール」だと言えます。
目的を達成するためには、オンライン接客を導入する前から、注意点に気を付けて、詳細を計画することが大切です。ぜひ本記事を参考にして頂き、オンライン接客の導入を進めてみてください。