
ECサイトを運営しようと考えたとき、まずECサイトの構築手段から考える必要があります。
様々な手法がありますが、その中のひとつとして「フルスクラッチ」があります。独自性があり、自由度が高い開発手法ですが、フルスクラッチ開発にどんなメリットがあるのか、どんな企業が向いてるのか気になる方が多いのではないでしょうか。
本記事では、フルスクラッチを構築する際のポイントを解説していきます。
<目次>
ECサイトの開発手法とは?
・フルスクラッチとパッケージの比較
フルスクラッチ開発とパッケージ開発 それぞれの特徴
・パッケージ開発の進め方
・フルスクラッチ(ウォーターフォール)の進め方
・フルスクラッチ(アジャイル)の進め方
フルスクラッチ開発をおすすめするケース
・業務要件にあったパッケージがない
・長期に渡る運用を考慮したい
・高速PDCAをして改善しつづけたい
ECサイトの開発手法とは?
インターネットで商品を販売できるECサイト。ECとは、「電子商取引」という意味で、「Electronic Commerce」の略称です。自社の商品をインターネット上に置いたウェブサイトで販売できます。
ECサイトの作り方には、大きく分けて2つの手法があります。
・フルスクラッチ開発
・パッケージ開発
0から構築する「フルスクラッチ開発」とパッケージ(Saasを含む)を活用する「パッケージ開発」があり、フルスクラッチ開発が主流でした。パッケージと比較して、多くの機能を実現できる代わりに期間と費用がかかる傾向があります。
一方、パッケージは多くの企業が利用し始めており、昨今注目されています。従来、リアル店舗でビジネスを行っている店舗が多い中、コロナ禍で消費行動が大きく変わりました。
「自宅にいながら、ユーザーが商品を購入ができる」といったニーズがあり、そんなニーズに応えるために、導入期間が短いパッケージを選定した企業も多いのではないでしょうか。
パッケージが主流となりつつある現在では、フルスクラッチ開発を時代遅れの方法だと考える人もいるかもしれません。
ここで改めてそれぞれの特徴を考えてみましょう。
フルスクラッチとパッケージの比較
項目 | フルスクラッチ | パッケージ(Saasを含む) |
種別 | フルオーダー | カスタマイズオーダー |
業務 | 業務にシステムを合わす | システムに業務を合わす |
初期費用 | △
機能数に応じて、費用がかかる傾向 |
◎
比較的、安価で導入可能 |
導入期間 | △
システム開発を1から行う |
◯ 即日に近いかたちで利用できる |
拡張性 | ◎
将来性を見越した開発が可能 |
△ 一部、できないパッケージもあり |
運用/学習費用 | ◎
業務合わせて利用できるのでそのまま |
× パッケージに業務を合わせないといけない |
上記の表を見ると、パッケージのメリットは、比較的費用が安くて、導入期間は短いことで、デメリットは、業務をシステムに合わせる必要があるため、学習費用がかかるなどの事が挙げられます。
対して、フルスクラッチのメリットは、フルオーダーで自社の業務に最適なシステムを構築できるため、自社業務をシステムに合わせる必要はありません。そのため、学習費用は低いと考えます。
デメリットは、傾向として費用が高く、導入期間が長くなる部分だと思いますが、開発の手法によっては、サービスインの期間を短縮する事が可能です。
上記を踏まえ、進め方の特徴をさらに深掘りし、自社に合うポイントを考えていきましょう。
フルスクラッチ開発とパッケージ開発 それぞれの特徴
パッケージ開発の進め方
パッケージの進め方は、要件定義、構築、試験といった順序で進めていきます。
パッケージは、ECサイト開発に必要な機能が既に設定されており、導入期間を短縮できます。早ければ、すぐに開設できるようなパッケージも存在しているため、非常に便利です。
オプション機能やカスタマイズも合わせて利用すれば独自性の高いサイト設計も可能なため、オリジナリティのあるECサイト開発ができます。ただし、パッケージの機能が業務に当てはまらなかった場合にフルスクラッチ開発以上に費用がかさむ可能性があります。
また、サービスの停止が提供会社の都合となるため、急にサービスが終了する可能性があります。
こちらは大きなデメリットとなるでしょう。
フルスクラッチ(ウォーターフォール)の進め方
ウォーターフォールの進め方は、要件定義、設計、構築、試験といった順序で進めていきます。
どのようなシステムを作りたいかを最初に決め、この内容をもとにシステムは開発されます。パッケージとは異なり、ステップが多い分、期間が長くなる傾向があります。
ただ、フルスクラッチでの最大のメリットは、自由度の高さです。自社の業務にあったカスタマイズができるため、何か問題が起きてもすぐ対応が可能であり、うまく活用すれば、ユーザーに沿った機能追加もできるため顧客満足度を最大限に上げることができます。
自社のブランド力を高め、ユーザーに合ったシステム開発をしたいのであれば、ウォーターフォール開発が良いでしょう。
フルスクラッチ(アジャイル)の進め方
アジャイル(スクラム開発)の進め方は、要件定義、構築、試験といった順序をタスクごとに繰り返しながら進めていきます。
短期間の開発を反復的に繰り返すことにより、環境やニーズの変化、またそれらに対応するための要求や仕様の変更を行いやすいというメリットがあります。機能毎のリリースが可能なため、サービスを世に早く提供することが可能です。
また、ウォーターフォールと比較すると、早い段階でユーザーからフィードバックを得られるため開発に反映させることができます。ユーザーが本当に求めているシステムにつながりやすいです。
ただし、アジャイルは機能ごとにスケジュールを設定するため、開発期間が長期に渡ることもあり、高いプロジェクト管理スキルが必要になります。
自社の業務に合わせつつ、サービス開始期間を早めたいのであれば、アジャイルでの進め方が良いでしょう。
フルスクラッチ開発をおすすめするケース
フルスクラッチとパッケージ、それぞれの特色が分かったところで、フルスクラッチが適している場合について、見ていきます。
業務要件にあったパッケージがない
まず、当然ながらパッケージ開発を希望しても、パッケージがない場合はおのずとスクラッチを選ばざる負えません。
例えば、自社にしかない商品管理をしていたり、他社の先例にないような機能を構築したい場合です。競合他社が少ない、あるいはシステム導入が進んでいない業界への参入でまったく新しいビジネスに乗り出す場合は、パッケージを使いたくても使えないと思っておいた方が良いでしょう。
長期に渡る運用を考慮したい
サービス開始後も継続的に対応をしていくことは運用価値を考えていく上で非常に重要です。
先述で述べた通り、パッケージ開発ではベースとなる提供会社がサポートを終了すると、システムが利用できなくなります。
フルスクラッチ開発であれば、自社のタイミングに合わせてシステム更新や延命措置を取ることが可能です。開発企業が存在する限り、柔軟にサポートを依頼できることが多いでしょう。
高速PDCAをして改善しつづけたい
ECサイトの売上を構築するうえで重要なのは、現状分析です。さまざまなデータから課題を見つけ解決し、他社とは違った施策立案、実行、検証を行うことが可能です。
大手ECサイトは、いずれもフルスクラッチで構築されており、フルスクラッチの最大のメリットは、自社で課題解決のための改修を最速で実施し、売上を最大化できることです。高速PDCAを実施するには、フルスクラッチによるECサイト構築が最良な方法と考えられます。
フルスクラッチ開発に向いてる企業とは
・自社の業務をそのままシステム構築したい企業
・ユーザーのニーズに合わせて、改善をしたい企業
・将来を見据えたシステムにしたい企業
ECサイトを構築する上で大事なポイントは、どのような開発にするのかではなく「自社の業務内容を理解し、業務に関する課題を見つけ、どのようなシステムにするか」という点です。
これを実現するためには、どんな業務があるのか現状分析をし、開発するシステムを明確にする必要があります。要件定義のような上流工程がうまくいかないと、業務にそぐわないシステムとなり、修正するために作り直しとなると、費用がかさんでしまうケースもあります。
まとめ
ECサイトを運営するために必要な要素を考慮して進めていくことは難しいため、ECの市場や業務を理解した開発パートナーを探し出すことも重要な手法だと思います。
本記事の視点を元にECサイトの構築を検討していきましょう。