【最新動向】米国のワクチン義務化とワクチンパスポート

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日本でもコロナワクチンの接種が進み、10月11日現在で2回目のワクチン接種者が65%を超えました。非常事態宣言も各地で解除され、徐々に経済活動も戻りつつあります。

そんな中、日本でも話題にあがる「ワクチンパスポート」。本記事では、ワクチンパスポートの活用がすでに日常的に進むアメリカの最新情報をお伝えしていきます。

なお、本記事は、アメリカ ラスベガス在住でテックファームグループ会社 Prism Solutions Inc.所属メンバーが執筆しています。

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ワクチンパスポートとは?

ワクチンパスポートとは、新型コロナワクチンを2回接種した人に提供されるもので、飲食店、イベント、ホテル滞在の際にワクチンパスポートを提示すること優待を得られます。

日本では、民間企業のメディカルチェック推進機構とICheckが「ワクパス」の提供開始をすると発表したことで話題になりました。

ワクパスはアプリで提供され、ユーザーは無料で利用することができます。提携企業はクーポン等の特典をワクチン接種者に配布することでサービス利用を促すことで、経済の活性化を目指しています。なお、提携企業にはアパホテルやHIS、かっぱ寿司、鹿島アントラーズ、JT(日本たばこ産業)、東京商工会議所などがあります。

日本では、民間企業主導で提供されるワクチンパスポートと並行し、政府も早ければ年内を目処にワクチンパスポートを発行すると言われています。


米国ワクチン接種事情とワクチンパスポート

8月にもアメリカ各地でワクチン接種済証明となる「ワクチンパスポート」の採用がはじまったことをお伝えしました。あれからどんどんアメリカもワクチン接種率アップの為のキャンペーンが進み、10月の現在では多くの州や都市、学校区やビジネス単位でコロナワクチン接種の義務化がはじまっています。

ちなみにワクチン接種の義務化についてはアメリカではかなり政治化(民主党・共和党支配州の2極端で、民主党州は接種義務化への動き、共和党州は反義務化)が進んでおり、裁判所を交えた論争も繰り広げられています。よって多くの民主党州では今や医療業務従事者や教師にはワクチン接種の義務化が進んでおり、大都市圏ではレストランなどへの屋内施設ではワクチン接種の照明(ワクチンパスポート証明など)が義務化されています。

ではそんな混乱続きですが、確実にワクチンパスポート化が進むアメリカから近況とお届けします。

州によるワクチン義務化の動き

カリフォルニア州、ニューヨーク州、コロラド州、コネチカット州、デラウェア州、ハワイ州、イリノイ州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミネソタ州、ネバダ州、ニュージャージー州、ニューメキシコ州、ペンシルベニア州、バージニア州、バーモント州、ウィスコンシン州およびワシントンDC、プエルトリコでは州知事令が発令され、それに従い医療従事者や学校教職員、州職員などへのワクチン接種の義務化が進んでいます。

例えば州民の71%がコロナワクチン2回目施主済みのカリフォルニア州では

  • 教職員へのワクチン接種義務化(2021年9月30日までの接種完了期限付き!)
  • 刑務所の看守と職員にワクチンの義務化
  • 現在は12歳以上となっているワクチン接種が年少者へもOKとなったら州全員の小学生から高校生までのすべての生徒への接種義務化も考慮中

州民の2回目接種が64%に達したニューヨーク州では

  • すべての医療従事者に宗教的理由などの免税なしでワクチン接種を義務付化(但し、アレルギーなど医療的理由がある場合は免除)
  • ニューヨークの教職員へも義務化。教師の接種率は96%に達しました

都市レベルの動き

カリフォルニア州にあるロサンゼルスではアメリカ国内でも一番厳しい義務:11月4日からバーやレストラン、ネイルサロン、ジムやスポーツ観戦などに入店、参加、そこで従事する従業員などすべての人にワクチン接種(2回目接種済)の証明を義務化しました。

つまり、ワクチンパスポートなどで証明ができないと、スポーツ観戦も入店もできません。

サンフランシスコでも、ワクチンパスポートなどでワクチン接種済ということが証明できないとバー、レストラン、ナイトクラブ、ビール醸造所やワイナリーなど屋内施設への入場はできません。

このほか、ワシントン州シアトルや、ニューオーリンズ、シカゴなどの大都市でも都市単位でワクチン接種証明の義務化が進んでいます。

学校レベルでの動き

これはかなり反対派も多い激論エリア(裁判所判断にまで及んでいます)ですが、全米2位の規模のロサンゼルス学校区ではすべての12歳以上の生徒にワクチン接種を義務化。2022年1月10日までの期限付きで全員接種を目指します。

*アメリカは連邦政府レベルでの法律(つまり大統領令)以外にも州レベルでの州知事令やロサンゼルスやニューヨークなどの大都市の市長令など、地方自治区でも法執行権限があります。ましてはロサンゼルス学校区などのマンモス学校区となると学校に関しては教育委員会もかなりの統治力をもっています。なので連邦でできないワクチン接種義務化も学校区単位で可能になるのです。

大学も同じ。そもそも生徒教員とも12歳以上(接種許可年齢)の大学ではワクチン接種を義務化。もしくはワクチン接種をしていないと授業に参加できないという大学も400校を超えます。(これに反対の学生は志望大学を変えるということもあるようです)

企業レベルでの動き

企業レベルでもワクチン接種義務化、接種証明の義務化がすすんでいます。下記の企業らがその一部。接種をしていないとインパーソンでのオフィス出勤もできません。

• Amtrak(鉄道会社)
• AT&T(電話会社)
• Google (そのままグーグル)
• IBM (ワトソン)
• Lyft(カーシェア)
• McDonald’s (マークドナールド)
• Microsoft (ビル・ゲイツ)
• NBCUniversal(エンターテインメント)
• Netflix(イカゲームで有名)
• Salesforce(セールスフォース)
• Southwest Airlines(大手アメリカ国内航空会社)
• Twitter(ツイッター)
• Tyson Foods (食品会社)
• Uber (カーシェア)
• United Airlines(ユナイテッド)
• Walgreens(大手ドラグストア)
• Walmart(全米1位リテーラー、ウォルマート)

ワクチンパスポートのいろいろ

このように連邦、州、都市、学校区、企業といろいろなレベルでワクチン義務化、ワクチン証明の義務化が進んでいる為、証明の仕方もいろいろ。あまり統一はされていませんが。大体の場合はこのCDC (アメリカ疾病予防管理センター)発行の紙の証明書やその写真があれば、まず大丈夫です。

今のところ、日本から訪れる場合には名前、ワクチンの種類と接種日が明記された政府の接種証明こちらに渡航用の証明書について記載ありますので各自ご確認ください)を用意することでロサンゼルスやサンフランシスコでも屋内施設の利用は可能になるようです。

ニューヨーク州のワクチンパスポートはこちら

カリフォルニア州のワクチンパスポートはこちら

*とはいっても、いろいろ統一感のないのがアメリカ。いい加減なチェックでOK~!と流す入場許可者もいれば、よくわならないからNo! と言われることもありえます。担当者により対応は様々ですのでそのあたりは悪しからず・・・。

民間のワクチンパスポート「クリア(CLEAR)」

さて、それと同時にスポーツ観戦やイベント、展示会会場によっては統一したスムーズな証明確認、入場許可手続きの為にCLEAR(クリア)のような民間のアプリ採用で統制をとる場合も多くなってきました。先日ラスベガスで行われたカジノゲーミングの展示会G2Eでもこのクリアに接種証明を事前アップロード、当日その画面をみせて入場許可を行っていました。

クリア(CLEAR) の例:

もともと、会員制で年会費を払い、自分の情報を事前登録をすることでアメリカ各地の空港でよくみかける保安検査場の長蛇の列を完全カット。クリア担当者にエスコートされて行列の先頭までカットできるなんとも資本主義なVIP感まんまんの便利サービスを提供していたクリア社ですが、コロナで一揆に民間コロナパスポートとして利用されはじめました。

現在全米の多くの空港や球場、アリーナ、展示会会場、イベント会社などと提携。

クリアが提供する「ヘルスパス」はイベント参加者に事前にワクチン接種情報と顔写真、簡単な個人情報を入力してもらうだけでOK。それを元にQRコードを発行、当日イベント会場に到着するとそのQRを見せるかスキャンするだけで入場OK。

※画像をクリックすると拡大します

どんどんワクチン接種率もあがり(政治的理由からの論争もあちらこちらで勃発ですが・・)私たちのネバダ州でも接種率は62%になり、もう少しで屋内のマスク義務着用もなくなるかな???というところです。

もうちょっとでパスポートとワクチンパスポート持って海外旅行にいけるようになったらいいなと願っています!