
CRMとSFAは顧客情報や営業活動などを管理できるため、導入すると業務の効率化につながります。
しかし、CRMとSFAは機能に違いがあるので、どちらが自社に適しているのか判断することが難しく、導入を検討するときに悩んでしまうものです。
本記事では、CRMとSFAの違いや機能、導入するメリット・デメリットをわかりやすく解説した上で、ツール選定のポイントをご紹介します。
<目次>
CRMとは?
・CRMの主な機能
・CRMを導入するメリット・デメリット
SFAとは?
・SFAの主な機能
・SFAを導入するメリット・デメリット
CRMとSFAの違いとは
・導入目的の違い
・機能面での違い
CRM・SFAを選ぶときのポイント5つ
・【ポイント1】利用したい機能があるか
・【ポイント2】使用しているツールと連携できるか
・【ポイント3】導入しやすい価格か
・【ポイント4】サポート体制が整っているか
・【ポイント5】セキュリティ対策がされているか
CRM・SFAを導入する際の注意点3つ
・【注意点1】運用ルールを決めておく
・【注意点2】データの活用法を考えておく
・【注意点3】使い勝手を事前に確認しておく
CRMとは
CRMは「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「顧客関係管理」です。ECサイトや実店舗などでの購買履歴や、企業との商談状況のステータスなどを顧客情報と紐づけて管理するツールのことを指します。
CRMを活用すると、顧客情報にこれまでの購入履歴や問い合わせ履歴などを紐付けて一元管理できるため、顧客の行動分析などマーケティングで役立ちます。
CRMをうまく使いこなせると業務の効率化にもつながり、顧客対応の質が高まるので、顧客ロイヤリティやLTV向上が期待できるでしょう。
CRMの機能や代表的なツールを知りたい方は「CRMとは?小売業界における顧客関係管理の必要性」の記事もご覧ください。
CRMの主な機能
CRMの主な機能は、以下のとおりです。
主な機能 | 内容 |
顧客の情報管理 | 氏名や商品購入履歴、問い合わせ履歴などを顧客毎に一元管理できる |
顧客の行動分析 | 購入履歴やセグメントなどから行動を分析できる、メール配信であれば開封率などがわかる |
マーケティング支援 | 顧客の購入意欲などのステータスやセグメントを絞り、メール配信などが可能 |
プロモーション管理 | 顧客に対してDM配信やクーポン配布、イベントなどの施策の実施や進捗を管理できる |
問い合わせ管理 | 顧客からの問い合わせ内容を管理できる、対応漏れや二重対応などを防げる |
顧客情報を社内で共有できるようになるため、プロモーションや問い合わせなど顧客ごとの対応の差がなくなります。
CRMを導入するメリット・デメリット
CRMを導入するメリットとデメリットを詳しく紹介しましょう。CRMを導入するメリットは、以下のとおりです。
【メリット】
- 業務の効率化や生産向上につながる
- 顧客対応の質が上がる
- 顧客の細かいニーズに柔軟に対応できる
- 担当者による対応の差がなくなる
- 人的コストを削減できる
CRMを導入すると顧客情報をリアルタイムで共有できるため、対応漏れを無くしたり、担当者ごとに対応に差が出ないようにしたりすることが可能です。顧客のニーズが把握でき、対応の質が上がるため、顧客満足度やLTVの向上にもつながるでしょう。
一方でCRMの導入にはデメリットもあります。CRMを導入するデメリットは、以下があげられます。
【デメリット】
- 導入・運用費用がかかる
- セキュリティ対策が必要
- ツールが社内で浸透するまでに時間がかかる
CRMを導入するデメリットとしては、導入や運用費用がかかることがあげられます。
しかし長期的に運用していけば人件費のコスト削減につながるため、費用対効果をみてから導入を検討するとよいでしょう。
SFAとは?
SFAとは、「Sales Force Automation」の頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「営業支援システム」です。営業相手の企業情報や商談状況など営業に関する情報を一元管理できるツールを指します。
SFAは、案件や予算に対する進捗管理や営業活動を管理する機能があるため、営業活動の見える化や効率化などに役立ちます。担当者ごとの営業活動を社内で共有できれば、マネジメントでも活用できるでしょう。
SFAの主な機能
SFAの主な機能としては、以下の内容があげられます。
主な機能 | 内容 |
顧客管理 | 企業名や部署、担当者名など営業に必要な顧客情報を管理できる |
案件管理 | 商談から受注・成約までの進捗状況を共有できる |
行動管理 | 営業ごとの架電数やアポ数、成約率などをデータで管理できる |
予実管理 | 見込み売上に対しての進捗管理や、売上予測などの分析が可能 |
名刺管理 | 名刺をデータ化して、社内全体で共有することができる |
ToDoリスト | 各担当者がかかえるタスクを管理できる、業務量の可視化や優先順位づけに活用できる |
SFAは、営業の進捗状況やタスクなどを可視化できる機能があるため、各担当者の業務量の把握や売上予測を分析して、営業活動の効率化や業績向上に活用できます。
SFAを導入するメリット・デメリット
SFAを導入するメリットとデメリットを紹介します。SFAを導入するメリットとしては、以下があげられます。
【メリット】
- 業務の効率化
- 営業担当者が抱える業務量の可視化
- 生産性の向上
- 営業戦略がたてやすくなる
- 属人化を防げる
SFAを導入すると営業の進捗や目標に対する達成率などが把握できるため、営業戦略が立てやすく、業務の効率化につながります。さらに、トップ営業マンのノウハウを共有できるので、属人化の解消にも役立つでしょう。
一方でSFAの導入には、以下のデメリットもあります。導入を検討する際にはデメリットも理解しておきましょう。
【デメリット】
- 導入や運用コストがかかる
- 機能を使いこなせない可能性がある
- セキュリティ対策が必要
SFAでは、担当者や予算などの情報を扱います。そのため、万が一使用しているSFAがサーバー攻撃などの被害にあってしまったら、個人情報や機密情報を漏洩してしまう恐れがあります。SFAがおこなっているセキュリティ対策も確認しておくと安心です。
CRMとSFAの違いとは
業務効率化につながるCRMとSFAですが、どのような違いがあるのかわからない方も多いのではないでしょうか?CRMとSFAの大きな違いとしては、以下の2つがあげられます。
- 導入目的の違い
- 機能面での違い
それぞれの違いについて詳しく解説していきます。CRMとSFAの違いを把握して、自社に最適なツールを選びましょう。
導入目的の違い
CRMとSFAの違いの1つは、導入目的です。CRMとSFAはどちらも顧客情報を管理しますが、どのような業務を効率化させたいのか、どのような情報を管理して分析したいのかなど導入する目的によって選ぶツールが変わってきます。
【導入目的の違い】
ツール | 導入目的 | 役立つ場面 |
CRM | カスタマーサクセス、顧客対応の質向上
顧客対応の効率化 |
顧客のサポート対応
プロモーション管理 |
SFA | 営業活動の強化
業務効率化や業務改善 |
商談から成約まで
営業の進捗管理 |
たとえば、CRMは、商品やサービスを利用している、または興味を持っている顧客情報の管理や問い合わせ対応などに優れています。顧客のステータスやセグメントにあわせて最適なプロモーションを実施したり、顧客のサポート対応の情報を蓄積できたりするため、カスタマーサクセスに活用したい場合に向いています。
その一方で、SFAは、営業活動を支援する機能が豊富なため、見込み顧客の管理や商談の進捗状況など受注や成約までのフローを可視化して、社内で共有できます。成約率アップなど営業活動に注力したい場合は、SFAの導入を検討するとよいでしょう。
機能面での違い
CRMとSFAは機能面に違いがあります。それぞれ以下の機能を備えています。
【機能の違い】
ツール | 主な機能 |
CRM | ・顧客の情報管理 ・顧客の行動分析 ・マーケティング支援 ・プロモーション管理 ・問い合わせ管理 |
SFA | ・顧客管理 ・案件管理 ・行動管理 ・予実管理 ・名刺管理 ・ToDoリスト |
CRMは、顧客の行動分析やプロモーション管理などの機能があるので、顧客ロイヤリティやLTVを向上させたいときに役立ちます。
一方で、SFAは営業の行動や能力、案件の進捗状況を見える化できる機能を備えているため、営業ノウハウを部署内で共有して、チームの営業力を底上げすることも可能です。
CRM・SFAを選ぶときのポイント5つ
CRMとSFAを選ぶときに、どのようなポイントをおさえて選べばよいのでしょうか?CRMとSFAを選ぶときのポイントは、以下の5つです。
- 利用したい機能があるか
- 使用しているツールと連携できるか
- 導入しやすい価格か
- サポート体制が整っているか
- セキュリティ対策がされているか
選ぶときのポイントを詳しく解説していきましょう。
【ポイント1】利用したい機能があるか
CRMとSFAは営業支援やカスタマーサポートなど利用できる機能に違いがあります。どのような機能を利用したいのかを把握するためには、導入目的を明確化しておくことが重要です。
管理したい顧客情報や分析したいデータ、効率化したい業務内容などツールを選ぶ際に必要な条件を洗い出しておくとよいでしょう。
【ポイント2】使用しているツールと連携できるか
CRMとSFAによっては、他社ツールと連携できる場合もあります。自社で使用しているツールと連携が可能であれば、データの移行や分析など業務の効率化が図れます。
たとえば、ECサイトで導入しているカートや店舗で使用しているPOSレジとの連携ができれば販売数などを入力する手間が省けます。
自社で使用しているツールと連携できるのかを事前に確認しておきましょう。
【ポイント3】導入しやすい価格か
CRMとSFAを選ぶときは、価格が自社にとって適正か検討して判断する必要があります。初期費用と月額利用料がかかる場合が多いため、長期的に利用したときの費用対効果や、予算などを確認して社内で導入を検討しましょう。
また上位プランを選ぶと利用できる機能が増えたり、機能によってはオプション料金がかかったりすることもあります。導入する際には、必要な機能を絞って利用するとコストを抑えられます。
【ポイント4】サポート体制が整っているか
CRMとSFAの導入を検討するときは、サポート体制が整っているかをチェックしておきましょう。
万が一トラブルが発生したり、使い方がわからなかったりしたときにサポートしてもらえる体制が整っていると安心して利用できます。特にツールの導入に不慣れな場合は、サポート体制が整っているものを選ぶとよいでしょう。
【ポイント5】セキュリティ対策がされているか
CRMとSFAはどちらも顧客情報を取り扱うため、情報漏洩などが起きないようにセキュリティ対策がしっかりおこなわれているツールを選ぶことが重要です。
もしも情報漏洩してしまった場合は、顧客からの信頼を大きく損なってしまう恐れがあります。検討しているツールが不正アクセスなどに対して、どのような対策がされているのかをきちんと確認しておきましょう。
なお、小売業界でどのようなCRMツールが使用されているのか知りたい方は「【25社調査】リテール業界向けCRMツールと採用事例」の記事をご覧ください。
CRM・SFAを導入する際の注意点3つ
CRMとSFAを導入する際の注意点を3つあげて解説します。
- 運用ルールを決めておく
- データの活用法を考えておく
- 使い勝手を事前に確認しておく
CRMやSFA導入で失敗しないようにするためには、注意点を確認して社内で検討しておきましょう。
【注意点1】運用ルールを決めておく
CRMとSFAは業務効率化などに役立ちますが、導入しただけではうまく活用できません。まずは導入後にどのように浸透させて利用していくのかの道筋を作り、運用ルールを決めておきます。
社内でツールを浸透させるためには、導入を進める担当者を決めておき、滞りなく使えるようにマニュアルを作成したり、社内講習会を実施したりするとよいでしょう。
【注意点2】データの活用法を考えておく
CRMとSFAは、顧客の行動履歴や営業活動に関するデータを集計できるため、データをどのように活用するかを導入前に考えておきましょう。
たとえば、導入する部署のマネジメント層にツールで取得できるデータや、導入する目的などを周知しておくことが重要です。
【注意点3】使い勝手を事前に確認しておく
CRMとSFAは入力する項目が多すぎたり、使い勝手が悪かったりするとツールが使われない恐れもあるため、事前に使いやすさを確認しておく必要があります。
なかにはトライアル期間やデモ画面などが利用できるケースもあるため、社内で使う予定の担当者に実際に利用してもらい率直な意見を聞いておきましょう。
まとめ
CRMとSFAは、顧客情報や営業活動などのデータを管理できるため、導入すると業務効率化やコスト削減などに役立ちます。
また、CRMはカスタマーサクセスや顧客満足度の向上、SFAは営業の属人化を解消し営業戦略を立てるときに活用できます。
CRMとSFAは活用される場面や機能に違いがあるため、導入目的にあわせて自社に最適なツールを選びましょう。うまく活用できれば顧客ロイヤリティやLTV向上、業績アップにつながります。