会員制ビジネスの課金モデルとメリット・デメリット

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会員制ビジネスには複数の課金モデルがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

そこで、そもそも会員制ビジネスとは何か、どのような課金モデルがあるのか、メリット・デメリットは?といった内容で解説していきます。

会員制ビジネスモデルとは

会員制ビジネスモデルとは、ユーザーが利用料金を支払って利用できるサービスです。サービス自体は無形のものも多く、サービスが無形の場合ユーザー数が増えてもかかる原価が増えるわけではありません。この点で、無形サービスの会員制ビジネスモデルは登録ユーザー数が増えれば増えるほど、デメリットなしに収益を増やすことが可能です。

サービスが有形の場合ユーザー数が増えれば原価も増えますが、売り上げが伸びる、会員に対して新しい商品を宣伝しやすいのでその点でも売り上げにつながりやすい、といったメリットがあります。

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会員制ビジネスの課金形式と事例・メリット・デメリット

都度課金

都度課金は、ユーザーがサービスを購入する度に支払いを行うシステムです。
向いているサービスの特徴としては、商品・サービス・コンテンツの種類が多いこと、人によって利用頻度の振れ幅が大きいもの、などがあげられます。

事例

都度課金の具体例としては、以下のサービスが挙げられます。

まずnoteは、コンテンツ配信サービスです。クリエイターが文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を投稿し、ユーザーは課金してコンテンツを閲覧します。

そのためnoteの運営会社自体はプラットフォームを提供しているだけなのですが、売り上げの一部や、広告収入が入ってくる仕組みです。

次にAWSはアマゾンウェブサービスの略です。クラウド上でサーバー、データベース、機械学習、画像認証、などのサービスを利用できます。ユーザーは利用するサービスに応じて料金を支払います。

ストックフォトは写真素材を提供するサービスです。ストックフォトで購入した写真は、サイトへの掲載等ビジネス用途でも利用可能です。無料の写真素材よりもクオリティが高いという特徴があり、ユーザーは1枚1枚の写真素材に対して料金を支払います。

都度課金のイメージ

メリット

都度課金のメリットは、「リピート購入につながる」「一定期間内で一定金額以上購入した顧客をVIP待遇できる」「会員登録のハードルが低い」「商品・サービスを売れば売るほど収益につながる」「店舗販売から移行することで経費を削減できる」などが挙げられます。

都度課金の場合商品やサービスに対してお金をもらっているため、会員制にしなくてもビジネスとしては成立します。しかし会員制にすることで、ユーザーを囲い込み、戦略的に販売促進、売り上げにつなげることが可能です。

デメリット

サービスによっては、ユーザーからすると月額料金で利用するよりも高くなる可能性があります。また運営者側にとっては、商品構成、価格設定などの手間がかかります。原価がかかるサービスも多いため、会員制ビジネスには適さない可能性もあるでしょう。

継続課金

継続課金は、サービスの退会をしない限り、継続的に料金を支払う課金システムです。課金サイクル、金額などは事業者によって様々で、必ずしも月払いではなく、毎週、隔週といたった指定ができることもあります。

向いているサービスの特徴としては、生活の中でサービスを利用するタイミングが複数回確立していることが挙げられます。

事例

継続課金の事例として以下が挙げられます。

Amazon定期おトク便は、ユーザーが指定した間隔で特定の個数の商品を配送する仕組みです。例えば、トイレットペーパー12ロールを1つ、1か月に1度配送し続ける、といった形です。

カーリースは自動車を一定期間(3・5・9年といった中期間)借りる仕組みです。レンタカーとの違いは、レンタカーはレンタカー会社が所有する車をユーザーに貸し出すのに対し、カーリースは契約者専用の新車がマイカーとして用意され、途中解約が不可になっていることが多い点です。

クラウドサーバのレンタルは一般化していますが、これも継続課金の一例です。毎月料金を支払うか、もしくはある程度まとめて料金を支払います。

ルンバは、2019年6月8日よりサブスクリプションサービスが開始になりました。36ヶ月(3年)の間、月額1200円よりルンバが利用でき(機種によって価格は異なります)、1年を過ぎると解約・返品が可能になります。これは、高価なルンバを安価に体験してもらい、製品の魅力を訴求するのが狙いとのこと。なお、36ヶ月経過した後は利用者に所有権が移り、ルンバを購入したことになります。

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メリット

定期的に自動でお金が振り込まれるため、ルーティン業務が自動化され、本業に集中できます。また支払いが自動化されているので、代金未回収のリスクも低いです。

そしてユーザーにとって途中退会は損になる仕組みなので、離脱率を下げられるメリットもあります。

デメリット

継続課金には、「最初はユーザーが集まらず収益になりにくい」「在庫が余る」「不要になったら解約される」といったデメリットがあります。特に最初の収益化できない期間はあらかじめ想定の上、乗り越えることが必要です。

月額課金(年間一括課金)

月額課金とは、その名の通りユーザーが毎月料金を支払う仕組みです。また月ではなく年払いのサービスもあります。この場合、12ヶ月分の料金を1年に1回まとめて支払う形です。年払いにすることで、月払いよりも決済が楽、最初にまとまったお金が入ってくる、といったメリットがあります。
向いているサービスの特徴としては、コンテンツが多い無形(製品などの固体がないもの)のものが挙げられます。

事例

月額課金の事例としては以下が挙げられます。

Amazonプライムはビデオオンデマンドサービスで、月額料金を支払えば一部のコンテンツを無料で視聴できます。さらにレンタルや購入のコンテンツも用意しているため、そこでも収益化しています。

スタディサプリはインターネット予備校です。月額料金を支払うことで、オンラインで講義を受けられるサービスになります。

Spotifyは音楽ストリーミングサービスです。有料プランと無料プランがあり、有料プランは月額制になっています。過半数は無料プランの会員ですが、無料プランの会員に対しては広告を表示することで広告収入を得ています。

メリット

月額課金は毎月安定した収入が入ってきます。また定額であればユーザーはサービスを多く利用しようという意識が働くため、副次的な収益につながる可能性も高いです。たとえばサービス自体は定額にしておいて、そこからさらに派生するサービスを販売した場合、ユーザーからのアクセスが多い分収益化しやすいということです。

デメリット

月額課金だと、仮にサービスを利用していなくてもユーザーは料金を支払うことになります。そのため、不要になればすぐにユーザーは解約します。また月額であるため、ユーザー数以外の面で収益を爆発的に増やすのは難しいです。

たとえばユーザー満足度を上げるために多くの時間と労力をかけてサービスの質を向上させたとしても、月額課金なので割に合わない可能性があります。

まとめ

様々な課金モデルがありますが、胆となるのはコンテンツの魅力です。コンテンツの吸引力がなくなれば会員はあっという間に離れて行きます。顧客にとって何が魅力的なのかを常に意識して提供し続けることで、事業は拡大していきます。