最新のIoT実証実験(PoC)事例ピックアップ【2019年12月版】

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来年の5G実用化を目前に、様々な分野でIoT・AIを活用した実証実験が行われています。

本記事では、2019年10月頃〜12月現時点で公開されている最新のIoT実証実験の中からいくつかを取り上げてご紹介していきます。技術内容もIoTを活用している業界も多岐に渡っており、なるべく重複がないよう、広範囲にご紹介します。

最近では、既存の技術を掛け合わせた実証実験が目立ってきていることにも注目です。

最新のIoT実証実験事例12選

空港ラウンジ×新サービス

日本航空株式会社、株式会社野村総合研究所、株式会社サトーの3企業が、2019年12月4日から2020年2月28日(予定)までの期間、成田空港国際線JALファーストクラスラウンジにて、新スマホアプリ「JAL Lounge+」を活用して新しいおもてなしサービスの実証実験を行います。

技術としてはアプリの位置測位機能を使うもので、顧客が移動せずに新しい形のおもてなしを受けられるようになります。具体的には4つあり、ラウンジの混雑状況確認、シャワールーム予約、ラウンジ座席から食事オーダー、スタッフ呼び出しが可能になります。本実証実験を通じて、テクノロジーを活かすことでユーザーエクスペリエンスがさらに快適になることが期待できます。

参考:IoT技術を活用した空港ラウンジでの新しいサービスの実証実験を12月4日から開始

複数拠点の製造現場×製造設備データ収集

オムロン株式会社とシーメンスによる実証実験です。オムロン独自のデータ活用サービス「i-BELT」と、シーメンスのクラウドベースのオープンIoTオペレーティングシステム「MindSphere®」を合わせ、複数拠点の製造設備データを連携させ、様々な環境下にある課題を可視化し、複数拠点の課題を同時に解決していき、生産性や品質を高めることを目指しています。

参考: 現場データ活用サービス「i-BELT」とシーメンス「MindSphere」に関し両社でパートナー協力

保育園×人物識別

栃木県では、保育園の安全性向上のため、保護者等の人物識別システムを導入する予定です。この企画には、民間企業では株式会社NTTドコモ栃木支店、株式会社マテハンソフト、が関わっています。使用技術の詳細は明かされていませんが、顔認証の技術と考えるのが自然でしょう。

栃木県ではこれ以外にも、台風等によるビニールハウスの被害状況を早期把握するためのシステム、聴覚障がい者と円滑なコミュニケーションを取るためのシステム、肉牛の体格測定省力化のためのシステム、開花状況を把握するシステム、に力を入れる予定です。

これらすべてをひっくるめて、栃木県IoT推進ラボ「IoT等活用プロジェクト推進事業」と名付けられています。

参考:栃木県IoT推進ラボ「IoT等活用プロジェクト推進事業」について

オフィス×照明制御

KDDI株式会社、株式会社Think Lab、東芝ライテック株式会社の3社は、個人の集中度に合わせて照明を自動制御するシステムの共同実証実験を行う予定です。この実証実験ではバイタルデータと空間データで個人の集中度を測ります。

具体的には、JINSのメガネ型ウェアラブルデバイスで「瞬き」「視線移動」「姿勢」を元に集中度を計測し、オフィス内の「温湿度」や「二酸化炭素」などの空間データを環境センサーで取得し、これらのデータをIoTゲートウェイに収集しデータ解析をすることによって、照明の明るさ・光色・配光が制御されます。今回使われるウェアラブルデバイスでは、3点式眼電位センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーによってデータが取得できるようになっています。

参考:バイタルデータと空間データを活用、個人の集中度に応じて照明が連動する共同実証実験を開始

茶園×収穫量予測

今話題のスマート農業を静岡県が実証実験している事例です。農家、民間企業、行政が連携して一つのコンソーシアムを立てて、2019年4月〜2021年3月までに計127ヘクタールの茶園で実証実験が行われていき、効果検証がなされます。

牧之原市の農事組合法人「茶夢茶夢ランド菅山園」では、カメラやドローンを使って茶園を撮影し、それをアプリに連動させて生育状況を管理するということを行っています。

この先はAIを活用して新芽の画像から収穫量を予測するツールが導入される予定で、作業時間25%削減、荒茶販売額10%拡大を目指しています。

参考:スマート茶園の実証実験始動 AIが収穫量予想 牧之原、島田

フードコート×混雑状況見える化

株式会社セキュアと株式会社ヘッドウォータースは、南砂町ショッピングセンターSUNAMOのフードコートにて、来店顧客のプライバシーを考慮しつつ、リアルタイムに混雑状況を見える化する実証実験を行いました。映像を使って混雑状況をリアルタイムに把握するのですが、人物は全てアイコンに置き換えられている映像が見れる、といったものです。

使われたのはエッジAIカメラで、フードコートの映像を取得した後、まず画像解析で人を検出して位置情報のみをクラウドに送信。その情報を元に人物をアイコンに置き換えた上で画像を生成してWEBページに送信するといった手法が取られました。

参考:エッジAIカメラで来店客のプライバシー領域を自動マスキング。視覚的にわかる空席&混雑状況見える化ソリューション「comieru Live」の実証実験を実施。

カーシェア×バーチャルキー

株式会社NTTドコモはタイの連結子会社と連携して、スマホで車のドアの開閉ができる「バーチャルキー」を活用した無人貸し渡しカーシェアサービスの実証実験をタイにて開始しました。

仕組みとしては、車に通信型の車載器を取り付けた上で、ユーザーはスマホアプリから車の予約をしてバーチャルキーを取得、このバーチャルキーとスマホのBluetooth通信を使って車両のドアを開閉するというものです。

このサービスで従来の物理的なキーが不要になるので、キーの受け渡し・受け取りが必要なくなります。さらに車両の予約状況などのデータが収集できるようになるので、運用効率化につなげることも可能になります。実証実験の期間は2019年12月1日(日)~2020年1月31日(金)となっています。

参考:スマートフォンでドアの開閉ができる「バーチャルキー」を活用したカーシェアサービスの実証実験をタイで開始~国内外での新たなカーソリューションの提供をめざす~

物流倉庫×RFID位置情報とERP連携

株式会社テクノスジャパンとRFルーカス株式会社が共同で、倉庫業務効率化のための実証実験を開始しました。技術内容としては、テクノスジャパン独自のプラットフォームが提供しているコネクタAPIを活用し、位置情報をERP(基幹系情報システム)に連携するというものです。

これが実現すると、物流が可視化され、物品の位置情報等を明確に管理できます。結果的に、棚卸作業や物品探索の省力化、業務効率化、人手不足解消、ヒューマンエラー(人的ミス)の減少、などにつながります。

物流に関わる、メーカー、卸売、小売、すべてにメリットのある技術です。

参考:テクノスジャパンがRFID(電子タグ)高精度位置特定の物流IoTソリューションを提供するRFルーカスとDXプラットフォーム上でRFID+ERP連携の実証実験をスタート!

北海道×観光客の流れ可視化

富士通株式会社は、北海道内の複数の観光協会や企業と共同で、北海道の3市6町村においてWi-Fiパケットセンサーを活用し観光客など人の流れを可視化・分析する実証実験を12月10日に開始しました。

この実験では観光地を訪れた観光客が所有するスマートフォンの固有IDデータをWi-Fi経由で収集し、それをグラフ化します。もちろんデータは匿名化されており、プライバシーには十分配慮しています。

この技術が実用化されると、観光客の動きがわかり、混雑状況や移動ルートを予測できるようになります。その結果、観光客にとって最適な形でサービスを提供できるのです。

観光客にとっても、企業や自治体にとってもメリットのある技術と言えるでしょう。実証実験の期間は、2019年12月10日から2020年3月10日までとなっています。

参考:北海道広域で観光客などの人の流れをIoTで可視化する実証を開始

スポーツ×5Gでのライブ映像制作

4社(ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社、ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社、米国大手通信事業者Verizon、米国テレビ放送局NBC Sports)が第5世代移動通信方式(5G)を用いたスポーツのライブ映像の撮影および制作に関する実証実験を行いました。

結果として、リアルタイムで高画質な映像伝送に成功しています。実証実験では現地時間の12月1日に開催されたアメリカンフットボールの試合を撮影し、その映像をトランスミッター試作機を通じてエンコードしてネットワーク環境に適した形に制御しながら、5Gネットワークに伝送し、スタジアム内編集室にストリーミング配信しました。

この技術により、自由度の高いカメラセッティング、カメラシステム設定にかかる時間、コストの削減、などにつながります。今後の活躍が期待されている5Gの成功事例の一つと言えるでしょう。

参考:ソニーと米国通信事業者Verizon(ベライゾン)5Gを用いたスポーツライブ映像制作の共同実証実験に成功

部品工場×溶接検査

東芝デジタル&コンサルティング株式会社は、世界最大手の自動車プレス部品メーカーであるスペインのGestamp社と、Gestamp社のドイツ工場にて、カメラ画像データとAEセンサーデータを活用したAIやIoTによる、シャシー部品の溶接検査に関する実証実験を開始しました。

技術としては、東芝グループのものづくりの知見、分析技術を活かした画像データによる表面検査、AEセンサーによる内部検査を組み合わせたものになります。

実用化されると、不良検出率の精度をさらに高めることができます。

参考:スペインGestamp社と東芝デジタル&コンサルティング 世界最大手自動車プレス部品メーカーの工場でIoT・AIを活用した溶接検査に関する実証実験を開始

工事現場×建機位置・稼働状況・法面状態把握

ボッシュ株式会社と清水建設株式会社は、IoTソリューションを活用し建設・土木工事現場での建機の位置や稼働状況の取得、法面状態の監視をする実証実験を行いました。

実証実験がうまくいって実用化されれば、遠隔地から、現場のメーカーの建機の位置や稼働状況、現場での消費燃料量、移動土量、施工の進捗との関連性など、多岐にわたる情報を正確に把握できるようになります。

その結果、管理の効率化、生産性の向上につながります。技術的には、建機に機械の位置や稼働状態のデータを取得する「TRACI」タグをマグネットで装着し、取得したデータは、低電力広域無線通信網の一つであるLoRaWANを介してボッシュのIoTクラウドに送信された後にデータ処理され、スマートフォンのアプリやウェブブラウザで直接閲覧するというものです。

参考:ボッシュ、IoTソリューション「TRACI」を活用した実証実験を清水建設株式会社と実施

まとめ

IoTの実証実験は多岐に渡っており、今後よりあらゆる分野でIoTが活用されることは確実でしょう。そして同時に5Gの活躍にも期待されており、今回ご紹介した実証実験の中にも5Gに関するものが含まれていました。5G実用化の現実性がより高まってきている中、今後も最新の動きに注目です。