「Unity」の概要・特徴とビジネスシーンでの活用事例

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Unityは、Unity Technologies社が提供している世界中で利用されているゲームエンジンです。

今回はそんなUnityの概要をはじめ特徴、活用事例についてご紹介します。

ゲームエンジンと聞くとゲーム開発しかできないように思う方もいるかもしれません。しかし、Unityはゲーム業界以外でもさまざまな業界で利用されています。

本記事を読んでUnityの魅力やビジネスへの活用の可能性について参考にしてください。

Unityの概要と特徴

ゲーム開発を行う方にとってUnityは、慣れ親しんだゲームエンジンですが、ゲーム開発の経験がない方にとっては、Unityやゲームエンジンという言葉自体聞き慣れず、どんなものかイメージできない方もいるかもしれません。

現在、Unityはゲーム開発の領域以外でもさまざまなビジネスシーンで利用されるようになり、その注目度も上がってきています。

本章では、まずUnityの基本概要や特徴を解説し、Unityの魅力をお伝えしていきます。

Unityの基本概要

UnityはUnity Technologiesが開発・提供しているゲームエンジンです。

ゲームエンジンとは、ゲームを開発するために必要な映像や音、キャラクターなどの素材やそれらを処理するための機能をまとめて提供してくれるツールのことを指します。ゲーム開発初心者の人でも、これらの素材や機能を使うことで効率的にゲーム開発することができます。

Unityはゲームエンジンの中で最も使用されているゲームエンジンであり、全世界で100万人以上のユーザがUnityで開発をしていると言われています。またモバイルゲームの上位 1000 のうち、Unity で作成されたゲームの割合は7割を超えると発表されているほど、ゲーム業界ではシェア率が高いのが現状です。

Unityの特徴

Unityには大きく分けて以下の3つの特徴があります。

  • マルチプラットフォームに対応
  • ノンプログラミングで簡単に開発可能
  • 2D/3D両方に対応

それぞれの特徴について解説していきます。

マルチプラットフォームに対応

Unityはさまざまなプラットフォームに対応した開発を、Unity1つで行える点が特徴的です。

Windows、Linux、Macなどのデスクトップ端末や、iOSやAndroidといったモバイル端末など、Unityでは全ての環境に対応できるため、開発環境を使い分ける必要もありません。

ノンプログラミングで簡単に開発可能

Unityはノンプログラミングで簡単にゲーム開発を行うことが可能です。

プログラミングの知識がない初心者の方でも、ゲーム上のキャラクターを動かせたりステージを設置できたりするので、簡単に1つの作品が作れる点がUnityの魅力といえます。

2D/3D両方に対応

Unityでは2D/3Dの両方に対応しています。

スマホアプリのような2Dのゲーム開発、PS4でプレイする本格的な3Dのゲーム開発もUnityでは行うことができます。

Unityを利用するメリット

Unityは世界で最も利用されているゲームエンジンということで、誰でも簡単に開発しやすい環境が整っています。

そんなUnityを利用するメリットは以下の3つがあります。

・アセットストアが充実している
・情報量が多い
・無料で開発できる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

アセットストアが充実している

アセットストアとは、ゲーム開発に必要な素材や3Dモデルデータ、音楽といったさまざまな素材を提供しているプラットフォームです。

Unityはこのアセットストアが充実しているため、開発できる作品のバリエーションが広がったり開発時間を短縮できたりするなど、多くのメリットがあります。

アセットストアには無料の素材から有料の素材まで幅広く提供されています。

情報量が多い

Unityは世界で100万人以上に利用されているため、Unityに関する情報が多く公開されています。

公式サイトの情報はもちろんのこと、個人ブログやTwitterでもUnityに関する情報を集めることが可能です。Unityでゲーム開発を行う過程でエラーが出たときなど、検索すれば簡単に解決策がわかる点もUnityの利点といえます。

無料で開発できる

Unityは無料で開発ができるPersonalというプランが用意されているため、初心者の方でも安心してUnityでゲーム開発が行えます。

無料プランでも開発を行うために必要な機能は備わっているため、無料で十分なゲーム開発を行える点がUnityのメリットです。無料プラン以外にもUnityにはPlus, Pro, Enterpriseの3つの有料プランが存在します。

有料プランには無料プランにはない機能が実装されており高度なゲーム開発を行うことが可能です。

Unityの活用領域はゲーム業界だけじゃない

Unityの活用領域と聞くと、はじめにゲーム業界が思い浮かぶと思いますが、ゲーム業界以外にもUnityは活用されています。

ゲーム業界以外でUnityが活用されている業界として、医療業界や自動車業界、建築業界などが挙げられます。一見するとゲームエンジンであるUnityとは関係なさそうな業界ばかりなので、驚く方もいるかもしれません。また、近年話題になっているXRやメタバースにもUnityは利用されており、Unityの活用領域は年々広がっているといえます。

それでは具体的にUnityがこれらの業界でどのように活用されているのか見ていきましょう。

Unityの活用事例

今回は、Unityが活用されている以下の業界や分野での、具体的なUnityの活用事例を解説します。

・ゲーム業界
・医療業界
・自動車業界
・XR
・メタバース

それでは早速活用事例を見ていきましょう!

ゲーム業界

ゲーム業界はUnityが活用されている代表的な業界です。Unityは2D/3Dに対応可能なため、開発できるゲームのジャンルが多く、スマホアプリからPCゲームまで幅広く開発されています。

Unityを使って開発された代表的な作品に下記のゲームがあります。

・ポケモンGO
・バイオハザードアンブレラコア
・原神
・スーパーマリオラン
・ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

医療業界

Unityは医療業界でも活用が進んでいます。

例えば、脳動脈瘤の手術現場でも利用されています。手術を担当する医師が事前にVR上でシミュレーションすることで手術の精度を上げることを目的にされています。

その他にも医療現場では、教育目的でもUnityの活用が進んでいます。

自動車業界

Unityでは3D開発にも対応しているため、車両のデザインをUnityで設計しアニメーション化することも可能です。

HondaではUnityを活用し、車両のデザイン作成からアニメーション化までの時間を短縮することに成功し、プレゼンテーションを効率的に行うことを実現しています。

XR

XRとは、クロスリアリティと呼ばれ、VR(バーチャルリアリティ)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)・SR(代替現実)の総称を指します。以下では、Unityを活用したXR事例を紹介していきます。

なお、XRの概要については、以下の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください。

関連記事 XR技術まとめ|VR、AR、MRの解説と注目されるメタバースとの違い

Walmart VR トレーニング体験

アメリカ最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、VRデバイスを用いて研修を行っています。

一体型VRデバイスであるOculus Goを利用した研修を導入することで、現場の状況をリアルに再現でき、中々体験できないシチュエーションの研修も行うことが可能になりました。

例えば、11月の第4金曜日に開催される年に1度の大規模セールである「Black Friday」では、通常と比にならないほどの忙しさになります。このような年に数回の行事でも、VRでは忠実に再現できトレーニングを行えるため、本番に活かせる対応力を養うことができます。

visiMax Mobile

visiMax Mobileは竹中工務店が開発する建物の内部や外部をVRで再現し体験できるサービスです。

建物の設計時に、模型やCGでは建物内部・外部の日当たりやレイアウト、間取りなどの詳細な情報がイメージしづらいという課題がありました。

しかし、visiMax Mobileでは詳細な情報をVRで確認できるため、より完成のイメージを持ちやすくなります。完成後に「イメージと違う」といった問題を解決してくれる点が、visiMax Mobileの最大の利点といえます。

メタバース

Unityは今話題でもあるメタバースの分野でも活用されています。

メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間でアバターが自由に動き回れる環境のことを指します。イメージとしては「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」をイメージするとわかりやすいかもしれません。

そんなメタバースの分野でUnityが活用されている事例に、以下のようなものがあります。

VRChat

VRChatは、VR空間内にアバターでログインし、多人数でコミュニケーションを交わすソーシャルVRアプリであり、ユーザ間の交流やアイテムの売買などが行えます。

VRChat内では、自作したボードゲームやホラーゲーム、美術館などに人を招待することも可能です。そんなVRChat内のアバターは「Unity SDK」というツールを用いることで、1からオリジナルのアバターを作成することができます。

cluster

clusterはユーザがアバターで仮想空間に入り込み、公開されているワールド内で他のアバターと交流したり散策したりするサービスです。

ワールドの中には、謎解きゲームやアスレチック、お化け屋敷など、個性豊かなものが揃っています。clusterではワールドに遊びに行くだけではなく、Unityを使うことで自分オリジナルのワールド作成することも可能です。

まとめ

今回はUnityの特徴の解説とビジネスシーンでの活用事例について紹介しました。

Unityはゲームエンジンであることから、ゲーム業界でのみ活用されていると思われがちですが、実はさまざまな業界で活用されています。

自動車業界や医療業界をはじめ、XRやメタバーストいった近年話題になっている分野でもUnityは活用されているので、今後もUnityの動向に目が離せません。