Webサイト/アプリのコンバージョン率を上げるユーザビリティ調査3ステップ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

アプリ・Webサイトのコンバージョン率やロイヤリティを上げるためには、ユーザーの求める機能や情報、使いやすさなどユーザビリティ調査が欠かせません。

なぜならユーザーの求めているものがわからなければ、最適なサービスを提供することはできないからです。

では具体的にどうすればユーザビリティを高めることができるのでしょうか。

本記事では、コンバージョン率を高めたいときにまず注目したい「ユーザー目線」について触れ、ユーザビリティを高めるために現状の把握手段として実施すべきユーザビリティ調査の3ステップを解説していきます。

ユーザー目線の重要性

Webサイトやアプリに、「ユーザー目線」はとても大切です。ユーザーが必要とするものを使いやすい形で届けないと、選ばれるサイトやアプリにはなりません。しかし、世の中には「ユーザー目線」が考慮されていないサイト、アプリが多いです。その結果、使いづらい、使われない、売れない、ということが起こります。

ではなぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。それはユーザーの使いやすさよりも、作り手都合や見た目のかっこよさやコンバージョンさせたい気持ちを重視してしまうからです。

アプリやサイトの見た目のかっこよさはもちろん大事ですが、それ以上に中身が大事です。ユーザにとって本当に必要な機能や情報以外は、ユーザーの混乱を招き、コンバージョンやロイヤリティを下げることにも繋がります。

ユーザー目線に合わせた良いサイト・アプリを作るためには、まずユーザーの求める情報をユーザー目線で理解する必要があります。この理解のために使われる調査手法が、ユーザビリティ調査です。

ユーザビリティ調査とその必要性、実施メリット

それではユーザビリティ調査について、詳しく見ていきましょう。ユーザビリティ調査とは具体的に何をすることなのか、結果どのようなメリットが得られるのか、について解説します。

ユーザビリティ調査とは?

ユーザビリティ調査とは、ユーザー目線での使いやすさを調査するものです。ユーザビリティ調査の方法は複数ありますが、まず重要な観点として、UXとUIがあります。

UXはユーザーエクスペリエンスの略で、広い意味ではユーザーが得られる体験全般です。Webサイトやアプリを訪れた人が気持ちよく使って、書いている情報をきちんと理解し、機能の有用性を実感し、企業や商品に信頼を寄せるまでのステップを最適化させるための手法です。

UXはユーザーの満足度に直結します。たとえば、検索機能がなくて情報が見つからない、サイトの構造が散らかっていて見にくい、そもそもサイトの読み込みが遅くて離脱してしまう、といったことは誰もが一度は経験されているのではないでしょうか。

UIはユーザーインターフェースの略で、サイトのデザインを指すのが一般的です。先ほど検索機能の例を出しましたが、機能そのものがないのはUXの領域、ボタンの場所がわかりにくいなどはUIの領域です。

ユーザビリティ調査はなぜ必要?

UXもUIも技術の問題というよりはユーザーがどのように感じるかという問題です。そしてWebサイトやアプリにおいて一番重要なのはユーザーがどう感じるかです。極端に言えば、情報が見やすければHTMLだけのペラ1枚のサイトでも問題ないわけです。

もちろんペラサイトのみというのは現実的ではありませんが、機能性やデザイン性の高さではなく、ユーザーにとって必要な機能が備わっていてわかりやすいデザインであることが重要です。逆に、ユーザーにとって不要な機能やデザインは使いづらいだけでなく、混乱を招き、伝えたいことが伝わらないばかりか、離脱してしまう可能性もあります。

ユーザーの利用シーンや使い勝手を考慮した設計を人間中心設計(HCD=Human Centered Design)と呼びます。例えば建築現場で使うアプリであれば、屋外環境での作業を想定し操作しやすい、見やすいもの作る必要があります。HCDの考え方はWebサイトやアプリに限った話ではなく、調理器具、住宅、家具、車、などあらゆるものに該当する話です。技術で様々なことが解決できるようになった時代だからこそ、技術力の高さではなく、ユーザーのニーズに沿った技術のみを抽出することに力が注がれています。

そしてユーザビリティ調査は、単にユーザーにアンケートを実施するようなものではありません。ユーザーの希望である顕在的なニーズだけでなく、ユーザー自身は気付いていないものの満たされると嬉しいと感じる潜在ニーズを満たす必要があるからです。顕在ニーズは飽和状態にあるので、この潜在ニーズを満たすことこそがユーザビリティ調査の一番の目的と言っても過言ではないでしょう。

ユーザビリティ調査を行うメリット

今は変化が激しい時代であり、人の価値観も激しく多様化しています。つまり企業にとっても絶対的な指針が見つかりにくい時代になっていると言えるでしょう。しかし、指針が見つかりにくいからといって主観ですべて決めてしまうと、ユーザーニーズと乖離してしまい結果を出すことに結びつきません。

いくら価値観が多様化しているとはいえ、何にでも需要があるというわけではありません。そこで客観的な指標の一つになるのが、ユーザビリティです。このユーザビリティを調査することで、ユーザーニーズを掴むことができ、ユーザーニーズを満たす形でサービス作りを行うことができます。そしてできあがったサービスに対するユーザーの反応を見て、さらにユーザビリティを改善していくこともできます。

ユーザービリティを考慮せずにサービスを作ることは、ニーズとサービスがずれて成果に繋がりづらいだけでなく、明確な指針を立てることができない分、その後の改善もしづらくなるということです。仮説を立て、ユーザビリティ調査を行い、サービスに反映し、結果を見て改善する、という繰り返しで正解に近づいていきます。

ユーザビリティ調査のステップと手法

それでは、具体的なユーザビリティ調査の手法をご紹介します。本格的にユーザビリティ調査を行う場合のステップは、①競合調査②専門家(デザイナー)目線での調査③ユーザー目線での調査、という順番で行われます。

ベンチマーキング/競合調査

ベンチマークとは指標のことです。どのような水準でWebサイトやアプリを作れば良いかの指標になるもので、競合となるサイトまたはアプリを見ることで調査できます。具体的な競合調査の方法は複数あります。

例えばサイトであれば、競合サイトの中身であるコンテンツ内容を見たり、サイトの使い勝手やデザインの分かりやすさという点でサイト構成を確認したり、集客面でどのようなキーワードで流入しているのかを調べたり、といった方法です。

競合と言っても厳密にはサービス内容が異なるはずなので、完全にサイトの内容が一致することはないでしょう。競合がどのような記事を作っているか、どのようなサイト構造になっているかなどを意識しつつ、自社サイトの運営に役立てると良いです。

ちなみにコンテンツで差別化ができていれば、デザインなどで大きく差別化を図る必要はないケースもあります。むしろ競合のサイトが見やすいと思えば、コンテンツ以外は積極的に真似ていくべきです。

エキスパートレビュー

エキスパートレビュー(ヒューリスティック評価の簡易版)とは、専門家によるユーザビリティ調査のことです。操作の状態がユーザーわかる(インタラクション)、操作やデザインパターンの一貫性、エラー予防が行われているなどのユーザビリティに関する10の視点で専門家が問題点を抽出し、それに対する改善案を提案します。

エキスパートレビューでは専門家の視点で網羅的に調査できますが、定性的な調査になります。グーグルアナリティクスやアイトラッキングなどのツールを使ってユーザーの動きを解析をエビデンスとして用い、エキスパートレビュー結果の裏付けを強化することもできます。ただし、グーグルアナリティクスやアイトラッキングだけの調査の場合、見られていない情報や離脱する場所を特定することはできますが、専門家の視点がないと解決方法がわかりません。

ユーザーインタビュー

最後にユーザーインタビューです。これは昔からある方法ですが、Webサイトやアプリの調査においても有効です。ユーザーインタビューは大きく分けると、一対一で実施するデプスインタビューと、グループで実施するグループインタビューがあります。

デプスインタビューでは一人のユーザーから意見を深堀して聞き出しやすいのに対し、グループインタビューでは複数人から意見が出ることで、ユーザー自身が認識していなかった意見が新たに生まれるケースもあります。Webサイトやアプリに関するインタビューでは、オンライン上でユーザーの意見を抽出する場を設け、インタビューを実施するケースが多いでしょう。

さらに定量的な調査として、アンケート調査を用いることもあります。近年では、ユーザーインタビューで抽出されたアイディアの裏付けや補完するために用いられることが多くなっています。

まとめ

Webサイトやアプリのコンバージョン率を上げるためには機能性やデザイン性ではなく、ユーザビリティが最重要だということを今回ご紹介しました。そしてユーザビリティを高めるためには、ユーザビリティ調査が必須だとお分かりいただけたのではないでしょうか。

ユーザビリティ調査はユーザーから直接意見を聞く方法だけでなく、競合の分析、ツールによる分析、などがあります。指標を立て、実施し、調査し、改善する、という繰り返しでWebサイトやアプリのコンバージョン率が上がっていきます。