コロナ禍のエンタメ業界市場と新たな取り組み

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コロナの影響によりエンタメ業界は大きな打撃を受け、業界を取り巻く環境が大きく変化をしています。

リアルの場で人が集まることが難しくなった今、様々なイベントがデジタル化されるようになり、ユーザーのエンタメの楽しみ方は大きく変わりました。

本記事では、まずコロナ禍でのエンタメ業界市場の変化や今後のトレンド、消費者動向の変化について触れていきます。その上で、無観客イベントや無観客試合をはじめ、人がリアル空間で集まらずともエンタメを楽しめるように行われている新しい取り組みについて解説していきます。 

コロナ禍のエンタメ業界の変化

まずはコロナ禍でエンタメ業界がどのような影響を受け、どのような変化を遂げているのか現状を解説します。

市場動向と今後のトレンド

コロナの影響で、エンタメ業界の市場にも影響があったことは容易に想像できるかと思います。ただし、エンタメ業界と一言に言っても、コロナによる影響の受け方は様々です。縮小した業界、変化がない業界、拡大した業界があります。

例えば、ライブエンターテイメントの市場規模は2019年で6,295億円でしたが、2020年はその3割程度まで落ち込む見通しです。(参考:ぴあ総研|ライブ・エンタテインメント市場規模)人が直接的に集まるようなエンタメは当面の間、自粛することが予想される一方で、もともとオンラインが主戦場であったエンタメ業界はコロナの影響で右肩上がりに伸びています。具体的にはストリーミングやオンラインゲーム業界やオンラインショッピングなどが挙げられるでしょう。いわゆる巣ごもり需要で大幅に売上が伸びています。 

2021年以降もコロナの影響は当然続くと予測されており、また仮にコロナが収束しても、このコロナ禍で経験したニューノーマルな生活をうまく取り入れながら生活を送っていくことが予測されます。エンタメ業界においては、このタイミングで試行錯誤を繰り返し、アフターコロナのエンタメの楽しみ方を見つけていく必要があります。

消費者意識に変化-「トキ」消費へ加速

トキ消費とは、その時しかできない体験に参加するという消費行動のことです。モノ消費、コト消費に続く概念として注目されてきました。

トキ消費は、非再現性、参加性、貢献性、という三つの言葉で説明ができます。まず、非再現性とは、後からは再現できない、その場にいないと味わえない体験のことを指します。参加性は、同じ趣味や関心を持っている人が不特定多数の集まり、その場を積極的に盛り上げるなど自ら主体的に参加することです。また、貢献性については、自分がイベント等の盛り上がりに貢献していることを実感できるということです。

コロナ禍での「トキ消費」とは、主にオンラインで参加できるイベントなどのことを指します。従来のイベントは、一方的に配信されることが多かったですが、オンラインイベントでは、場所の制約を受けずに、オンライン上でコンテンツを得ることがより簡単になっている上に、リアルタイムという付加価値を視聴者やファンに届けることが可能となりました。それにより、視聴者やファンは、自ら発信し配信者と交流したり、同じファン同士での交流もしやすくとなったり、「トキ消費」をより実感できるように変化しています。

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コロナで台頭したエンタメ業界の取組み・サービス

2020年はコロナの影響で、ユーザーのエンタメの楽しみ方が大きく変化しました。本来ならばリアルな場所に集まり、アーティストやアイドルと同じ空間で楽しむことがエンタメの醍醐味とも言えるでしょう。しかし同じリアルな空間で集まることが難しくなったことで、エンタメ業界では、試行錯誤しながらも新しい形のサービス提供が始まっており、イベントそのもののあり方や、観客に与える体験の変化が生じています。

本章では、具体的なサービスを例にあげ、まとめて紹介していきます。

無観客ライブ

無観客ライブとは、観客が全くいない状態でライブを行うことです。従来のライブであれば、会場にアーティストとファンが実際に集まり公演が行われますが、無観客ライブでは会場にはアーティストしかおらず、その様子がオンラインで配信され、ファンはテレビ・スマホ・PCなどでライブを鑑賞することができる新しいライブの形です。

日本では、サザンオールスターズや星野源が参加型ライブを実施して話題となりました。海外では、韓流グループのBTSや東方神起がファン参加型ライブを実施したことが世界でも注目されました。

この無観客ライブは、コロナ禍において重要とされる「接触を減らす」という目的で普及が進んでいます。しかし、感染拡大防止以外にも、新しいライブの楽しみ方を提供できるというメリットもあります。観客は場所の移動が必要なくなり、自宅や職場など自分の好きな場所で気軽にオンラインライブを楽しめるようになったのです。

その一方で、従来のライブに比べると臨場感に欠けたり、観客に鑑賞する環境を整えてもらう必要があるといったマイナス点もあります。また、視聴の集中アクセスが発生しやすく、サーバダウンや画面フリーズなどのトラブルが発生するリスクもあるので、事前に対策を行う必要があります。

無観客試合

スポーツの無観客試合もたびたび話題になっています。無観客試合は様々なサービスでライブ配信されており、代表的な配信サービスとしては、DAZN、Rakuten Sports、Hulu、J SPORTSオンデマンド、ニコニコ生放送があります。各試合でライブ配信が行われながら、さらに盛り上げてファンに楽しんでもらうために工夫が見られます。

例えばNBAでは、バーチャル観客席が用意されており、ファンはその席を購入することで自身の映像を投影することができる仕組みを設けています。この仕組みにはマイクロソフトが提供するオンライン会議システムTeamsのTogetherモードが活用されています。参加するファン同士で応援ジェスチャーなどを決めて、それを同時に行うことで試合中の応援の一体感を叶えています。

日本のバスケでは、B.LEAGUE全36クラブが投げ銭による応援機能を用意しています。試合のライブ配信を見ながら、マスコットキャラクターのアイテムを投げ銭で購入し、クラブへの応援マネーが送れるというシステムを導入しています。

野球試合が行われる福岡PayPayドームでは、ソフトバンクが提供する「VR SQUARE」で、ホークス公式戦をVR観戦することができます。VRを利用することで映像を立体的に演出し、臨場感を味わえるようになります。その他の野球会場でも、応援メッセージを送ると会場の大型パネルに映し出すといったサービスが提供されています。

日本サッカー界では、スマートフォンなどからボタンをタップすることで、歓声や拍手、ブーイングなどのアクションが会場に設置されたスピーカーを通して音声として現場に届けるサービスが試験導入されました。ヤマハ株式会社が提供するRemote Cheerer powered by SoundUDというもので、 明治安田生命J1リーグのクラブを対象に導入されました。

図夢歌舞伎(Zoomで歌舞伎)

図夢歌舞伎とは、オンラインのWeb会議システムとして多くのビジネスシーンでも活用されているZoomを使い、歌舞伎の演目を配信するサービスです。

図夢歌舞伎は、オンライン配信専用に作品を作り直しているという点に大きな特徴があります。役者の舞台上でのアングルで演目を楽しむことができたり、アップでの撮影により役者の細かい表情や目力に圧倒される演出も話題となりました。その他にも、別の空間で役者が共演しているのが2画面で演出されたり、事前収録された映像とリアルタイムで行われる演技が画面上で共演されるという新しい演出もありファンを驚かせました。また、Zoomのチャット機能を生かして、演目の間にファン同士での会話を楽しむことも可能となり、居合わせたファンとリアルタイムに会話をすることが可能となり、盛り上がりました。

バーチャルフェス

バーチャルフェスとは、PCやスマートフォンを用いて、アーティストのライブやトークイベント、アート展示会に参加したり、グッズの購入、著名人との写真撮影をバーチャル上で楽しめるフェスの形です。PCやスマートフォンだけでも参加できますが、VRゴーグルを装着すると、よりリアルな空間を楽しめることができます。クリスマスをテーマに「バーチャル渋谷 au 5G X’mas」やハロウィン時期に開催された、きゃりーぱみゅぱみゅが出演したハロウィンイベントも有名です。

イベントでは渋谷の街並みがバーチャルで精巧に再現されており、アバターを通して街を楽しむことが可能となっています。そして、アーティストやお笑い芸人をはじめ、世界各国からDJも参加しライブを楽しむことができます。また、季節ごとに変化するフォトブースが用意されていたり、フェス限定のグッズ購入、謎解きゲームなどのコンテンツも用意されました。

オンラインファンミーティング

オンラインファンミーティングは、アーティストやアイドルと一定時間、一対一または一対複数で直接話せるサービスで、握手会に代わるサービスとして人気を集めています。

ファンミーティング中には、オンライン上で記念撮影をしたり、差し入れやプレゼントの代わりにバーチャルアイテムを購入して贈ることを可能にしているケースもあります。このようにして、リアルで開催さてれていた握手会や撮影会と同様に、ファンがアーティストやアイドルと近距離感を味わえたり、ワクワク感を感じられるような工夫が施されています。

SNSライブ配信

SNSライブ配信は、InstagramやYouTubeといったSNS上で配信されるライブ映像です。オンラインファンミーティングに比べ、広く認知されることを目的にし、不特定多数のファンと広く浅く交流できることがメリットと言えます。

SNSライブ配信は単に撮影して投稿するよりも、トキ消費という観点で新しい楽しみ方を提供しています。ライブ配信に対して視聴者はコメント機能で自由に配信者にコメントできるため、配信者と視聴者はコミュニケーションを簡単に取ることができます。さらにその内容をシェアをすることで、参加していることやその場の盛り上げに貢献しているという満足感を感じることができます。

コラボ配信(オンラインコラボ)

コラボ配信は、近頃よく見られる形のコンテンツ提供方法で、芸能人やYouTuberやインスタグラマー、企業、ブランドなどがコラボをして共同で動画配信することです。

複数人によるコラボにより、単独集客よりも幅広いターゲットの集客が可能になったり、新しいコンテンツが生まれやすくなることで、視聴者にとっても新鮮なものが多く人気を集めています。企業にとっても新しいPR手法として採用されることも多くなっています。

まとめ

コロナ禍でエンタメ業界は厳しい立場に立たされましたが、その一方で多くの新しい取り組みが積極的に行われています。オンラインツールを活用し、新しいサービスに取り組むことで、これまでにないサービスの形や、今まで以上にユーザーが喜ぶサービスを生み出せる可能性も高いでしょう。

サービスのオンライン化はツールを通して消費者の動きを可視化しやすいため、マーケティング観点でもメリットがあリます。エンタメ業界でオンライン化する場合も、ただ単に新しいサービスを始めるのではなく、ファンの会員情報から嗜好性データなどの管理、オンラインプロモーションの活用なども重要となってくるでしょう。

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