RPAを活用したバックオフィスのデジタルシフト成功事例4選

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コロナの影響で様々な企業がデジタルシフトの必要性を感じたことでしょう。

オフィスや店舗に出勤せずリモートで業務を進めていく上で、困ることが特に多かった業務の種類の一つとしてバックオフィス業務があります 。

本記事では、デジタルシフトの概念を改めて解説した上で、バックオフィス業務の中でもデジタルシフトの必要性が高い業務に焦点を絞り、成功事例を4つ挙げてデジタルシフトの有効性をご紹介していきます。

必要性が高まるバックオフィスのデジタルシフト

緊急事態宣言が解除され数ヶ月が経ち、幾分新型コロナウイルスに対する緊張感が飽和されつつありますが、リモートワークを余儀なくされていた時期に大変な思いをされた方も多いはずです。

日本の企業は元から、特にバックオフィスの無駄が多いと指摘されていました。文書を紙媒体で保管しているがために情報を探すのに手間がかかったり、無駄な会議の存在、その他必要のない業務や慣習の数々などです。そして、今までは従業員がオフィス・店舗などの業務拠点に出勤し、日々の業務を進めていくことが当たり前とされていました。

そのような中、いざ在宅業務に切り替えるとなると様々な困難が伴うのも無理ありません。そこで多くの企業が直面したのが「デジタルシフト」です。

デジタルシフトとは

デジタルシフトとは、アナログで行っていたことをデジタル化することで、時間や距離などのアナログならではの制約を取り払い、いつでもどこでもすぐに双方コミュニケーションが可能になることです。つまり、本質的なデジタル対応が実現できていること、とも言えるでしょう。

デジタルシフトの範囲は多岐に渡っていて、例えば、店舗にて商品や原料を仕入れていたところを、オンラインで注文するようになることもデジタルシフトです。今まで足を使ってビラ配りなどで広告宣伝していたところを、ネット広告中心にするのもデジタルシフト、WEB面接を導入したり、リモートで人材育成するのもデジタルシフトになります。

このように、今までアナログで行っていたことをデジタル化する動きは各所で進んでいますが、ほとんどがデジタルシフトと言えます。

バックオフィスに存在する非効率

冒頭でも少し触れましたが、日本の企業は非効率、長時間労働している割に生産性が低い、と指摘されることが多いです。これは無駄な会議が多かったり業務を進めるための確認作業等の足かせが多いことが原因なのですが、それだけではなく、バックオフィスの業務全体が非効率ということもあります。

たとえば、情報を紙媒体で管理しているために情報がすぐに探し出せない、リモート化ができない、紙の文書を閲覧するのに許可が必要でコミュニケーションの手間が生じる、といった問題点が挙げられます。

今の時代セキュリティが強固なオンラインストレージを利用している企業も増えており、また契約も電子化が進んでいます。本当に機密性の高い情報に関しては紙媒体で社内に保管する必要があるかもしれませんが、多くのものは必ずしも同等レベルのセキュリティを要するとは限りません。

セキュリティと業務効率性の面を天秤にかけ、デジタルシフトできるものは積極的に対応していくべきでしょう。

バックオフィスのデジタルシフト成功事例

バックオフィスのデジタルシフトには様々な手段がありますが、ここではバックオフィス業務のデジタルシフトに用いられる代表的なソリューション、RPA(Robotic Process Automation)を導入して成功させているピックアップしてご紹介します。どの企業も途中経過を発表しているのですが、RPAを活用してバックオフィス業務を自動化もしくは効率化することで時間や労力の削減に成功しています。そして今後はどの企業もサービス、商品の品質向上につなげるために、さらなるIT活用やAIの活用を検討しているようです。

余力創出とコピー用紙削減(あいおいニッセイ同和損害保険)

あいおいニッセイ同和損害保険では、RPAを導入し人手で行っていた業務を自動化、経理が行う保険料精算業務やその他様々な社内業務にはCRMとERPを兼ねたツールを全社導入することで紙業務の大幅削減に取り組みました。そして今後はAIの導入、活用も進めていく方針とのことです。

保険会社では特に顧客の個人情報等を扱う機会が多く、データをいかに扱い、扱う過程の無駄をいかに削減するか、といったことが大幅に業務効率に影響します。デジタル化による業務効率化を図り、さらにはAIを合わせて活用することでさらなる高度な業務効率化、そしてマーケティングに活かす方針であるということです。

参考:あいおいニッセイ同和損害保険の業務改革の実現に向けて協力

医療機関の業務効率化(社会医療法人宏潤会 大同病院)

社会医療法人宏潤会大同病院もRPAを導入することで一部業務の自動化を図っています。具体的には、診断や治療の質の高度化、業務の効率化、地域の診療・介護ネットワークの強化などを実現しています。

同院ではもともと電子カルテシステムなどから大量のデータを収集し、経営の意思決定のためにBIを活用していたのですが、より細かなデータを元に現場改善を行うには、人間が情報を整理する必要があったのです。そこでRPAを導入したところ、年間8,000時間にも及ぶ業務時間を補うことができたようです。

参考:医療機関で民間企業を超える業務効率化を実現!将来的には、AI+RPAで医療の質を高度化し、さらなる安全を確保

時間効率で年間約1100万円の削減効果(サッポロビール)

サッポロビールもRPAを導入することで、ルーティンワークを大幅に削減しました。具体的には、様々なフォーマットで開示されている小売企業のPOSデータのダウンロード作業にRPAを導入し、労力をかけずにダウンロードできるようにしています。時間効率を考えると、その削減効果は年間約1100万円です。

定期的に発生する単純作業で、且つ貴重なデータを取得に必要不可欠な作業の場合、人手で補ったりアウトソーシングするよりもデジタル化してしまうことで、単純なコスト削減だけでなく、よりタイムリーな分析が可能になったという良い例と言えるでしょう。

参考:RPAの活用で、サッポロビールに年間約1100万円の削減効果

経費精算業務10,000時間の削減効果狙い(田辺三菱製薬株式会社)

田辺三菱製薬株式会社ではデジタルトランスフォーメーションの専門部隊を作ってAIを活用した新薬開発を行ったり、医薬品情報の集約、経理・総務・人事等管理業務を集約して業務の生産性改革の取り組みを行っています。中でも、バックオフィス業務のデジタルシフトという点では、RPAの導入が大きな成果を出しています。

特に効果のあった業務として、世界各地にある拠点にいる駐在員の経費精算業務が挙げられています。人がシステムに入力していたものをRPA化することで既に500時間を削減し、今後は全部署に対応することで10,000時間以上もの削減効果を狙いとしています。

参考:田辺三菱製薬株式会社、RPAを活用した業務生産性改革とデジタル人材の育成

まとめ

デジタルシフト自体はかなり前から注目され始めていますが、新型コロナウイルスの影響もあり、その重要性と緊急性が増したと言えるでしょう。

今回ご紹介したのはごく一部の事例ですが、企業規模の大小関係なくどの企業も今、積極的にデジタルシフトしています。特にバックオフィス業務を人間が手作業でやっているがために非効率になっている、ミスが生じている、無駄な人件費が発生している、といったことは多分にあり、その解決策としてRPAの導入が最も手掛けやすいデジタルシフトの一つと言えます。

改めて日々の業務ルーティーンを見直せば、当たり前になっている業務ほど労力・時間・人件費が無駄にかかってしまっていると気づくものです。これからもう一歩デジタルシフトしていく必要性を感じている方は、ぜひこの機に業務の進め方の見直しをしてみてはいかがでしょうか。