DX推進に役立つおすすめ資格をご紹介 | デジタル人材の教育にも使えます

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DX資格

効率化や競争力といった観点から、多くの企業にとってDX推進のための取り組みが欠かせないものになりました。しかし「DXの知識がない」「社内に適切な人材がいない」などの課題を抱えているという企業の担当者様も多いのではないでしょうか。

DX推進においては、社員がDXに関係する資格を取得することも選択肢の一つです。本記事では、おすすめのDX資格の特徴や難易度などについて紹介します。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション・Digital Transformation)は、経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」で以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

DXの概要については過去のの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にされて下さい。

【動画紹介付き】DXとは何かわかりやすく解説|成功する為の5ステップと事例紹介

DXが必要な理由

なぜいまここまでDXの推進が叫ばれているのでしょうか?

DX推進による業務効率化により、生産性の向上に繋がるメリットがあります。さらに、デジタル技術を通じて顧客に新しいサービス体験を提供することで、自社の成長が見込めます。また、顧客の属性や興味をデータ化して分析することでマーケティングや営業を有利にする「パーソナライゼーション」のシステムも多くの企業で取り入れられるようになりました。このようなビジネスモデルを通じ、顧客に新しい価値を提供することが求められます。

いま多くの業界において、海外から新しい革新的なサービスが上陸することが起こっています。いわゆる「ディスラプター」の登場です。
デジタル技術を活用した企業はこれまでとは違う、全く新しいサービス体験を顧客に提供することができるので、既存企業を一気に呑み込んでしまう可能性が懸念されているのです。
そうしたディスラプターに対抗するためにもDXを推進し、企業競争力を高めておく必要があります。

DX推進における課題

DXが必要と理解していても、思うように実行できる企業ばかりではないかもしれません。こちらのパートでは、DX推進で生じることの多い課題について解説します。

DX人材の不足

DX人材

DX人材とは、前述した「DX推進ガイドライン」で登場した概念です。「デジタル技術やデータ活用に精通した人材」「業務内容に精通し、DXの取り組みをリード・実行する人材」といった意味合いがあります。

デジタル技術を活用した業務の需要の増加により、ビジネスシーンにおけるDX人材の不足は深刻です。2030年には79万人ものDX人材が不足すると言われています。優秀なDX人材は引く手あまたの状態で、採用のためには多くのコストが必要になるでしょう。

社内でのDX人材育成の難しさ

もう一つの課題として、社内でDX人材を育成する場合の難しさがあります。前述した通り、DX人材にはデジタル技術への知識と、業務内容への知識の両方が必要です。加えて、DXの取り組みを実施していく推進力も求められます。

なお、社員によっては業務への理解やプロジェクトの推進力をすでに持ち合わせているという人もいるでしょう。そのような社員がDX関連の資格取得の勉強を通じてデジタル技術について学べば、DX人材となれる可能性があります。

DX推進で社員が資格取得する意味

資格取得のための勉強を通じて、DXのスキルを身につけられます。DX推進部門に所属したり、部門内でのDX担当者を任されたりと、資格取得した社員にDX人材として活躍してもらうことが期待できます。

また、その他の社員にとっても勉強を通じて得たデジタル知識を業務に生かせるメリットがあります。DX資格の取得を推進することで、企業全体でDX実行への意識が高まっていくでしょう。このような取り組みによってDXを推進しやすくなり、企業としての基礎力も高まっていく可能性があります。

DX推進の知識が身につく資格2つ

こちらのパートでは、DX推進に関する知識をメインで問う資格を紹介します。

DX検定

一つ目は、日本イノベーション融合学会が行う「DX検定」です。デジタル技術のトレンドであるクラウド・AI・セキュリティ・ビッグデータなどについての問題が出題されます。

受験すると、スコアによって以下のレベルに認定されます。

スコア 認定レベル
800点以上 DXプロフェッショナル
700点以上 DXエキスパート
600点以上 DXスタンダード

2022年1月に開催された試験では、最上位レベルである「DXプロフェッショナル」に認定された人の割合は4.1%でした。599点以下でどのレベルにも認定されなかった人も55.5%存在するため、それなりの難易度と言えるでしょう。

勉強を通じてデジタル技術のトレンドを把握したり、知識のレベルを可視化したりすることに役立つ資格です。DX検定は年2回開催で、2022年は1月と7月にWebで受験できます。

デジタルトランスフォーメーション検定

全日本情報学習振興協会が主催しているのが「デジタルトランスフォーメーション検定」です。上記の資格と表記が違うだけですので間違いやすいのでご注意ください。DX実行の担当者に適した「DX推進アドバイザー認定試験」と、組織の責任者やマネージャーなどに適した「DXオフィサー認定試験」の2つに分かれています。

デジタルトランスフォーメーション検定は、組織の中でDXを実行することを前提とした実用的な知識を問う点にメリットがあります。

2022年は、DX推進アドバイザー認定試験は6月、DXオフィサー認定試験は7月に試験が開催されます。どちらも合格には70%以上の正解が必要です。どちらか片方はもちろん、両方受けることも可能です。

DXに役立つ資格2つ

中には、資格名にDXと入っていなくても役立つ資格があります。本項では2つの資格の概要や難易度などについて解説します。

ITストラテジスト

情報処理推進機構の主催する「ITストラテジスト検定」は、経営戦略に基づいて高度なデジタル技術を活用し、ビジネスを成功に導くためのスキルを問う検定です。IT系の中でもトップクラスの国家資格であり、ビジネスシーンの上流にいる人向けの資格と言えます。

経営者への助言や下位者への指導などに使える高度な知識を問うことから高難易度の試験であり、ここ数年の合格率は15%ほどにとどまっています。

ITストラテジストの試験は年に1度、4月に実施されます。企業の経営層など高い水準でDXに関わる人にとっては、大いに役立つ資格と言えます。

ITコーディネータ

ITコーディネータは、デジタル技術を利用した経営を実現する人材育成を目的に、経済産業省が推奨している資格です。デジタルを通じた業務の効率化や生産性の向上、経営課題の解決などを行えるようになることを目指します。

経営層はもちろん、システム・営業・マーケティング部門の人材や、コンサルタントといった幅広いビジネスパーソンが取得する資格です。

合格率は70%〜90%ほどと、比較的受験しやすい難易度です。資格を取得した後も、フォローアップ研修を受講することなどにより資格を更新していく仕組みになっています。

試験は年3回開催されており、2021年の場合は1月、5月、9月に行われました。

DX人材育成の失敗事例と対処法

失敗

DXに関連する資格を取得した社員が、必ずしも優秀なDX人材となれるわけではありません。ここでは実際にあった人材育成の失敗事例と、おさえておきたい対処法について解説します。

失敗事例①資格取得をゴールにしてしまっている

DX関連資格を取得することを目標として設定したため、取得後の育成に悩むケースがあります。このような環境の場合、資格取得者が孤立感を感じたり、その後の成長を感じられなかったりすることがあります。

資格取得で得た知識をDXに生かすためには、組織改革やコミュニケーション、リーダーシップなどのスキルが必要です。DX資格を取得後も、実務や研修などを通してそれらのスキルを身につけるための環境を整えることが求められます。企業でテキストや研修などのコンテンツを用意するなど、継続的な育成を行うといいでしょう。

失敗事例②育成する対象者をうまく選定できていない

もう一つの事例として、自社のDX人材に必要なスキルを明確にできていないケースがあります。このようなケースでは育成する対象者にどんな社員を選べばいいのか曖昧になるでしょう。結果的に時間ばかり経過し、DX推進に遅れをとってしまう傾向にあります。

一言でDX人材と言っても、そのスキルはさまざまです。ビジネスにおける課題を解決する「プランニング人材」、データ分析を得意とする「データ人材」、機械学習や開発を得意とする「エンジニア人材」といった細分化をされるケースも多くあります。自社で必要なスキルを検討し、そのスキルに適した社員をDX人材の候補者として選定していくことが求められるでしょう。

DX人材に必要なスキルセットについては、こちらの記事もぜひ参考にされて下さい。

まとめ 〜DX人材育成のゴールを明確に資格取得を〜

社内におけるDX人材育成の重要性や、関連する資格などについて解説してきました。DXにおいて抱える課題は企業によってさまざまであり、必要な人材も異なります。自社にとって必要なスキルを持った人材を育成できるよう、育成におけるゴールを明確にし、資格選びや育成スケジュールの作成を適切に行いましょう。