【2021年技術トレンド】テックファームエンジニアが注目する企業活用が進む技術5選

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2020年、コロナの影響により、私たちの生活には大きな変化が生まれました。

働き方だけではなく日常生活にも多くの変化があり、この機会に多くの企業でデジタル化が進みました。さらに、ITを活用したDXも推進されつつあり、IT技術のトレンドは追っていきたいものです。

そこで今回、テックファームで働くエンジニアを対象に「2021年、注目のITトレンド技術」についてアンケートを実施しました。エンジニアが注目する技術として、コンテナ技術、RPA、ノーコード・ローコードなど、最も期待されているものを本記事では5つご紹介し、技術の概要や企業活用シーン、メリットを解説していきます。

2021年も企業はDX推進が求められる

2020年は、先述した通り、多くの人がこれまでとは違う働き方や、日常生活を強いられる1年になりました。2021年も2020年に続きニューノーマル社会を見据えたDXの推進が求められていくことになります。

テックファームは社員数の約8割がエンジニアです。1990年の創業以来、先端技術を活用しお客様のICTソリューションに貢献してきました。そんな先端技術にアンテナを張るエンジニアが今、どのような技術に興味をもっているのか、また2021年、企業活用が進みそうな技術についてアンケートに答えてくれました。その結果を解説を交えてお伝えしていきます。

2021年、企業活用が期待できるトレンド技術

エンジニアにアンケート調査した結果の中で、「2021年、企業活用が期待できる注目の技術/テクノロジー」について、複数メンバーから回答のあった技術として、以下5つを今回はピックアップして紹介していきます。

  • コンテナ技術
  • RPA
  • ノーコード・ローコード
  • LiDAR(ライダー)
  • XR(VR,AR,MR)

それでは、これらの技術ひとつひとつについて、どのようなものなのか、その活用シーンやメリットを見ていきましょう。

効率的なシステム運用技術として企業導入に期待
「コンテナ技術」

コンテナ技術とは?

コンテナ技術とは、1つのOS上に、コンテナと呼ばれる箱=仮想環境を用意し、独立した状態でアプリケーションを実行することができる仮想化技術です。コンテナの中に、それぞれのアプリケーションや実行環境、ライブラリなどを自由に構成することができ、コンテナごとで相互依存することなくアプリケーションを実行できることが特徴です。

コンテナ技術の活用により、システム開発の際に課題とされていた「開発環境構築の手間」や「開発環境と本番環境の相違」を解決し、トラブルを抑制するために活用されています。

これまで、システム開発を行う際には、ソースコードなどを書く開発環境、作ったアプリケーションが問題なく動くかを確認をする検証/テスト環境、実際にサービスとしてアプリを動かす本番環境など、複数の環境を用意した上でシステム開発をしていく必要がありました。時には環境設定の違いからテスト環境では見つからなかったバグが本番環境で発見されることもあります。サービスを円滑にリリース・運用するには、バグの発生はサービス提供側が頭の抱える問題です。

コンテナ技術では、本番を想定した環境をコンテナ内に作成したのちにコンテナ内の情報を本番サーバに移行するだけでアプリケーションを本番環境で実行することができるため、「開発環境構築の手間」や「開発環境と本番環境の相違」といった課題解決となっているのです。

■予備知識■ DockerとKubernetesについて

コンテナ技術として注目されているのが「Docker」と「Kubernetes」です。

Dockerは平たく言うと、先ほど述べたコンテナを作る技術です。この技術を用いて、コンテナを作成していきます。そしてKubernetesとは、そのコンテナの動きを管理する役割を担っています。Dockerで作成したアプリケーションやコンテナの運用を自動化するための技術として注目されています。このコンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケジュールなどの管理を自動化するためのプラットフォームをコンテナオーケストレーションエンジンと呼ばれています。

DockerとKubernetesを組み合わせることで、開発だけではなく、システム運用においても「コスト削減」や「可用性の向上」において効果が期待されています。

コンテナ技術の企業活用シーンと活用メリット

コンテナ技術を活用することで期待できる企業メリットは大きく分けて3つあります。

1つ目は、「運用コスト」の削減です。これまでシステム開発後の運用フェーズでは、システムが円滑に動き続けるために万が一のトラブルに備えた予備サーバを用意する必要がありました。しかし、コンテナ技術を使用すれば、物理的なサーバーを複数台置く必要がなくなり仮想環境の中で対応することができます。さらにKubernetes=コンテナオーケストレーションエンジンを活用すれば、24時間365日のトラブル対応においても自動的にトラブル対応ができ、企業にとって人件費等の運用コスト削減につながります。

2つ目は「可用性の向上」です。システムは停止することなく稼働し続けることが大切です。システムの停止=サービスの停止にも繋がり企業にとってもイメージダウンとなり得ます。コンテナ技術は、仮想環境の中で、予めあらゆるトラブルを想定した対応を設定しておくことで、トラブルを回避しながらシステム運用することが可能です。例えば、突発的にサーバに負荷がかかり、サーバダウンの危険がある場合、負荷がかかった時に動く別のコンテナを用意しておくことで、負荷を分散する仕組みを作っておくことができます。

最後に、「運用作業の効率化」が挙げられます。例えば、既存システムに新しい機能を拡張する際、既存システムを動かしながら新しい機能を追加することが容易になります。コンテナ技術はそれぞれのコンテナが独立し成り立っているため、機能追加の際にシステム内に与える相互の影響を考慮する必要がなくなります。

また、開発者にとっても環境設定にかかる工数の削減が可能となったり、人が流動的に動くプロジェクト等においては、後任者への引継ぎもより容易になり、開発者目線でもメリットが多い技術と言えます。

コストを抑え手頃に始める業務効率化
「RPA」

RPAとは

RPAとはRobotic Process Automationの略で、これまでシステム上で繰り返し行われている作業を人に代わり自動化する技術です。企業においてデジタル化の第一歩として取り組まれるケースも多く、近年注目を浴びています。労働人口が減少し続ける時代において、属人化されている業務を自動化し、人はよりクリエイティブな業務に時間を割いていくことが企業の発展にも必要とされています。

企業メリットと活用シーン

RPA自体は、数年前から注目を集めている技術で、ニュースなどで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。これまでは、金融業界などを皮切りに、大幅な人件費削減を目的としたRPAの導入が話題を呼んでいました。(参考:RPA・OCRで省人化できる金融機関の業務とは?)今後は、大規模に行われるRPAのみだけではなく、より身近に、日常業務の中でRPAが活用されることが期待されています。

日常業務の中には、単純作業ながら企業にとって重要な仕事が多くあります。例えば、請求書の作成業務では、請求書を作成するために複数のシステムを併用する場合があります。請求書の送付先、企業名、請求金額等の情報をエクセルにまとめた上で、請求書の発行自体は経理システムを使うケースがあります。担当者はエクセルと同じ情報を経理システムにコピぺをすることで請求書の作成を行います。RPAでは、エクセルでまとめた情報を経理システムと連携させることで必要な情報を自動的に送り、請求書を作成し特定ファイルに保存したり印刷までを行うことができます。

企業にとって業務効率化のために既存システムを網羅した新しいシステムを開発することは多額の資金と時間がかかります。しかし、RPAでは、業務内容が重複する別々のシステムをうまく連携させることで、単純な作業を自動化することができるのです。新しいシステムを開発するよりコストが圧倒的に安価で済み、すぐに取り組める業務効率化の方法として期待がされています。

またRPAは修正もしやすいため、導入後の運用リスクも少ないでしょう。

関連資料 DX実現の第一歩としてRPAを導入する理由

開発期間の短縮とコスト削減に期待
「ノーコード・ローコード」

ノーコード・ローコードとは

ノーコードとは、プログラミングの必要がなくWebアプリやモバイルアプリを開発できる開発手法のことです。これまでシステム開発をする際は、プログラミング技術が必要でしたが、ノーコードのプラットフォームを活用し開発する際は、プログラミングの経験がない非エンジニアでも直感的な操作のみでアプリの開発が可能となります。ノーコードプラットフォームの浸透が、よりオンラインサービスや業務システムを作るハードルを下げていくことが期待できます。

またローコードとは、より少ないブログラミングでアプリケーションの開発ができる開発手法を指します。

ノーコード・ローコードの企業活用シーンと活用メリット

ノーコードやローコードの活用が増えてくると、これまで以上に多くのサービス提供企業などでWebアプリやモバイルアプリの開発が非エンジニアの手で「短期間」かつ「低コスト」で行うことができるようになると考えられます。

昨今、話題として上がるDXにおいても、多くの企業は新サービスや新システムの本格導入前にPoC(実証実験)を実施し、事前に費用対効果を図ることが多いです。またDXを推進する際には、開発スピードも重要です。移り変わりの激しい世の中の流れは、ビジネスへも大きな影響を与えます。この変化の中で、オンタイムに必要とされるサービスを生み出して行くことが新ビジネスの明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。

そのような場合に、企業側は、ノーコードやローコードを活用することで、開発からリリースまで圧倒的な早さでサービスを完成させることができます。そしてサービスの評価をユーザーから得た上で、システムの改修やサービス拡張など、一連のPDCAを高速に回しながらシステムの完成度を高めていくことで、この激しい変化にも柔軟に対応しながらサービスを作り上げることができます。

時代の変化が著しい今だからこそ、「非エンジニア」でも「短期間」かつ「低コスト」でノーコードやローコードを活用した新サービスを試していくことで、自社にあったより良いサービスを見出していくことができるかもしれないです。

関連記事 いま話題の超速ノーコードのWebサービス・アプリ開発のメリットとデメリット

テクノロジーで新しい顧客体験を実現
「LiDAR(ライダー)」

LiDAR(ライダー)とは

LiDARとはLight Detection And Rangingの略で、直訳すると「光の検出と測距」です。レーザー光を使用して身の回りにある物体までの距離や方向、形状を測位することができます。

LiDAR自体は、数十年以上前から存在する技術で、これまで自動車などの自動運転を支える技術としても活用されてきましたが、今回、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxに搭載されたことで身近にも感じられる技術になりました。今後は、モバイルでもLiDAR搭載が主流となることが予想されており、LiDARを活用した新サービスが、顧客にとってもより新しい体験を実現することが期待されています。

LiDARの企業活用シーンと活用メリット

今回は、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxに搭載されたことを受け、モバイルを通して実現できるLiDARの活用シーンをエンジニアにヒアリングしました。

LiDARの特徴として上げられるのはやはり、高精度で位置や形状などを検出できることです。昨今、アパレル業界や小売業などではコロナの影響で、Eコマースの需要が急増しています。消費者には、商品の実際の大きさや形状が気になるものです。服のサイズは分かっていても、自身の体型を細かく計測し把握することは難しいのが現状です。LiDARは、自分自身を3D化することも容易で、より細かな身体のサイズ計測を行うことが可能です。着丈や身幅だけではなく、体格も考慮した服選びが可能となるでしょう。今後、販売する服もLiDARを活用し3D化し、自身の3Dモデルに服を着せることができれば、よりリアルに近い試着を体験できるようになるかもしれません。

このようにLiDAR技術では、アパレル業界や小売業だけではなく、エンタメ業界など幅広い分野で顧客の新しい体験を実現きる可能性を秘めている技術と言えます。

デバイス小型化や技術進化でより一層身近な体験へ
「XR(VR,AR,MR)」

XR(VR,AR,MR)とは

XRとはVR,AR,MRなどの画像処理技術の総称です。それでは、VR,AR MRが一体何を指すのか改めて復習していきます。

  • VR:仮想現実(Virtual Reality)

VRとは、VRゴーグル越しに、仮想世界を見えるようにすることができる技術です。現実世界とはかけ離れた世界観であってもゴーグルをつけることで表現できるため、ゲームなどで使用されることが多いです。

  • AR:拡張現実(Augmented Reality)

ARとはスマートグラスやスマートフォンを通して現実世界に、コンテンツを見えるようにすることができる技術です。ポケモンGoでAR技術が使用できるようになったことで話題を呼びました。

  • MR:複合現実(Mixed Reality)

MRとは、VRとARを組み合わせた技術のことを指します。すなわち、現実世界と仮想世界を融合させ同時に体験できる技術です。MRに対応したレンズを装着することで、現実世界の中に現れた仮想世界に触れたり、自分が仮想世界を自由に動き回りながら操作することができるのが特徴的です。また、MR空間を複数名で共有することも可能です。

関連記事 「Magic Leap」を使ったMR開発レポート 〜焼きそばパンをMR化するまで〜

XRの企業活用シーンと活用メリット

XRの活用メリットは多岐にわたります。ここでは今後期待のできるユースケースを2つの軸に分けて紹介していきます。

業務効率化のツールとして活用

物流業界や運送業界、製造業にとっては業務効率化の手助けとなるのがARの活用です。ARの活用は業務の省人化ならびに作業効率化が期待できます。

例えば、倉庫内から出荷に必要な荷物を集めるピッキング作業では、これまでハンディーターミナルと呼ばれる携帯端末を持ち歩き、バーコードや二次元コードを読み込むことで、在庫管理や商品管理を行っています。しかし、その作業はバーコード読み取り時に片手を使用しなければならず、作業のスピードが落ちます。また広大な倉庫から集めるべき商品を探す作業は時間と労力が必要です。

ARグラスを着用し、商品の場所やルートを表示させることができればピッキング作業が初めての人でも、問題なく作業が可能となります。また商品の入れ替えにも柔軟に対応ができ、携帯端末で行うバーコード読み取りもARグラスを通して行うことが可能となれば、片手を塞ぐことなく両手での作業が可能となり作業効率も格段に上がります。

教育や研修ツールとして活用

教育や研修の現場でXR技術の活用が進むと、よりリアルな体験ができることからすでに企業導入が進んでいるケースもあります。特に、医療現場や特殊機械などを用いて作業をする必要がある職種においては、実機での研修は場所や実機の台数制限等があり、研修が長期化することで人材育成のコストは高くなります。しかし、XRの活用で実機と同等の操作性を実現することに加え、イレギュラーなどあらゆる状況を想定した研修が可能となれば、人材の育成スピードを短縮することができます。

これにより教育や研修コスト削減が期待できます。現在は限られた企業での活用に留まっていますが、技術の進化によって、今後より一層の企業導入が進みそうです。

2021年バズりそうな技術

本章では、テックファームエンジニアに聞いた「2021年バズりそうな技術」をまとめていきます。日頃から先端技術にもアンテナを張るエンジニアがどんな技術に注目しているのかを羅列していきます。今年のトレンドとなるかもしれませんね!

インフラ・セキュリティ・コンピューティング

・5G
・Cyber Security Mesh
・Quantum Computing

開発技術

・Flutter
・Dart
・GraphQL
・AppSheet
・bubble

人工知能

・AI
・EdgeAI
・TensorFlow
・Federated Learning
・ML Ops
・強化学習
・GAN

XR

・音声AR
・VisualSLAM
・MagicLeap
・ARCore
・ポイントクラウド

IoT/ロボティクス

・確率ロボティクス
・ROS2
・M2M

まとめ

2020年はコロナの影響で企業のデジタル化やDXが急速に進められてきました。2021年においても、その傾向が続くことが予想されます。

今回、テックファームエンジニアを対象に行った「2021年企業活用が進みそうなテクノロジー」では、いずれも企業活用が進むことで新たな価値を生み出すことができるもので、将来的にはDXに繋がるものもありました。この機会に、エンジニアが注目する技術から、自社にとってどのような活用が可能か検討してみるのはいかがでしょうか。