RPA・OCRで省人化できる金融機関の業務とは?

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FinTechという潮流もあり、歴史の転換期を迎えつつある金融業界。そうした中、伝統的な金融機関の業務も変遷を迎えています。

特に、大きなインパクトを与えているのが金融機関への「RPA」や「OCR」の導入です。

これらの技術を使って数万時間単位での業務効率化を実現するケースも出てきており、業界変革の原動力となっていることは疑いようがありません。

このような現状を踏まえ、本記事ではRPA・OCRの活用シーンや導入の注意点をご紹介します。

RPAやOCRなどのテクノロジーを活用した金融機関業務の省人化

国内市場規模の縮小や異業種からの新規参入など、銀行を始めとする金融機関は厳しい競争環境にさらされています。このような状況下で金融機関の収益性低下も課題視され始めており、現場業務の生産性向上・業務効率化は喫緊の課題となっています。

金融機関と相性が良く、注目を浴びる自動化技術「RPA」

そこで注目を浴び始めている技術が「RPA(Robotic Process Automation)」です。本来は手作業で行われていた業務を自動化するこの技術は、数百~数千という申込書や請求書などの書類の処理や、システムからExcelへ転記する定型業務を繰り返す金融機関との相性が良いといわれています。実際に、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は数年前からRPA導入のプロジェクトを進行しており、2017年にはそれぞれ数万~数十万時間分の業務自動化に成功しています。

AIを活用した「OCR」技術の普及が広がっている

そして、RPAの普及に伴い、活用の幅を広げているのが「AI OCR」です。AI OCRとは、AI技術の一つである「機械学習」や「深層学習(ディープラーニング)」を活用したOCR技術を指します。この技術を取り入れれば、従来のOCR技術では不可能とされていた「非定型の帳票」の読み取りも可能となります。すなわち、これまでは自動化が難しかった業務の自動処理が可能となるのです。

国内メガバンクで進む省人化

こうした動きと時を同じくして、国内メガバンク各社は数千~数万人単位での人員削減を発表しており、日本の産業界に衝撃を与えました。このニュースの捉え方は様々ですが、今や日本を代表するメガバンクといえども、テクノロジーが生み出す変化の波からは逃れることができない、といっても過言ではないでしょう。

では、このようなインパクトをもたらすRPAとOCRを活用しようとしたとき、どのような業務への適用を考えればよいのでしょうか。

RPAやOCRで削減、省人化ができる業務とは?

RPAとOCRは、その特性を組み合わせて活用した時、飛躍的な成果を挙げることができます。業務の削減や省力化が可能な例としては、以下のものが挙げられます。

RPAで省人化できる業務の種類

例えば、データベースに蓄積されている「顧客情報」とインターネットからの「住宅ローン申込情報」との照合作業は、RPAに適した業務といえます。毎月発生する数千件の適合作業をRPAが行い、姓や住所変更があった場合にはエラーを通知し、その部分だけ人間が対処する、という具合です。

このようにすれば、正常なデータを人間が照合する必要性はなくなるため、業務の省力化につながるのです。

OCRで省人化できる業務の種類

続いて、OCRが適用できる業務として、紙用紙で受領した「申込内容の手入力」が挙げられます。従来はシステムで認識することが難しかったような文字であっても、機械学習を搭載したOCRであれば、その認識率を飛躍的に向上させることができます。

RPAとOCRを組み合わせて効果UP!

今回ご紹介した2つの業務であれば、申込書の受領から照合作業までの一連の業務にRPAとOCRを適用し、その多くを自動化させることが可能です。また、本来はその間に発生していた「検索作業」もRPAによって自動化できるため、これらの組み合わせによって業務効率をより一層向上させることが可能になります。

このように多くのメリットが存在するRPAとOCR。では、導入の際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか?

RPAとOCRを導入する際に気をつけること

1つ目は、対象業務への適合性の見極めです。RPAは優れた技術ですが、あくまでも「プロセスを予測できる業務」にしか対応できません。これはつまり、入力データが整っている業務やマニュアル化された業務を指します。これらの条件に該当しない場合には適用が難しいため、注意しましょう。

2つ目は、RPA以外の選択肢との比較検討です。例えば、メールの振り分けを自動化しようとした場合、RPA以外にもExcelマクロやOutlookマクロなど様々な選択肢があります。また、定型化が難しく業務負担が多くない業務であれば、一定のルールを設けて人間が手動で対処するほうが良い場合もあります。

3つ目は、継続性を担保した運用フローの確立です。万が一RPAが停止した場合でも、通常業務が滞るようなことはあってはなりません。だからこそ、予めトラブルを想定した業務継続のためのマニュアルづくりや、代替手段の用意は欠かせません。

RPAとOCRの活用は様々なメリットをもたらしますが、それらはあくまでも課題解決のツールの一つであり、目的ではありません。そして、これらのソリューションにも様々な種類が存在するため、最新技術のみならず、「自社のビジネスは今後、どうあるべきか?」 「そのために、今回のプロジェクトではどのような要件を定義すればよいのか?」といった観点に重きを置いて、導入検討を進めることが重要になります。

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