PDCAとOODAはどこが違う?OODAが現代に適している理由

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「PDCAサイクルを回しているはずなのに、結果が出にくくなっている…。」と感じることはありませんか?
インターネットやSNSが発達し、誰でも気軽に情報へアクセスできるようになった現代では、消費者やユーザーのニーズの移り変わりが速くなっています。

PDCAは予め計画を立てることを重要視しているため、計画そのものを見誤っていた場合、後で立て直すことが困難です。また、変化の早い現代では計画を立てている間に環境や状況が変化することも起こり得ます。

そこで広まりつつあるのがOODAという考え方です。消費者やユーザーのニーズが多様化している現代に適していると言われており注目されています。
本記事ではOODAについて、PDCAとの違いを確認しながら、事例を交えわかりやすく解説します。

OODAとは?

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OODAはアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した、状況判断と意思決定のためのメソッドです。
「ウーダ」と発音します。OODAは空軍での体験が元になっており、状況が常に変動する現場での意思決定プロセスだといえます。
OODAは複雑で変化の激しい現代のビジネスで結果を出すためにも必要です。
まずはOODAの概要を確認していきましょう。

Observe|見る

OODAの軸となるのがObserve(見る)です。
市場や社内環境などを観察することで現状を把握します。
現代のビジネスで重要となるのは、現状把握に必要となるデータを収集することです。
収集したデータから、現状をありのままに受け入れることが大切だといえるでしょう。

Orient|分かる

Orient(分かる)は、Observeで収集したデータを分析し、分析結果から状況判断を行い、戦略の方向性を決定するステップです。
Orientの結果は、その後のDecideやActionにも影響を与えます。
Orientで行った状況判断や戦略は、OODAループの中で重要な役割を担うといえるでしょう。

Decide|決める

Decideは意思決定を行うステップです。
Obsereveで集めた情報やデータをOrientで状況判断を行い、このDecideで具体的な行動計画を立案します。
Decideの後は必ずObsereveに立ち戻り、状況に変化がないかどうか確認することが大切です。

Action|動く

Actionで行動計画を実行に移します。
当然ながらActionを行った後も、Obsereveに立ち戻ることが重要です。
実際に行動した結果がどうだったのか、Obsereveでしっかりと情報とデータ収集を行い、第2のOrient、Decideにつなげていきます。

PDCAとOODAの違い

OODAという言葉は聞いたことがなくても、PDCAは皆さんもご存知でしょう。
OODAとPDCAはどちらも問題を解決するメソッドです。
どちらも継続していくものですので混同されやすいですが、大きな違いがあります。

OODAとPDCAの違いを確認していきしょう。

PDCAをおさらい

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PDCAは1950年代にウィリアム・エドワーズ・デミングとウォルター・シューハートによって提唱されたメソッドです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回すことで、問題の継続的な解決を促すのがPDCAサイクルだといえるでしょう。
PDCAサイクルは、最初のステップであるPlanを重要視するメソッドです。

ある程度の先行きが見える状況で、目標を設定して運用していきます。
PDCAの場合、災害時など著しい環境変化が起こった場合は軌道修正が難しくなるのが欠点です。
環境変化やニーズの移り変わりが激しい現代においては、PDCAサイクルが途中で頓挫してしまうことも珍しくありません。

目指すべき結果の有無

OODAとPDCAの最大の違いは、目指すべき結果があるかどうかです。

PDCAは目指すべき結果を想定して、それに向けて綿密に計画を立てた上で、運用を行います。
計画そのものが間違っていたり、イレギュラーな事象が発生した場合は、PDCAでは対応ができないと考えてよいでしょう。

一方のOODAは、目指すべき結果を最初から設定せずに進めるメソッドです。
状況の把握と仮説立てを常に行うループのため、変化に対応しやすいことが特徴だといえるでしょう。
OODAは予め計画を立てないため、負荷が少ないように見えるかもしれません。
しかし、常に状況を把握して仮説を立てるためには、深い知識と優れた分析能力を備えておく必要となります。

サイクルとループの違い

PDCAはPlan→Do→Check→Actと順番にサイクルを回します。
一定方向のサイクルであり、逆戻りすることは基本ありません。
そのため、変化に対して柔軟に対応できないというデメリットがあります。
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一方のOODAはObsereveを軸にフィードバックを行うというループ構造です。
Decide→Obsereve→Action→Obsereveといったように、必ずしも一方向に進まなくても良いのが大きな特徴です。前の段階に戻ったり、仕切り直してObsereveに戻って再スタートをすることも可能です。常に情報とデータを収集し、観察を行うという構造なので、自由度が高いメソッドだといえるでしょう。

OODAが現代に適している理由

PDCAと比較して、OODAの方が現代に適しているとされています。
なぜOODAが現代に適しているのか、理由を確認していきましょう。

ダイナミックケイパビリティを養うことができる

OODAループを実践して、環境の変化に対応していくことで、自然とダイナミックケイパビリティを養うことができます。
ダイナミックケイパビリティは以下の3つの能力のことをいいます。

  • Sensing(感知):顧客や競合など市場環境を分析して機会を察知する能力
  • Seizing(補足):保有している資源や知識を再利用して、応用する能力
  • Transforming(変革):資産を再構築・再編成する能力

ダイナミックケイパビリティは、変化が激しい現代において、企業が生き残るために必須の能力だといえます。
さらに、デジタル技術を活用することで、ダイナミックケイパビリティを最大限発揮できるようになるでしょう。

社員のマインドセットが整う

OODAループを実践することで、状況を常に把握して、変化に対応していく能力を養うことが可能です。
OODAを実践して結果を出すためには深い知識と優れた分析力が必要となります。経験が浅い社員は、最初は思うようにOODAループが実践できないかもしれません。
しかし、経験を積むことで自然とOODAの考え方を実践できるようになるでしょう。
OODAはメソッドとして捉えられることが多いですが、社員の考え方の基礎となる「マインドセット」としての意味合いもあります。
OODAのマインドセットを持った社員が増えることで、より変化に強い組織・会社になることができます。

OODAの具体例

ここからはOODAの具体例を確認していきます。
具体例を確認して、OODAのイメージを明確にしましょう。

サービスや商品のターゲット変更

既に販売しているサービスや商品においても、OODAが活用できます。
元々20代の男性をターゲットにした商品をリリースしたものの、Obsereveにより20代男性ではなく、40代男性の売上が伸びていることが分かったとします。
その後、Orientで商品の価格が高く、20代男性では手が出せないと仮定し、Decideでターゲットを40代男性に変えることを決定。
Actionで商品の広告を40代男性向けに修正して、反応をObserveで確認するというループを回します。
OODAによって迅速にターゲットを変更することができ、売上アップに繋がったという事例です。

ここで大切なことはObsereveした結果をしっかりと受け止め、当初の計画からターゲットを変更したことです。
PDCAサイクルの場合、この変化に気づけずに同じ施策を続けてしまうことがあります。

製品の製造予定の変更

商品の急な受注増があっても、OODAであれば対応ができます。
Observeで商品の受注数が急激に増加していることと、自社工場の稼働率が100%に近い状態になっていることを確認したとしましょう。
Orientにてこのままでは受注数に対応できなくなると仮定し、外注先への委託を検討し、Decideで外注先へ発注を決定、Actionで実際に発注を実行。
その後、Observeで受注数の増減を再度確認するというループを回します。
OODAによって、欠品を未然に防いで、売上を確保できたという事例です。

OODAで重要なことは常にObsereveをしておくことです。特に変化の激しい現代においては、少し目を話した間に状況が劇的に変化していたということはよくあることです。
この事例においても、しっかりとObsereveをしていたからこそ、その予兆に対応できたといえるでしょう。

オレオのソーシャルメディアチームの事例

OODAループの事例としてクッキーで有名なオレオの事例があります。
2013年に実施されたアメリカンフットボールのスーパーボウルの試合中に34分もの停電が発生しました。
オレオのソーシャルメディアチームは、この停電時にすぐさま反応。
「停電時でもオレオはミルクにダンクできる」というジョークを発信し、2万件以上のいいね!を獲得しました。
スーパーボウルは企業にとって、広告宣伝の大きなチャンスです。
その中で発生した非常事態に、すぐさま対応して、ジョークを発信したオレオのソーシャルメディアチームには、まさにOODAが根付いていたと考えられます。
ピンチをチャンスに変えたOODAの事例だといえるでしょう。

まとめ

OODAは変化が激しい現代において、必要不可欠となるメソッドであり、マインドセットでもあります。
OODAループを実践することで、変化に柔軟に対応できる組織を目指すことが可能です。デジタル技術の活用とデータ分析を行い、OODAループを強力に回していきましょう。