レガシー脱却と成長戦略の両立!リコーに学ぶ「Fit to Standard」で実現する、守りの効率化から攻めのDXへの道筋

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国内の多くの老舗企業が、いま共通して直面している大きな課題。

それは、長年の成長を支えてきた業務システムがいつの間にか、部門、地域ごとに個別最適化され、「サイロ化・陳腐化」が進んでいることだと推測します。

主力である製品やサービスにデジタルの力を掛け合わせ、「顧客体験(CX)の向上」や「データの活用による主力事業の強化」を実現したいのに、レガシーなシステムが足枷となり、一歩が踏み出せない。

「うちの会社も同じだ!」と感じる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、こうした構造的な課題に正面から向き合い、見事に、OA機器メーカーから「デジタルサービスの会社」への構造転換を実現したリコーグループの取り組みを徹底解説します。

彼らはどのようにしてレガシー脱却と成長戦略を両立させたのか?

その答えは、徹底したFit to Standardの採用にあります。創出されたリソースを新たなサービスに投資する、その具体的な道筋は、貴社にとって、変革へのヒントになるはずです。

「Fit to Standard」とは?

Fit to Standard(標準機能への業務適合)とは、システムを導入する際、自社の業務プロセスを、そのシステムの標準機能に合わせて変えるというアプローチです。

  • 導入期間の短縮とコスト削減:システムをカスタマイズする(追加開発)手間と費用が不要になります。
  • 業務の標準化・効率化:システムの標準機能は、多くの企業でのベストプラクティス(最善の方法)に基づいて作られていることが多く、それに合わせることで業務が洗練され、属人化の解消にもつながります。
  • メンテナンス性の向上:カスタマイズしないため、システムのバージョンアップや保守管理が容易になります。

特に、ERP(統合基幹業務システム)やSaaS(クラウドサービス)の導入で注目されている考え方です。

徹底した「Fit to Standard」採用が生み出した3つの成功事例

リコーグループは、「デジタルサービスの会社」への変革を掲げ、主要な業務システムの刷新プロジェクトを推進しました。すべてのプロジェクトで、SaaS/パッケージを導入し「Fit to Standard」を採用することで、標準化を徹底しました。

以下は、リコーグループが実施した3つの業務システム刷新プロジェクトの主要な要素と成果をまとめたものです。

リコーグループ 業務システム刷新プロジェクト概要

対象の業務システム A.統合人事システム(HRIS) B. コールセンターシステム(CC CRM) C. 営業支援システム(SFA/CRM)
コア課題
  • 人事制度変化への柔軟性欠如
  • データ抽出の非効率性
  • 製品軸のシステム
  • お客様の声の活用不足
  • 使用年数20年の自社SFA/CRMのシステム複雑化、硬直化
  • 改修・維持コストが高い
導入したパッケージ COMPANY 人事 Salesforce Service Cloud Microsoft Dynamics 365 Sales
ユーザー規模 グループ13社、約3.2万人 11拠点、1500人 グループ約1.4万人
プロジェクトの特徴
  • Fit to Standard
  • データ利活用
  • Fit to Standard
  • アジャイル開発
  • BPR
  • PoC
  • Fit to Standard
成果
  • 年間約5,100時間分の業務工数削減
  • 人事データの活用を加速
  • 応答率・業務効率の短期間での回復、向上
  • CXの向上
  • 売上増加・関係性強化への期待
  • AIによる新たな洞察獲得

成功の鍵は「リソースの創造」と「戦略的再投資」の好循環

リコーの事例が示すのは、変革の成否が「守り(効率化)」と「攻め(サービス化)」のバランスと、その間のリソース循環にあるということです。

リソースを創造する:「Fit to Standard」で負の遺産を断ち切る

製造業、金融業、建設業などの伝統的な企業は、業務部門の慣習に合わせてシステムをカスタマイズすることが常態化しがちです。この個別最適化こそが、技術的な負債とサイロ化の最大の原因。

リコーは、人事システム(HRIS)において、業務プロセスをパッケージ標準にほぼ合わせることで、システム改修の柔軟性を獲得し、年間5,100時間という明確な「リソース」を創出しました。

標準化は、旧システムが蓄積した「負の遺産(複雑化・高コスト)」をクリアするための有効な手段です。ここで得られた人件費やシステム保守工数の削減効果は、本来の事業戦略に不可欠な「再投資の原資」となります。

創出リソースの「顧客体験」への戦略的再投資

標準化で得られたリソースとシステムのアジリティ(俊敏性)は、以下の通り、顧客接点におけるデジタルサービスの強化へと集中的に再投資されました。

「顧客起点」のデータ統合とCX向上

コールセンターのCRMでは、従来「製品軸」でバラバラだった顧客情報をSalesforceで「顧客軸」に統合。顧客の問い合わせ内容が分析・活用され、マーケティング活動やソリューション提案にフィードバックされる仕組みを構築。コールセンター業務の効率化で生まれた時間が、高付加価値な提案に使えるようになりました。

「顧客の課題軸」への転換とAI活用

営業活動の根幹となるSFA/CRMも、単なる販売記録から、「お客様が抱えている課題」を把握し、多職種で共有するデータ基盤へと転換。さらに、Dynamics 365 Copilotとリコー独自開発AIを連携させ、購買履歴などから「推奨製品」を自動で提示。システムが単なる記録ではなく、「データに基づいた新たな洞察を生み出す」デジタルサービスへと進化したことを意味します。

変革を実現するための3つの指針

「顧客体験の向上」や「データ活用による本業価値向上」を目指す上で、リコーの事例は明確な指針を提示します。

「守りの効率化」なくして「攻めのDX」なし

サイロ化・陳腐化しているシステムを抱えたままでは、新しいデジタルサービスは実現できません。まずは主要な業務システムの「Fit to Standard」による効率化を断行し、変革に必要な「リソース」を確保すべきです。

デジタル接点を「課題軸」で再統合する

システムが未だに「製品軸」「サービス軸」で動いているなら、今こそ「お客様軸」「お客様の課題軸」でデータを再統合する時です。この転換こそが、付加価値の高いソリューション提案を行うための、最初の一歩であり、本業の価値を高める基盤となります。

旧システムのデータは「更なる進化」に利用

リコーは、標準のSaaSを活用しながら、独自開発AIで自社のノウハウ(日報、購買履歴)に基づく推奨機能を組み込みました。長年かけて築いた独自のノウハウや蓄積データは、AIを活用することで「競争優位性のあるデジタルサービス」に生まれ変わります。

まとめ:持続的な成長の鍵は「アジリティの好循環」

標準化によってシステムと組織に「アジリティ(俊敏性)」を取り戻し、そこで生まれたリソースを、顧客体験の向上、AI活用といった変革の最前線へ再投資する。

リコーの事例が示したのは、この「守り(効率化)と攻め(サービス化)」を明確に循環させるビジネスモデルこそが、伝統的な企業が持続的な成長を実現するための極めて強力な戦略だということです。

技術的負債を成長の原資に変えるこの道筋は、貴社の本業の価値を次世代に継承し、デジタル時代の競争を勝ち抜くための、最も堅実かつ強力な成長シナリオとなるでしょう。

変革を実現するパートナーとして

貴社が取り組まれている「サイロ化・陳腐化の解消」や「新たなデジタルサービスの創出」について、テックファームはこれまで多数の企業様に対して支援してまいりました。現在抱えているレガシーの課題は、未来の成長を阻む要因ではありません。むしろ、今こそが大きな変革のチャンスです。

私たちは、お客様の歴史や強みを深く理解したうえで、それらをITのプロフェッショナルとして再定義するパートナーです。戦略策定から実行、さらには内製化支援に至るまで、統合的かつ一気通貫で支援します。

システム引き継ぎ・リプレイス「RescueTech」

ドキュメントがない、開発ベンダーとの連絡が途絶えたなど、ブラックボックス化したレガシーシステムの調査・分析から、次世代基盤へのリプレイスまでをトータルでサポートします。


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