ブロックチェーンとは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

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blockchain

「ブロックチェーン」は誰もが聞いたことがある言葉ですが、具体的にどういうものかを知らない人は少なくありません。ブロックチェーンとは、わかりやすく言うと、データベースを作る技術のことです。

しかし、従来のデータベースとは異なる特徴を多々備えており、次なる時代であるWeb3を実現する土台の役割も担っています。

本記事では、ブロックチェーンの特徴を4つにわけてわかりやすく説明した上で、メリット、デメリットを解説します。またブロックチェーンの応用例としてどのようなものがあるかも紹介します。ブロックチェーンは仮想通貨のための技術と捉えられがちですが、ブロックチェーンの応用例は幅広いのが特徴です。ブロックチェーンの全体をイメージしたい経営者やシステム担当者にとっておすすめの記事です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンの定義はさまざまで、一言で述べるのが非常に難しいと言わざる得ません。
ブロックチェーンとは何かについて経済産業省の資料では下記のようにまとめられています。

ブロックチェーン技術とは

・ビットコインを実現させるために生まれた技術であり、いくつかの暗号技術がベース
・P2Pネットワークを利用してブロックチェーンデータを共有し、中央管理者を必要とせずにシステムを維持することを実現

出展:経済産業省

これを元にまとめてみると、ブロックチェーンについて以下のような技術であることがわかります。

  • ビットコインを稼働できるようにする技術
  • 中央管理者不在の分散型技術
  • P2Pネットワークを利用した技術
  • 暗号化されている技術

次のパートからはそれぞれについて触れていきます。

ブロックチェーン技術を使用するビットコイン

bitcoin

ブロックチェーンではさまざまなことを実現できますが、その応用の代表例としては、ビットコインを機能できるようにする点が挙げられます。

ビットコインとは、仮想通貨のひとつです。2008年10月にサトシ・ナカモトと名乗る謎の人物またはグループが書いた論文を元に作られ、2009年1月に運用が開始されました。最初のブロックはジェネシスブロックと呼ばれています。

ビットコインは2011年に米タイムズ紙に特集を組まれたときは、1BTCたった31ドルでした。しかし、2021年には、一時期700万円を超える最高値を更新しました。

株や債権、金などと同様、「資産」としての価値が注目されるようになったことも受けて、仮想通貨は暗号資産と呼ばれることが増えてきています。

ビットコインは暗号資産であり、ブロックチェーン技術を使っているサービスの1つでもあります。また、ビットコイン以外でも多くの暗号資産がブロックチェーンを技術的な基盤としています。最近よく聞くイーサリアムもブロックチェーンを土台としている暗号資産です。

中央管理者不在の分散型技術

分散

ブロックチェーンは一種のデータベースです。従来のデータベースと異なる点は、中央管理者が存在しない点です。それゆえ、ブロックチェーンは分散型台帳技術の1つと称されます。

台帳とは何かというと、日本国語大辞典では、台帳のことを以下のように解説しています。

だい‐ちょう 【台帳】
〘名〙
① 商家で、日々の売買高をしるしておく帳簿。本帳。大福帳。大帳。
② ある事柄を記録する大本となる帳簿。原簿。原本。大帳。
出典:精選版日本国語大辞典

簡単に言うと、台帳とは取引内容をまとめたデータベースです。情報の記録媒体と考えてもよいでしょう。

分散型ネットワークのデータベースでは、リーダー役を担うノード(コンピューター)やサーバーなどの管理者が存在しません。各ノードが自律的に仕事をしつつ、全体として1つの目的を果たします。各ノードが何をしているのかというと、従来のサーバーネットワークには必ず存在していた管理者の代わりに、取引の正しさを検証しています。

ブロックチェーンはデータの管理の仕方について独自の形式やルールがあり、それに則って各ノードは動いているのです。中央管理者のみが情報を握るのではなく、全員でデータを持ち合っているのがブロックチェーンの特徴です。全ノードがシステムを管理しあい、同時に各ノード同士、データを持ち合っています。

従来の中央集権の代表である銀行を例に出します。

たとえば、Aさんの預金通帳(データ)はAさんと銀行が持っています。もし、Aさんが通帳を紛失したら、銀行に再発行を依頼しますよね。Aさんの通帳を持っている人は他にいません。

しかし、分散型ネットワークの場合は中央に銀行が存在しません。結果、全員とAさんが預金通帳の情報を持ち合っています。BさんはAさんの預金通帳の情報を持っているし、AさんはBさんの情報を持っています。

このように、中央管理者がいないネットワークで、全員でデータを持ち合って管理しているのがブロックチェーンなのです。

P2Pネットワークを利用した技術

p2p

次にP2Pネットワークについて説明します。前章でブロックチェーンが中央管理者不在の分散型台帳技術であることを説明しましたが、それを可能にしているのがP2P技術です。P2PとはPeer to Peerの略です。Peerとは英語で同等の仲間を意味します。

ネットワークには主にクライアントサーバー型とP2P型があります。一般的な社内のネットワークの中心には必ず管理用サーバーがあり、社員それぞれのコンピューターが繋がっています。しかしブロックチェーンのネットワークにはサーバーはありません。その代わり、個々のコンピューターが仲間同士、同等に接続しあうことで全体として1つの大きなネットワークとなっています。

具体的には、ある取引データが発生した場合、P2Pに繋がった全コンピューターに同じ情報が流れ、それぞれが確認しあい、取引が完了します。中央管理者不在でP2Pネットワークを利用しているブロックチェーンは、Web3の非中央集権のインターネット時代を可能にします。

Web3とは、ブロックチェーンの基盤上に中央管理者をおかずにサービスが提供されるアプリケーションのサービスなのですWeb3のアプリケーションはブロックチェーン技術を土台に存在しています。

関連記事   Web3(Web3.0)とは何か?新しい分散型インターネットの将来

暗号化されている技術

ブロックチェーンは暗号技術をベースにしています。わたし達は普段意識していませんが、メールのやり取りを始め、さまざまな箇所でデータのやりとりに暗号化技術が使われています。ブロックチェーンも同じで、1回のやりとりごとに暗号化は毎回必ず行われています。

ブロックチェーンでいうブロックとは、たとえると暗号化されたデータの格納された段ボール箱です。1回のやりとりが暗号化され、そのやりとりが一定数溜まれば、1つの箱としてガムテープで封をすることを想像してみてください。

データのやりとりが蓄積されるにつれて、段ボール箱(ブロック)の数も増えていきます。そのとき、重要となるのはそのブロックの順番です。順番通りにブロックをチェーンのように繋げていきます。これがブロック管理です。

暗号化されたやりとりの格納されたブロックをガムテープで封をするときに、正しい作業をしているという確認を全員に対して行います。全員からOKをもらうこの合意形成の作業がビットコインでいうマイニングという作業となります。

ブロックチェーンのメリット

不正操作やデータの改ざんができない

ブロックチェーンはデータの不正操作や改ざんができないのが非常に大きな特徴です。ブロックチェーンは公正に記録を残せます。

たとえば、金銭の出し入れなどはすべて時系列に履歴データとしてブロックの中に格納し、時系列で繋げていきます。そのとき、前のブロックにハッシュ関数という暗号と似た関数を代入して得たナンスを次のブロックへ含める作業が行われます。

新しいブロックには前のブロックの取引データとしてそのハッシュ値が記録されています。もし突然あるブロックにデータの改ざんが行われると、そのブロックから求められるハッシュ値は正しくないものとなります。整合性を取るには後に続くブロックのハッシュ値をすべて変更しなければいけなくなります。それは事実上不可能なので、ブロックチェーンは改ざんができないと言われているのです。

互いに信用できなくても安心してサービスを利用できる

前章でブロックチェーンのデータの改ざんが非常に難しいことを説明しました。

つまり何が言えるかというと、ブロックチェーンでは、システムを管理している事業者があまり信頼できなくても、そこに記録されているデータが真正であることが証明されるということです。不正が極めて起こりにくい仕組みであるゆえ、信頼が担保されます。

これまでシステムを管理している事業者はデータを改ざんしようと思えば改ざんできる立場にいるけれど、大企業だから、公的機関だからという理由でわたし達はそのシステムを信頼し、使用してきました。

しかし、ブロックチェーン技術が採用されていれば、たとえ名の知れていない企業が事業者であっても信頼はできるようになります。不正やデータの改ざんが行えないブロックチェーンの仕組みが前提にあれば、安心してサービスを利用できると言えます。

システムがダウンしにくい

ブロックチェーンはP2Pネットワークの上に成り立っている技術なので、中央のサーバーにデータを一極集中で管理するということはありません。

よって、一か所に地震や災害などの不測の事態が起きても、各ノード(コンピュータ)でデータを持ち合っている仕組みなので、他のノードは維持されているためシステムは止まりません。

ブロックチェーンのデメリット

データの削除ができない

ブロックチェーンは一度データを保存すると削除や修正ができない仕組みです。

それゆえ改ざんができないという利点もあるのですが、誤ったデータを入力した場合、後から修正できないため、注意する必要があります。たとえ削除の理由に正当性があっても、消せない仕組みなので、今後に向けてなんらかの対処が必要となるでしょう。

処理速度が遅い

ブロックチェーンのデメリットとして、処理速度が遅さが挙げられます。

たとえば、ビットコインの場合、取引を1回行うためには、10分程度の時間が必要となります。売買、換金、送金などの取引がすべてマイニングによって承認され、ブロックに書き込まれることをもって取引が成立します。

また、1つのブロックに書き込める取引数は限られているため、取引量が増えれば増えるほど、承認されるまでに時間がかかる仕組みです。しかも、ブロックのサイズは最大1MBと小さいため、取引データの書き込みも限界があります。この問題はスケーラビリティ問題と言われています。

改善案として、以下のような方法が考えられています。

  • ブロックのサイズを大きくする
  • 取引データを圧縮する
  • ブロックに書き込む取引数を絞り込む

今後上記を検討し、少しでも処理時間を短くすることが重要課題となるでしょう。

ブロックチェーンの活用事例

ブロックチェーンといえばビットコインを思う浮かべるほど、ブロックチェーンの運用例としては仮想通貨が有名です。しかし、ブロックチェーンは仮想通貨以外にもたくさんの応用例があります。

ブロックチェーンとは中央管理者不在の非中央集権型ネットワーク技術です。分散型社会をもたらすとも言われています。ブロックチェーンは実際どのように応用されているかを見ていきましょう。

インディテール社:調剤薬局のデッドストック解消サービスを検証

北海道札幌市のベンチャー企業インディテール社の検証を紹介します。

行ったのは、個人経営が多い調剤薬局の在庫を融通しあうサービスの構築です。背景として、調剤薬局では、日々処方箋をもって訪れる患者さんに対応するため、膨大な医薬品をストックしています。

また、非常に店舗数が多く、家族経営、個人経営の薬局が多い傾向にあります。問題となるのは、その医薬品の使用期限です。在庫として消費しなければなりませんが、個人経営の薬局同士、他の薬局と在庫を融通しあう仕組みがなかったのです。

各薬局を経営統合するのは、いかにも中央集権的な考え方です。個々の薬局の独立性は尊重しつつ、在庫の融通を目的としたネットワークの構築がされました。

具体的には各店舗がWebブラウザで受発注をするシステムが構築され、ブロックチェーンを利用して仮想通貨で決済する仕組みです。本検証はあくまで実験的なものでしたが、ブロックチェーンの強みを生かした運用例と言えるでしょう。

ALIS:日本初の分散型ソーシャルメディアプラットフォーム

alis

ALIS」はブロックチェーンを利用したSNSプラットフォームでありWeb3のサービスでもあります。2017年にICOで約3.8億円の資金調達に成功しています。

一見するとTwitterなどと似たSNSサービスのように見えますが、根本的な部分は大きく異なっており、設計と仕組みにブロックチェーンが使われているのです。利益を中抜きするプラットフォーマーは不在で、サービスに関わる会員がトークンを得ることができます。

仕組みとしては、信頼できる記事を執筆した人、それを最初に見つけた人の両者がトークンを獲得し、ALISというプラットフォームに信頼できる情報を蓄積していきます。つまり、品質の良い記事に対して、最初にそれを見つけ出し「いいね」をした人がトークンをもらえるのです。

サービスに携わるユーザーにも利益が還元され、しかも記事の品質が保たれるという意味でも、画期的なSNSと言えるでしょう。

まとめ 〜ブロックチェーンはWeb3時代の重要技術である〜

本記事ではブロックチェーンの技術、そのメリットとデメリット、ブロックチェーンの応用例を紹介しました。

ブロックチェーンはビットコインが動作できるようにする技術ではありますが、それだけではありません。

P2P技術は非中央集権である分散型ネットワークを可能とします。また、暗号化によって、取引は中央管理者がいなくても真正であることが担保されます。つまり、ブロックチェーン技術を利用すれば、従来とは全く異なる社会システムの実現も夢ではないのです。

ブロックチェーンは今後Web3のサービスを通して、わたし達の生活に思いがけないパラダイムシフトをもたらすと言えるでしょう。