モバイルファースト時代の銀行・保険・証券アプリ改善のコツ

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FinTech(フィンテック)という新たな潮流が生まれている今、多様なサービスをユーザーに提供する目的で、銀行をはじめ保険や証券など、多くの金融業界の企業がアプリの開発に取り組み始めています。

しかし、自社アプリのレビューを見たとき、「顧客満足を獲得できている」と自信をもって言える企業は決して多くはないはず。

事業的にも十分な効果を上げられていないならば、いくつかの原因が考えられます。

今回は、金融業界のアプリに焦点を絞り、アプリ改善のコツをご紹介します。

アプリを作ったけど効果が出ていない際によくある原因

アプリのダウンロードは一定数あるけど、思うような効果は得られていない――。

もしこのような状況にあるならば、成果の上がらない典型的なケースに陥っている可能性があります。まずは、次の2つの原因に心当たりがないか、確認してみましょう。

よくある原因①
顧客のフィードバックが改善に反映されていない・または遅い

1つ目は、顧客のフィードバックへの対応に関するものです。

従来、銀行・保険・証券のサービスに対するフィードバック(お客様からの要望やクレーム)は、店舗の窓口やコールセンター、Webサイトのお問い合わせフォーム経由で集まってくるものでした。しかし、顧客の立場からすると、これらのチャネルを通じてフィードバックを行うことは比較的手間がかかるものです。だからこそ、これまでは「顕在化した一部のフィードバック」だけが集まってきていたと考えられます。

一方で、アプリに対するフィードバックは、誰もが匿名で、より気軽に行えるようになっています。アプリを提供しているストアや、アプリ内の問い合わせフォームなど、より少ない操作で簡単にフィードバックできる環境が整っているためです。

だからこそ、数多く寄せられる改善要望に対して、着実な対応と円滑なコミュニケーションを行う体制整備が求められています。これらの体制が整っていないようであれば、それはアプリを通じた成果を挙げられていない原因になりえます。

よくある原因②
細かい事ばかりに目が向き、全体戦略から落とし込まれたアプリになっていない

2つ目は、細かな改善ばかりに四苦八苦し、アプリの運用目的や全体戦略を見失っているケースです。

アプリの改善は、それ自体が目的ではなく、「手段」として位置づけられるべきです。何故ならば、アプリは顧客とのコミュニケーションを行うチャネルの一つであると同時に、金融サービス全体の一部でしかないからです。しかし、アプリの改善が目的にすり替わってしまっている企業は、改善の先にあるゴールを見失っている傾向にあります。細かな機能改善を積み重ねた結果、それが金融サービスや事業全体にどのような影響を及ぼすのか、予め見定めた上で取り組むことが重要です。

では、上記のような2つの原因を解消するためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか?

金融系アプリの運用経験からわかった“アプリ改善のコツ”

顧客の要望に応えつつ、アプリの活用を事業の成果へとつなげるためには、いくつかのコツを押さえる必要があります。モバイルバンキング、証券アプリ、口座開設アプリ、決済アプリといった金融・保険業界向けアプリの運用経験から得られた”改善のコツ”をご紹介していきます。

コツ①
戦略設計に紐付いたサービスリデザインを行う

1つ目は、アプリのコンセプトに関するものです。

ユーザーは広告などを通してアプリの存在を認知し、何らかの期待をもってアプリを起動します。しかし、そこで得られた体験が事前期待を下回っていた場合、そのアプリを二度と開かなくなる恐れがあるのです。

このような期待と実際の「ネガティブなギャップ」を引き起こすことがないように、まずは、自社が顧客に提供しているアプリのユーザーテストを行いましょう。客観的な視点から操作を行うことで、新たな気付きが見つかるはずです。その上で、他業界で多くのユーザーから支持されているアプリを分析してみましょう。このようなステップを踏むことで、ユーザーが求めていることや、実際の使われ方を知ることができます。

このように「顧客目線での実体験」を通じて、アプリのコンセプトを再定義するための気付きを集めていきましょう。その上で、最上流の戦略設計に立ち戻り、アプリの位置づけを再検討することがポイントです。

コツ②
アプリを単体ではなくモバイルチャネルとしてタッチポイント設計を見直す

2つ目は、ユーザーとの全てのタッチポイントにおけるアプリの位置づけの見直しです。

前述の通り、アプリはそれ自体が目的ではなく、「手段」といえます。だからこそ、アプリが単体で使われること以上に、金融機関とユーザーとの最適なコミュニケーションを実現することが大切です。だからこそ、まずは「ユーザーとの全てのタッチポイント」を改めて洗い出し、その中でアプリが果たす役割は何なのか、なぜ他のチャネルではなくアプリなのか、その位置づけを明確化させましょう。

コツ③
コールセンターも含めた顧客フィードバック取り入れる運用体制

3つ目は、顧客フィードバックの活用プロセスに関するものです。

アプリの提供サービスや機能に関するフィードバックは、アプリのストアだけに寄せられるわけではありません。すぐに返答を必要としている場合や、年配のユーザーであったりする場合には、コールセンターに要望を投げかける傾向があります。だからこそ、それらの要望を短い期間で開発現場にフィードバックできるように、「アジャイル開発のスタイル」を取り入れることが望まれます。ユーザーの満足度向上を実現するためにも、機能改善を行うべきかどうなのか素早く判断し、可能な限り短い期間で改善アクションまでつなげていくことが大切です。

 

テックファームでは、金融機関を始めとする多数のアプリ開発・運用実績を有しており、企画設計・開発・運用・保守領域に至るまで、ワンストップでの対応を得意としています。特に、「アプリのコンセプトを再定義」といった最上流の設計プロセスに関して多数のノウハウを持っているため、「明確な原因はわからないが、アプリの運用がうまくいっていない・・・」といった要件定義の段階からご相談をお受けすることが可能です。

金融アプリに関する課題をお持ちの企業様は、お気軽にお問い合わせください。