LPWAとは?今IoTで使われる無線通信技術を解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

近年、IoT分野が注目を集め、関連のサービスを展開している企業も少なくありません。また、それらを支えるネットワークインフラにも大きな変化が求められています。そんな中で、IoT向けの新たな無線通信技術「LPWA」が注目を集めています。

消費電力を大幅に削減し、広域・長距離通信を実現するLPWAは、今後さらにIoT分野が進展していくためには必須の通信技術とも言われています。そこで今回は、次世代の通信技術「LPWAとは?」に関して徹底解説していきます。

 

LPWAとは?

IoT向けとして注目されている無線通信技術の「LPWA(Low Power Wide Area)」。これは消費電力や広範囲を特徴とする無線通信技術の総称であり、特定の技術やサービスのことを指しているわけではありません。具体的にはどのようなものなのでしょうか。

広いエリアのカバーが可能に

先述の通り、LPWAとは低消費電力でありながら、広域での通信が可能な無線技術のことを意味しています。

身近なところで言えば、需要が高まってきているWi-FiやBluetooth、スマートフォンで使われている4G LTE、3Gなども無線技術として知られています。これらの身近な無線技術は通信速度を優先して発展してきました。動画の視聴や音楽の再生、アプリのダウンロードといったデータ通信量の多いシーンに適するためです。

しかしその分消費電力が大きく、長距離の通信には向きません。それに対してLPWAの場合は、低消費電力と広域伝送に焦点を絞り、それに最適化された規格の策定が行われています。

LPWAが求められる理由とは?

それではどうして、LPWAのような低消費電力・広域伝送の通信規格が求められているのでしょうか。

その理由として、IoTの進展が挙げられます。IoTで活用される通信技術には、無線であることや低消費電力性、運用コストの低さなどが重要視されています。なぜなら、様々なモノがインターネットに繋がれる状況下で、有線ではケーブルだらけになってしまいますし、消費電力が大きければ通信機器の電池を頻繁に交換せざるを得なくなるからです。効率化を実現するはずのIoTが、場所も手間もコストもかかるのでは元も子もないですよね。このような非常事態を脱するための通信規格がLPWAなのです。

LPWAの3つの特徴

欧米ではすでに実用化が進められているLPWAですが、日本でのサービス提供は一部に止まっているのが現状です。今後、各企業が国内での活用を広げていくためにも、LPWAを利用するメリットを知っておく必要があります。ここでLPWAならではの3つの特徴を確認しておきましょう。

特徴① 広域・長距離通信

前述のとおり、LPWAが持つ最大の特徴は広域・長距離通信が可能だということです。具体的な通信距離は、最大の理論値で50kmを実現すると言われています。他の通信規格(Wi-Fiの場合は約100~300m程度)と比較しても、圧倒的な差があることが分かります。

特徴② 低消費電力

現在、主流となっている通信規格は消費電力が大きいと解説しました。例えば、スマートフォンをWi-Fiに接続していると、通信処理が複雑で電池の減りが早くなりがちです。一方で、LPWAの場合はボタン電池ひとつで数年以上動作すると言われており、低消費電力を実現することが可能です。

特徴③ 低ビットレート

LPWAが上記のようなメリットを実現できるのは、低ビットレートであることが挙げられます。例えば、320Mbps以上のLTEに対してLPWAは最大でも250Kbps程度です。通信速度が遅いというデメリットもありますが、シンプルな通信処理によって接続可能台数を増やすことができます。

LPWAの種類

LPWAの実用化は進められていますが、まだまだ発展途上段階です。現在、LPWAは大きく「ライセンス系」と「アンライセンス系」の2つの種類に分けられます。この2つは周波数帯で分類され、「ライセンス系」と呼ばれるものは通信事業者が提供する認可周波数帯を利用し、無線局免許を必要としています。「アンライセンス系」は産業・科学・医療に活用するために割り当てられているISM周波数帯を利用しているため、無線局免許が不要なものです。この2種の中でも世界中でさまざまな規格が登場していますが、ここでは今後、主流になっていくと見込まれる方式をいくつかピックアップしてご紹介します。

LoRa

LoRa Allianceによって策定されているオープンな技術仕様として知られており、920MHz帯を利用しています。通信速度はおよそ250bps程度、通信距離は10~20km程度とされています。また、待機時は1/100という低消費電力を実現することからも、IoT利用に有望視されている規格です。

SIGFOX

フランスで設立されたSIGFOXによって策定された規格であり、LoRaと同様に920MHz帯を利用しています。通信速度は100bps程度、通信距離は3~50km程度とされています。国内では京セラコミュニケーションシステムが、サービスを提供しています。

NB-IoT

携帯電話事業者の基地局を経由する「セルラー系」として知られており、LTE標準の規格策定を行う3GPPによって定義されています。通信速度は100kbps程度、通信距離は20km程度とされています。破格の安さが特徴で、日本を含む25か国の主要都市ですでに実績があるLPWAです。

無線通信技術の伝送レートと通信距離

まとめ

2021年には10億ドルと、急速な拡大が予測されているLPWA市場。その反面で、解決すべき課題も挙げられます。それは、移動中や遮蔽物がある場合の通信が難しい点です。こういった問題点をクリアしていけば、LPWAはますます注目される存在になるでしょう。