近年、働き方改革によりライフワークバランスを重要視した労働スタイルが確立され、リモートワーク・テレワークの導入が普及し、在宅勤務が一般化されてきています。
その中で、日本企業の課題となっているのが「業務効率化」です。労働人口の減少している日本では、業務効率を向上させることが必須となっていますが、労働スタイルの変化に伴い、従来のやり方では業務効率化が難しくなっているのです。
本記事では、どのように業務改善をすれば良いか悩みを持つ方に向けて、課題別に業務効率化できる最適なツールを紹介します。
業務効率化とは?概要とメリット
業務効率化とは、業務の効率を上げることを目的とした改善活動です。この業務効率化を実現することによって、複数のメリットを得ることができます。
業務効率化とは?生産性向上との違い
「業務効率化」と同じように使われている言葉で「生産性向上」がありますが、その意味には明確な違いがあります。
「生産性向上」とは、「リソースに対して得られる成果の効率を上げる」ことであり、「業務効率化」は、「業務改善やITツールなどの導入を行い、リソース自体を削減する」という意味です。
たとえば、スーパーマーケットでセルフレジを導入し、レジ打ちに必要だった社員のリソースを削減することは「業務効率化」であり、その削減した時間を使って、社員が大きな売上利益を出すための販売計画を立てることは「生産性向上」となります。
つまり、「生産性向上」という目的を達成するためには、「業務効率化」が必要となるのです。
業務効率化が求められる背景とメリット
業務効率化が求められている背景には、冒頭でも述べた労働人口の減少や働き方改革による影響があります。
労働人口に関しては、総務省の労働力調査によると、2021年では労働人口は6860万人であり、前年と比較すると8万人も減少したという結果が公表されています。
また、近年、多くのメディアで目にすることが多くなった「DX」においても、業務効率化に繋がる部分があります。DXで求められている、既存のレガシーシステムから脱却することは、システムの保守運用コストやリソースの削減だけではなく、作業のスピードのアップや正確性も期待できるからです。
このように今、私たちは業務効率化が求められていることが分かります。
業務効率化ツールを選び方
「業務効率化」を成功させるために、日々様々な業務効率化ツールが開発されています。本章では業務効率化ツールを選定する際に気をつけるべきポイントを解説していきます。
課題に対して必要な機能が備わっているか
まず、「課題に対して必要な機能が備わっているか」という点です。どんなに多機能で性能の良いツールを導入したとしても、自社が抱えている課題を解決できなければ意味がありません。
そのため、課題を解決するツールを導入するために、自社が抱えている課題を洗い出すことがとても重要になります。
既存サービスとの連携が可能かどうか
次に、「既存サービスとの連携が可能か」という点です。既存のサービスと連携できる機能を備えたツールを選ぶことによって、より効果的に業務改善ができます。
たとえば、導入したタスク管理ツールが社内で使っているチャットツールと連携が可能なら、タスク状況を簡単に共有することができるため、業務を効率的に進めることができます。
担当者が使いこなせるかどうか
最後に、「担当者が使いこなせるか」という点です。どんなに高性能で役立つ業務効率化ツールを導入したとしても、それを担当者が使えるツールでなければ意味がないからです。
操作性が難しければ、ツール関連の勉強会や研修の工数がかかります。また、部署異動等で人員が変わるごとに膨大な引き継ぎなどが必要となるのです。そのため、導入するツールはユーザビリティがとても重要なポイントとなります。
加えて、業務効率化ツールのサポート体制も大切なポイントです。ツールの使用方法や疑問点を解消できるサポート対応が提供されていれば、安心して導入することができます。業務効率化ツールを導入する際には、サポート面も重要視して選定することをおすすめします。
目的から選ぶ業務改善おすすめツール
業務効率化を成功させるために、目的から選ぶおすすめツールを紹介します。今回ご紹介する業務効率化ツールは、テックファームでも実用されているツールを中心に紹介していきます。
社内コミュニケーションを活発化させたい
まずは、社内のコミュニケーションを円滑にできるチャットツールを紹介します。コミュニケーションを目的として最適化されたチャットツールを導入することで、相手からのメッセージを好きなタイミングで確認することができ、見落とすリスクを下げることが可能です。やり取りも早いため、よりスピーディに業務を進めることができます。
Slack
Slackは米国の企業が開発したビジネスチャットツールです。もともとゲーム開発をしていたエンジニアがコミュニケーションをとるために開発した社内専用ツールが原型で、海外ユーザーや国内外のエンジニアから高く評価されています。
金額は有料プランの「プロ」で1ユーザー月額850円です。無料プランでは、メッセージ履歴を閲覧する際に上限数が設けられていることや、音声・ビデオ通話が1対1のみとなる等の制限があるため、有料プランが推奨されます。さらに一つ上の「ビジネスプラス」では、カスタマーサポートを年中無休・24時間利用できるため、手厚いサポートを求める場合はこちらをおすすめします。
Teams
TeamsはMicrosoft社が提供しているビジネスチャットツールです。Microsoft社はExcelやPowerPoint等、ITの職場以外でも幅広く活用されているツールを開発・提供している企業です。そのため、Teamsは他のMicrosoft社のツールと簡単に連携させることができます。
また、Microsoft365のサブスク契約をしている企業であれば、導入コストが必要ないという点も魅力的です。
Chatwork
Chatworkは日本国内の利用者数が最大規模のビジネスチャットツールです。30万社以上で導入されている実績を持つため、国内の企業同士でコミュニケーションを取る目的に対しても、最適なチャットツールの1つと言えるでしょう。
金額は有料プランの「ビジネス」で1ユーザー月額500円です。管理機能を求めている場合は1つ上のプランである「エンタープライズ」が良いでしょう。チャットログのエクスポートやIP・端末制限等のセキュリティ設定ができるため、管理の面で多くのメリットを得られるでしょう。
タスク管理を見える化しチームの生産性を向上
プロジェクトを進めるために必要不可欠なタスク管理ツールを紹介します。
タスク管理ツールを導入することによって、タスクを可視化、一覧化することができ、誰がどのくらいタスクを進めているか、またスケジュールが遅れているのか確認する手間を効率化することができます。
常に最新の状況を把握することができるため、チーム全体の生産性を向上させることが可能です。
Backlog
Backlogは株式会社ヌーラボが開発・提供しているタスク管理ツールです。「チームで働くすべての人に」というコンセプトで、多くのコラボレーション機能を搭載したツールで、タスク・プロジェクト管理に優れた機能が備わっています。
Typetalkというチャットツールと連携することによって、タスク管理に伴うコミュニケーションを円滑にすることが可能となります。絵文字で感情を表現することができ、ちょっとしたアイデアを気軽に書き込むことができるため、生産性高く業務を行うことができます。
Trello
GoogleやCostco等、世界中で100万以上のチームで愛用されているツールです。かんばん方式と呼ばれるトヨタ自動車が生み出した方法でタスクを見える化させ、管理することができます。
またショートカットも豊富に搭載されている点も魅力の1つです。このショートカットを覚えることによって、さらに効率的に作業を進めることができる点も高い評価を得ています。
Notion
NotionはIT企業だけではなく、UIの使いやすさから学生や主婦にも愛用されているツールです。
Notionはもともとメモアプリですが、データベース等の機能が搭載されているため、タスク管理ツールとしても問題なく使用できる高性能なツールとなっています。多機能でありながら非常に整理されており、誰でも感覚的に使用することができる操作性に優れたツールです。
asana
asanaは情報管理の面で非常に優れているタスク管理ツールです。メンバーの進捗や業務量等をレポートやダッシュボードに出力させることができるため、プロジェクトの状況を視覚的に管理することができます。
また、連携できるアプリケーションは100以上あります。Googleドライブや、チャットツールで紹介したSlack等、様々な有名ツールと連携することができるため、より業務を効率化させることが可能です。
ドキュメント作成&管理を効率的に進める
資料作成やナレッジ管理の効率化が期待できるドキュメント作成・管理ツールを紹介します。どのような仕事でも、作業マニュアルやオフィスのレイアウト図等、様々なドキュメントを作成する機会があります。だからこそ、よりクオリティの高いドキュメントを作成し、それを管理できるツールがあれば業務効率化を実現できるのです。
Confluence
Confluenceはドキュメントやナレッジの管理に適したナレッジマネジメントツールです。資料やノウハウを一元管理できるため、業務効率化が期待できます。
たとえば、他部署から異動が決まった人員がいたとします。ナレッジマネジメントツールでドキュメントを管理していた場合、異動先の業務内容についての説明資料や各種ドキュメントをすぐに共有することが可能です。また、会議で多くの部署が集まる場合にも、すぐに必要な資料を展開できるため会議を円滑に進めることができます。
draw.io
draw.ioはフローチャート等の図表作成に適したチャート作成ツールです。会社の組織図や、会議の場で必要なフローチャート、インフラエンジニアならネットワーク構成図等、様々なドキュメントの質を上げてくれるツールです。
draw.ioなら細かい図形の作成やアイコンも豊富に用意されているため、ワンランク上のドキュメント作成ができます。また、オンラインサービスであるため、Webブラウザにアクセスできる環境ならすぐに利用することができる利便性の高いツールとなっています。
リモートワークでも安心!共同ワークが捗るツール
リモートワークの需要拡大により、オンライン上でもやり取りを行う際、業務効率化が狙えるツールも開発されています。リモートでのやり取りでネックであったリアルタイム性を補うことができるツールです。
Miro
Miroはオンラインでの会議やワークショップ、ダイアグラムの作成等で活躍するツールです。DELLやCISCO等、世界の有数企業がMiroを活用していて、ユーザー数は3000万を超えます。
企業で必要となるロードマップの作成や、アイデア出しのブレスト等、従来では対面でなければ実施できなかったことも、Miroならリアルタイムで行うことが可能です。そのため、社員全員が在宅勤務をしていても、問題なく業務を進めることができるリモートワーク環境に適したツールになります。
Figma
FigmaはWebブラウザ上で利用できるデザインツールです。アカウントさえ作成すれば利用することができるため、PCにインストールする手間が必要ありません。そのため、リモートワークが多い企業でもスムーズに導入することができます。
デザインツールというと、操作が少し難しいイメージを持つ人もいると思いますが、Figmaは、デザイナーではない人がビジネスコミュニケーションをするために使うことができるツールです。誰でも気軽に質の高い資料作成を行うことができるツールになります。
ビジネスチャンスを最大化する顧客管理(CRM)・営業支援(SFA)
CRMはCustomer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略称で顧客の情報を管理することができます。SFAはSales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略称で、営業業務のプロセス等を管理することでビジネスチャンスを最大化することができます。
これらのツールをうまく活用することで、ビジネスチャンスを最大限に活用することができるため近年、非常に注目されています。
Salesforce
Salesforceは世界No.1のシェアを獲得している総合CRMプラットフォームです。柔軟にカスタマイズすることが可能であるため、会社の規模にかかわらず利用できる点が魅力です。そのため、中小から大手まで15万社以上の企業がSalesforceを導入しています。
また、ビジネスチャットツールで紹介したSlackと連携することができ、より生産的に業務を進めることができる点も評価されています。
Zoho
ZohoはSFAとCRMの一体型クラウド顧客管理システムです。CRMで記録された顧客情報を管理し、その情報を基にSFAでの営業支援を行うことができます。
CRMには顧客の基本情報だけではなく、商談内容やプロセスを記録することができます。そして、次の商談の担当営業を自動的にアサインしたり、メール送付などのルーティンワークを自動化したりすることが可能です。
コストが安く済むことも大きな特徴の1つです。
社内の資産管理を徹底する名刺管理
業務効率化を図るためも、名刺の徹底管理をするツールが必要となってきます。なぜなら、企業ビジネスチャンスを最大化するためには、人脈が重要な資産となるからです。
営業だけではなく、会社全体で名刺情報を共有できるようになることで、業務に大きなメリットを生むことができます。
SanSan
SanSanは様々な企業の最新データベースを搭載した営業DXサービスです。機能の一部に名刺管理があります。紙媒体の名刺をAIにより半自動で電磁データ化させることができるため、得られた人脈を円滑に会社へ共有することが可能です。
また、専用のURLを相手に共有することでオンライン名刺のやり取りを行うことができ、ビデオ通話での商談でも活躍することが期待できます。
Eight
Eightは中小から大手企業を含めた4000社が利用している国内最大規模のビジネスネットワークです。名刺の情報を共有することはもちろん、ダウンロードすることで顧客リストを簡単に作成することができます。またSNSのように、Eightを利用している企業や担当者に情報を発信することができるマーケティングの面も魅力的です。
たとえば、名刺に記載されている役職を指定することが可能で、部長以上の役職者に対してのみ情報発信する等、柔軟に活用することができます。そのため、非常に高い宣伝効果が期待できるのです。
まとめ
現代では業務効率化が重要視されているため、日々様々なツールが開発・提供されています。
どのツールにも特徴があるため、自社にとって最適なツールを探して導入することによって、効果の高い業務効率化が期待できます。
競争の激しい時代で活躍し続けるためにも、業務効率化ツールの導入を検討してみて下さい。