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多くの企業がDX推進を目指す中、それに合わせて政府の政策整備が進んでいます。
その一つが「DX認定制度」です。
本記事ではDX認定制度の概要を説明し、具体的な申請内容についても解説いたします。
認定基準については決してハードルが高いことではなく、認定準備に向けたプロセスを経ることにもメリットがあるなど、ぜひともチャレンジしていただきたい制度です。ではいったいどういったメリットがあるのか?そちらについても記事後半でご紹介いたします。
「DX認定制度」とは
DX認定制度とは、DX推進に伴い、2020年11月より政府が設けた認定制度です。このDX認定制度で認定されることによって、国からDXへの取り組みをしている優良企業として認めてもらうことができます。
そもそもDXとは、デジタル技術を活用することで新しいビジネスの構築や、既存ビジネスに抜本的な変革をもたらし、競争力強化と成長を目的とする経営戦略です。
時代の変化が激しい現代では、世の中のニーズやウォンツは日々変わっていきます。その中で力強く生き残る企業とは、迅速で柔軟な変化ができる企業です。DXへの取り組みが芳しくない企業では、テクノロジーの成長が著しい現代で生き残るのは難しいでしょう。
だからこそ、政府は企業のDXの背中を押すDX認定制度を設け、推進しているのです。DX認定を受けることによりDX認定事業者となり、様々なメリットを享受することができます。
このDX銘柄になるためには、今回紹介するDX認定制度を活用し、経済産業省から認定されることが必要です。
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DX認定制度のメリット
多くの企業がDX認定制度に注目し、DX銘柄となることを目指しています。なぜ多くの企業が目指しているのかというと、DX認定制度を活用することによって企業側は大きなメリットを得ることができるからです。
DX認定制度を利用することによって、具体的にどのようなメリットが得られるのかを紹介します。
①DXを推進する際の論点整理と経営のコミットを得られる
まず、DX認定制度を利用することで、認定を受けるまでの過程でメリットが生まれます。そのメリットとは、DXに必要な論点、情報の整理ができることです。
DX認定を取得するためのプロセスには、企業のビジネス状況や経営環境の整理、競争環境の分析、経営ビジョン実現のためのビジネスモデルの方針決めなどをする必要があります。DX認定制度では、最初にこの過程を実施します。DX実現に必要な情報や論点を洗い出し、企業全体を整理することができるのです。
こうした整理が正しく行われることによって、どのようなDX戦略を策定するべきかを考えることができるのです。もしも、闇雲にIT化すればDXになると考え、情報の整理を怠ってしまえば、DXを成功させることは難しいでしょう。仮にDX認定を受ける予定がなくても、DXを目指しているのならこの制度を利用することが推奨されるのです。
また、DX戦略は大きな変化をもたらす戦略であるため、経営側の関与や経営力が大きくかかわってきます。なぜなら、DXは既存のビジネスに大きな変革をもたらし、新しいビジネスの構築は新規事業の立ち上げになるからです。つまり、利益を生むビジネスになるかが不透明な戦略になるのです。
既存のビジネスへの変革が利益を上げることになるか、新しいビジネスの構築が成功するかがわからないため、必然的に企業にとってとても大きなチャレンジとなります。
そのため、DX推進が成功するか失敗するかは、経営コミットが重要なポイントとなってくるのです。
②社会的認知や企業価値・ブランド力の向上が期待できる
DX認定制度にて認定を受けることができた場合、企業価値やブランドを向上させることができます。冒頭でも記述したように、DX認定された企業は、経済産業省からDXへの取り組みをしている優良企業として認定されます。そして認定された場合、経済産業省のHPを始め、様々な場所で企業の名前が掲載されるのです。
経済産業省のHPでは、「DX銘柄」「DX注目企業」として、選定企業の名前一覧が掲載されています。国からお墨付きをもらえた証明となり、企業価値やブランド力に大きな影響を与えてくれるのです。認定された場合、DX認定制度のロゴマークを使用することができるので、企業アピールに大きな効果が期待できます。
また、DXに成功している企業は、社会への価値提供が高いと評価されることになります。富士通が実施した世界9ヵ国の経営層900人を対象にした調査レポートを見ると、DXを実践したビジネスリーダーの約9割が、DXへの取り組みはビジネスの価値向上と社会への価値提供が高いと考えているという結果になりました。
この調査結果からも、DX認定を受けることによって企業価値とブランド力に与える影響は高いことがわかります。
DX認定制度取得のプロセス
実際に、DX認定制度を利用するための具体的なプロセスを紹介します。
申請のプロセスは大きく分けて二つあります。申請の流れ全体の「全体プロセス」と、申請に向けて社内で準備を進める「社内プロセス」です。
また、DX認定制度は、「DX推進ポータル」というサイトが開設されていて、Web上で申請をすることができるのです。より簡単でスムーズに申請を行うことができます。
全体プロセス
最初に、全体プロセスについての説明です。
まず、DX認定制度のHPにアクセスし、必要提出書類である「認定申請書」のWordファイルと、「申請チェックシート」のExcelファイルをダウンロードします。
次に、ダウンロードした二つのファイルに記載されている全ての設問に回答を記入し、提出資料を完成させていきます。また、必要に応じてDX戦略や、課題把握に関する補足資料があれば、それらの資料も提出資料として用意します。
最後に、申請Webサイトである「DX推進ポータル」にアクセスして、用意した提出資料をアップロードします。DXポータルを利用するにあたってID取得が必須です。このID情報が身分確認となるため、申請書への押印は不要です。そのため、WordやExcelファイルのままアップロードする形になります。
社内プロセス
次に、社内プロセスについての説明です。
まず、現状のビジネス状況や経営環境などの情報を整理して、経営ビジョンを策定します。その後、取締役会に承認を取り、公表します。
次に、経営ビジョンを実現するためのDX戦略として、体制・組織案と、ITシステムの整備に向けた方策を検討し、DX戦略を策定します。これも取締役会で承認後、公表します。
さらに、KPIなどの具体的な指標や、戦略状況を管理するための仕組みを検討し、DX戦略推進管理体制を策定します。
最後に、戦略推進状況から自己分析を行い、セキュリティ監査報告書をとりまとめます。
社内プロセスを見てわかるように、DX推進には経営者のコミットが不可欠となり、成功させるためには経営力が必要となってくるのです。また、この準備過程ができることも、DX認定制度を利用する大きなメリットになっています。
申請に必要となる内容
実際に申請する際に必要となる内容について紹介します。
具体的には、取り組み内容を「申請チェックシート」へ記入し、その内容を要約したものを「認定申請書」へ記述していく形です。
1. 経営ビジョン・ビジネスモデル
経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデル設計を行い、ステークホルダーに示していく。
デジタル技術を用いることによってどのような影響を及ぼすのか、またその内容について公表しているかをチェックする。
2. 戦略
社会及び競争環境の変化を踏まえ、目指すビジネスモデルを実現するための方策、デジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示していく。
(1)で設計された経営ビジョンやビジネスモデルが公表されているか、またデジタル技術を活用したものになっているかをチェックする。
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2-1. 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
デジタル技術を活用する戦略の推進に必要な体制を構築、組織設計・運営の在り方について、ステークホルダーに示していく。
(2)の戦略を推進するための体制・組織を公表しているかをチェックする。
2-2. ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
デジタル技術を活用する戦略の推進に必要なITシステム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術、計画等を明確化し、ステークホルダーに示していく。
(2)の戦略を推進するための環境整備に向けた方策が公表されているかをチェックする。
3. 成果と重要な成果指標
デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、それに基づく成果について自己評価をしていく。
(2)の戦略の達成度を測るための指標を公表しているかをチェックする。
4. ガバナンス
デジタル技術を活用する戦略の実施に当たり、経営者はリーダーシップを発揮するべきであり、他部門と協力、課題を把握・分析し、戦略の見直しに反映していく。またサイバーセキュリティリスクに対して対応していく。取締役会設置会社の場合、戦略の方向性等を示すにあたり、実現に向けた経営者の取組を監督していく。
4-1. ガバナンスシステム(情報発信)
(2)の戦略の推進状況等に関する情報発信を経営者自らが行っているかをチェックする。
4-2. ガバナンスシステム(経営者の課題把握)
経営者のリーダーシップの下で、現状を踏まえた課題の把握を行っているかをチェックする。
4-3. ガバナンスシステム(サイバーセキュリティ対策)
サイバーセキュリティ経営ガイドライン等に基づき 対策を実施し、定期的にセキュリティ監査等を行っているかをチェックする。
まとめ〜DX認定を受けてDXを目指すべき〜
DX認定制度とは、企業に大きなメリットがあるDX認定を受けられる制度です。DX認定されることで、DX銘柄選出の権利を得ることもできます。
世の中は急速にIT化が進んでいます。将来、テクノロジーと関連がなかった企業でも、DX戦略を当たり前のように求められる時代が来ても不思議ではありません。
仮に、施策した結果DX認定を受けられなかった場合でも、その過程で自社の分析や改善点を模索する良い機会となります。そういった経験は決して損をすることはありません。
これからの時代に強い企業となるためにDXを意識して、本制度の利用を検討してみましょう。
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