簡単にわかる、IoTゲートウェイの役割

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IoTでほとんど必ずと言ってもよいほど使われる「IoTゲートウェイ」は、IoTシステムの核ともいうべき機器です。

しかしこのIoTゲートウェイが具体的に何なのか、どのような役割を果たすのか、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、なるべくわかりやすくIoTゲートウェイについてご紹介していきます。

ゲートウェイとは

まずは「ゲートウェイ」という言葉の意味についてみていきましょう。

ゲートウェイ(gateway)は、直訳すると「門口」「入り口」「出口」といった意味を持ちます。そしてITの世界では、もともとは仕様の異なるシステム同士を繋ぐコンピュータの呼称として使われていました。

特にゲートウェイという言葉がよく使われていたのは、1970年代。この頃のシステムは、各企業の独自仕様であることが多く、システム同士を繋げるにはデータ形式や通信ルール(通信プロトコル)の違いを相互に変換できるコンピュータが必要だったのです。

通信ルールAのコンピューターと通信ルールBのコンピューターの間にゲートウェイを置くことで、通信ルールの変換を担い、コンピューター同士がデータを送りあえるようになる。

現在では当初の使われ方とは少し異なり、ネットワークの境目に置く機器のことをゲートウェイと言うことが多くなり、仕様の違うネットワーク同士を繋げるものとして捉えられています。

ゲートウェイとルーターとの違い

ルーター(router)はネットワークの境目に置かれ、データの通信経路を決める役割を持ちます。

つまり、ゲートウェイもルーターも、ネットワークを中継する点では同じです。ルーターがデータのルートを決める機能を持ったものを指し、ゲートウェイはもう少し幅広い意味合いでネットワークを中継する機器全般のことを指します。

実は初期のインターネットでは、ゲートウェイがデータの通信経路も決定していたので、その名残でもルーターをゲートウェイと呼ぶときがあります。ネットワーク技術の革新・統合が進み、現在ではルーターがデータの転送経路決定を担当するようになったのです。

IoTにおけるゲートウェイはどう活躍するのか

ここまでに紹介したゲートウェイは、IoTでも使われています。どのような使われ方をしているか、詳しくみていきましょう。

IoTゲートウェイの役割

IoTではモノをインターネットに接続するわけですが、モノだけでネットに繋がることはまず少ないです。モノにセンサーを付けたりスマートフォンを活用しすることで、まずはモノのデータを取得し、ネットワークへとデータを飛ばしていくのです。この各種センサーやスマートフォンのことを「エッジデバイス」とも呼びます。

エッジデバイスでデータを取得したら、IoTゲートウェイの出番です。役割は、主に次の2つがあります。

  • 役割①:エッジデバイスのデータを中継してインターネット上のサーバーへ転送
  • 役割②:エッジデバイスの管理・制御

人・モノにセンサーを付け、データを取得、IoTゲートウェイへ送信。IoTゲートウェイではデータを処理しネットワーlくへ送信。ネットワーク上でデータは蓄積され、アプリケーションでデータを解析し見える化する

それでは、詳しくそれぞれの役割とエッジデバイスとの関係をみていきましょう。

役割①エッジデバイスからインターネットへのデータ中継

前述の通り、IoTでは各種センサーやスマートフォンなどを利用してデータを採取していくのが一般的です。しかし、センサーの大半はインターネットと直接通信できません。

そこで、各種センサーはデータ送信先としてIoTゲートウェイに集約。データを受け取ったIoTゲートウェイは、ネットワークを経由してサーバーへデータを転送できるよう、送信先を操作して送り出します。

IoTゲートウェイが存在するおかげで、センサーはインターネット接続機能を持つ必要がないのです。そしてセンサー自体に余計な通信機能を持たせる必要がないため、センサーを小型化できたり、単価も安くできます。IoTでは、たくさんのモノをネットワーク化するので、モノにつけるセンサーも当然ながらたくさん必要になります。センサー1個1個のコストを抑えることが重要なのもわかりますね。

役割②エッジデバイスの管理・制御

IoTゲートウェイがあることで、インターネット上のサーバー側からエッジデバイスに通信することもできます。そのため、それぞれのエッジデバイスにログインし、遠隔地からエッジデバイスの管理や制御が可能です。

センサーの状態を見える化する管理画面を用意すれば、遠隔でセンサーの稼働状況が詳細にわかります。また、センサーと疎通が取れるか定期的にチェックする仕組みを設けておけば、センサーの故障有無を監視可能です。

接続方法

最後にIoTゲートウェイがどのように各種センサーやネットワークと接続しているのか、順番にみていきましょう。

エッジデバイスとの接続は無線が一般的

工場などの広い場所では、エッジデバイスの数は数百を超えることもあり、有線での通信を実現しようとすると膨大な配線工事が必要となってしまいます。そのため、一般的には無線通信が使われます。

無線通信の場合、状況によっては通信の混線や電波の不達などで通信が不安定になることもあります。しかしながら、IoTシステムの設計の段階で同時接続数やIoTゲートウェイとエッジデバイスの距離などを考慮できれば、それほど問題にはならないでしょう。

IoTゲートウェイに利用されている無線方式には、Wi-Fi、Bluetooth、920MHz帯無線(IEEE802.15.4g)、ZigBee(IEEE802.15.4)などのタイプがあります。

「特定小電力無線」と呼ばれる無免許で使用可能な無線方式もあり、コストを抑えたIoTシステム構築も可能です。ただし、特定小電力無線は通信距離が短い特性があります。1台のIoTゲートウェイで全てのエッジデバイスを網羅できない場合は、間にルーターを設置して通信を中継する必要があります。

インターネットとの接続は可能な限り有線で

IoTゲートウェイとインターネットの接続は、主に以下の2方式があります。

  • WiMAX、3G、LTEなどの無線回線
  • イーサネットなどの有線回線

IoTゲートウェイは、複数のエッジデバイスを束ねて通信していることが大半です。そのためインターネットとの通信は、安定しやすい有線を選ぶのが一般的です。IoTゲートウェイの設置環境に依存する部分もありますが、インターネットとの通信は可能な限り有線を選ぶようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

IoTゲートウェイは、多くのモノをインターネットに繋げようとした時には欠かせない存在です。各センサーからインターネットへとデータを届ける役割、そしてそれぞれのセンサーを管理・制御する役割を担っています。

このような基礎的な知識をきっかけに、今後もIoTへの理解を深めていきましょう。