クーポンを利用してもらえない…その原因と利用を促進する解決策とは

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クーポンの活用は、小売業界における販促施策の王道といえます。

しかし、当然のことながらせっかくクーポンを用意したとしても、顧客にきちんと利用してもらえていなければ、販促施策としての充分な効果は見込めません。

事業者がクーポン利用のメリットを得られるかどうかは、その活用の仕方次第となります。

今回は、クーポンを利用してもらえない原因と、解決策についてご紹介します。

せっかくのクーポンを利用してもらえない3つの原因

せっかくクーポンを用意しているのに、全然使ってもらえない――。

このような悩みを抱える小売事業者は多いものです。せっかく販促費を投じてクーポンを展開しても、それを全く使ってもらえなかったり、想定と違う層にしか使ってもらえなかったりするようであれば、そもそもクーポンのあり方から見直す必要があるかもしれません。

もしも心当たりがある場合は、次の3つの原因が考えられないか一度見直してみましょう。

クーポン利用条件の敷居が高い

1つ目は、クーポンの利用条件が厳しすぎるため、該当者が限定的になってしまう場合です。

例えば、「1万円以上お買い上げの方のみ対象」「キャンペーン対象商品5点以上お買い上げの場合のみ利用可」など、利用条件が厳しいケース。自社の商品単価や購買単価に照らし合わせたとき、上記のクーポン利用対象者が何名に絞られるのか、あらかじめ確認が必要です。

また、クーポンを利用する顧客の目線から考えたとき「これを使えばお得!」と思えるものでなければ利用してもらえせん。企業側が一方的に儲けを増やしている印象しか与えないようであれば、そのクーポンは顧客にとって価値のないものに映ってしまいます。

クーポン自体の魅力が弱い

2つ目は、クーポン自体の魅力を感じてもらえないケースです。

例えば、「ハイミセス向けの化粧品」のクーポンを20~30代が受け取ったとしても、当然魅力を感じてもらえず利用されないでしょう。クーポンは、その需要をもった適切なターゲットに配布されなくてはなりません。

事業者の中には「メインターゲットではないけど、認知拡大を図るために広い対象者に配信したほうがよいはず」と考える方もいます。しかし、配信される顧客の立場から考えた時、「自分には関係のないクーポン」ばかりが配信されてきたとして、どのように思うでしょうか。場合によっては、その店舗やブランドとの心理的な距離が遠ざかり、愛想をつかされてしまう恐れもあります。

むやみにクーポン配布ばかりを行うことは、顧客ロイヤリティーや顧客満足度の低下につながりかねないことを忘れてはいけません。

キャンペーン内容/使い方が認知されていない

3つ目は、仮にクーポンに興味を持ってもらっても、その使い方がわかりづらい場合です。

クーポン1つとっても、リアル店舗とECでは利用するタイミングや処理方法は異なります。

注文時の提示なのか、会計時の提示で割り引いてもらえるのか、顧客が戸惑わないような案内が必要です。また、ECの場合でも、「クーポンを持っているのに、クーポンコードをどこに入力すればよいのかわからない」というケースも考えられます。

せっかく顧客が関心を持ってくれているにも関わらず、不要なストレスを与えたり、その期待を裏切ったりしてしまっては、その顧客は離反してしまいかねません。顧客目線で導線を見直すなど、きめ細やかな配慮をすることが必要です。

では、これらの原因を解消するためには、どのような解決策が考えられるのか見てみましょう。

クーポン利用を促進する解決策

以下でご紹介する解決策は、1つひとつが独立した施策です。しかし、それらを一連の流れとして考えることでその効果を最大化することができます。自社のプロモーション、オペレーション施策と比較しながら、実施を検討してみましょう。

敷居設定の改善

1つ目は、クーポン利用条件の見直しです。

クーポンの割引率が高ければ高いほど利用率が上がるように思えますが、「割引率の大小」の基準は客層によって大きく異なります。そのため、まずは自社の客層を見極めつつも、クーポン利用の敷居の設定を下げることを検討してみましょう。

例え、敷居設定を下げる代わりに割引率を10%から5%に下げたとしても、該当商品の購入を狙っているユーザーがいるようなら、そのクーポンを利用してくれるかもしれません。クーポンの狙いの多くは、新規顧客の獲得や新たな商材の拡販、休眠顧客の掘り起こしなどにあるはず。だからこそ、敷居設定を一度下げてみることは、検討の余地があるはずです。

顧客のニーズにパーソナライズ化

2つ目は、顧客ニーズをOne to Oneで捉えたプロモーションを行うことです。

前述のように、顧客1人ひとりが関心を持つクーポン内容はさまざまです。該当の商品カテゴリが異なったり、購買のタイミングやきっかけが異なったりするなど、その特性をひとまとめにして語ることは難しいものです。

だからこそ、顧客1人ひとりの顧客属性や購買履歴、お気に入り商品、購買パターンなど、あらゆるデータを統合的に捉えることが必要です。そのうえで、それぞれに最適なタイミングで、最適な内容のクーポンを出し分けて配信することが重要といえます。こうした工夫の積み重ねが、クーポン利用率の最大化に繋がることを忘れてはいけません。

顧客の反応をデータで可視化・改善

3つ目は、顧客の反応を可視化し、その内容に応じて改善を重ねることです。

例えば、毎回クーポンを使うユーザーがいる一方で、一定の購買力があるにも関わらずクーポンを利用しないユーザーがいたとします。ここで重要なことは「クーポンを使う理由」だけではなく「使わない理由」を明らかにすることだといえるでしょう。

クーポンを利用しない理由は何なのか、何がボトルネックになっているのか。これらのハードルを取り除く施策を検討・実行し、データを基にした改善を繰り返していきましょう。

まとめ

来店や販売促進のために配布するクーポンですが、その目的を果たさなくては意味がなくなってしまいます。そしてクーポン施策はほとんどの場合、1年の中で幾度も使う手段です。

だからこそ、改めて、想定しているクーポン利用者にとってクーポンの内容自体が魅力的か、クーポン利用の条件が適切かを確認し、そのクーポンが十分認知されるようになっているのかを今一度確認してみる価値があるのではないでしょうか。

また、昨今ではテクノロジーを活用してクーポンの利用データ取得、分析も容易にできるようになってきています。よく使うクーポンだからこそ、新たな手法・手段も検討しながらさらなる売上やリピート顧客獲得につながる工夫をしていきたいものです。