
スマートフォンの急激な普及とIoT展開の活発化に伴い、「ビーコン」を活用したサービスに注目が集まっています。
今回は改めてビーコンの基礎的な情報をおさらいし、販促やナビゲーションなど実際にどのように活用できるのか、活用シーンを用いていくつかご紹介します。
企業の集客・販促やITの担当者様などはぜひ参考になさってください。
ビーコンとは
「のろし」という意味があるビーコンは、信号を半径数十メートル範囲に発信する発信機のことです。
2013年にiPhoneシリーズで知られるApple社が、ビーコン端末から送られる通知をアプリと連動させる仕組み「iBeacon」を自社OSに搭載したことで、利用の機運が一気に高まりました。
ビーコンの技術を使えば、離れた場所にいる人のデバイス(端末)に様々な情報を送信することができます。現在多くの人が所持しているスマートフォンが、ビーコンからの情報を受信するデバイスのひとつです。
例えば、スマートフォンで道案内をしてくれるナビゲーションアプリを起動すると目的地までの道のりが表示されますが、その道のりにビーコンが設置されていれば、ビーコンの一定範囲内に入ったタイミングで、より視覚的な案内や施設の情報の受信が可能になります。
このように、ビーコンを活用することで、設置されている半径数十メートル範囲内に位置するデバイスの存在を検知したり、そのデバイスに情報を送ることができるのです。
ビーコンの活用例
現在では、様々な企業や団体が新たなビジネスチャンスやサービスの向上、問題の改善のためにビーコンを利用しています。
ここからは、いくつか具体例を挙げてビーコンの活用シーンをご紹介します。
活用シーン①ロケーションに応じた有益な情報の提供
ある一定のエリアの中で、とある範囲内ではAという情報を、別の範囲内ではBという情報を提供できます。そうすることによって、情報受信者の現在地に応じたが情報の出しわけが可能になり、次の行動を起こす動機づけになります。
例えばスーパーなどでは、スマートフォンでレシピやカロリーなどをスマートフォンで閲覧しながら店内を回るお客さんも少なくありません。
特定範囲内に位置するスマートフォンに通知を配信できるビーコンの特性を生かし、特売情報やクーポンなどを買い物客のスマートフォンに通知するとどのような販促効果があるでしょうか?
まさに特売品売り場にいるお客さんには本日のオススメ特売品情報やクーポンを提供し、生鮮食品コーナーにいるお客さんにはヘルシーレシピや今月のお得商品を案内するといった販促を行なうことができます。
これにより、店舗側はお客さんのニーズに合わせたきめ細やかな販促が可能になり、買い物客側は毎回の買い物で丁度ほしかった情報を受信できるので、店舗と買い物客双方にとってwin-winの関係の構築につながります。
活用シーン②インドアナビゲーション
インドアナビゲーションとはその名のとおり、屋内環境下におけるナビゲーションシステムです。
GPSが届きにくい屋内や地下にビーコンを設置することで、ユーザーの詳細な位置情報取得、スマートフォンアプリを介して情報提供することで屋外と同様のナビゲーションが実現できます。
広く知られている事例としては、観光地で美術館や博物館内で展示作品ごとの音声ガイドを再生する機能がありますね。
館内の展示物付近にビーコンを設置すれば、来館者が展示物に近づいたタイミングで展示物の情報を届けたり、次の展示物の案内ができます。そうすることによって、館内で導線を作り、まさにナビゲーションができるようになります。
また一部の病院では、すでに患者や来院者への施設の案内などに応用されています。
例えば、車椅子や足の不自由な患者にとって最適で安全なルートをインドアナビゲーションで表示し、施設内で迷う人の解消や院内スタッフによる説明の手間の解消に貢献しています。
活用シーン③人・モノの動き管理でビジネスを効率化
ビーコンによって人やモノの位置情報や動線を知ること、いわゆる「見える化」ができれば、業務・資産活用のムダ解消、管理性・生産性向上などの効果に期待できます。
例えば製造業では、工場内にビーコンを設置し、各作業員が携帯するスマートデバイスを検知して動線を把握しています。そうすることで、従業員の作業の流れが重複している部分を効率化したり、人や物の配置に改善の余地がないかを検討することが可能になります。
物流業でも同じように、倉庫や在庫管理の現場で作業者やフォークリフトの動線を把握できれば、作業の効率化や省スペース化につながりますね。
まとめ
わが国ではスマートフォン所有率が78%、タブレットが41%にまで躍進してはいるものの、ビーコンの活用度は決して高いとは言えません。
まだまだ一般的には知られていないビーコンですが、今後も普及するにつれて新たな活用法が登場すると予想されます。アイデア次第では、企業規模に関わらず、顧客のニーズに対応する新たなサービス提供ができるようになるかもしれません。