バーチャルオフィス導入事例8選〜コニュニケーション不足は解消されるのか?〜

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近年コロナ禍を機に、働き方の一つとしてバーチャルオフィスを導入する企業が年々増加しています。昨今ではテレワークを導入した企業も多いですが、コミュニケーション不足や人材育成しづらい環境を解決することが課題となっています。


バーチャルオフィス導入により社員のモチベーションアップやコミュニケーション不足の解消につながった事例も多くあり、テレワークだけでは解決できない難しい課題も、バーチャルオフィスで補える可能性があります。
この記事では、バーチャルオフィスについて説明し、国内から海外企業までの導入事例を8選紹介していきます。

<目次>

バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスの種類

バーチャルオフィス導入事例8選
世界中から従業員が集まる「Nth Floor」(アクセンチュア)
バーチャルお産合宿を開催(GMOペパボ)
オフィス半分を解約し、バーチャルオフィスを導入(エン・ジャパン)
新たな働き方への挑戦としてバーチャルワークプレイスを活用(NECネッツエスアイ)
社員の9割がバーチャルオフィスに出社(HIKKY)
導入済みのバーチャルオフィスを有効活用(ジョイゾー)
バーチャルオフィスでビジネス急成長。株価は300%上昇(米不動産仲介業:eXp Reality)
3Dバーチャルオフィスの試験運用(デンソー)

まとめ

バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、仮想空間に構築するオフィスのことです。住所や電話番号のみを借りて実態が存在しないオフィスのことをバーチャルオフィスと呼ぶ場合もありますが、ここでは仮想空間が存在するオフィスをバーチャルオフィスとして解説していきます。仮想空間のオフィスは、メタバースオフィスと呼ばれる場合もあり、リモートワークの延長で導入を進める企業があります。

バーチャルオフィスの種類

バーチャルオフィスはどのような技術を用いて、どのような空間にするかによっていくつかの種類に分けられます。それぞれ解説していきます。

VRやMRなどを用いた3Dのオフィス

VRやMRを用いた3Dオフィスは、バーチャルオフィスの中でも最新の技術を用いています。ユーザーの動きに合わせてアバターが動き、まるでその空間にいるかのような感覚を得られます。VR空間をよりリアルに再現したい場合は、VRヘッド窃盗や公正な機器が必要となります。

Microsoft社「Mesh for Teams」やMeta社「Horizon Workrooms」などが、このようなサービスを展開しています。

アイコンやアバターを用いた2Dのオフィス

2Dのバーチャルオフィスでは、2次元上に再現されたオフィスのレイアウトに、アイコンやアバターを用いて、コミュニケーションを取ることができます。比較的手軽に使用できるので、オフィスでの導入事例も多いでしょう。ネットワーク環境への負荷も小さく、特別な機器も不要です。

音声コミュニケーション特化オフィス

音声コミュニケーションに特化したバーチャルオフィスは、上述の2種類よりも手軽に利用できます。画面共有機能や簡単なアイコンだけ用意されていて、必要最低限の機能に特化したオフィスと言えるでしょう。

バーチャルオフィス導入事例8選

バーチャルオフィスを実際に導入した企業の事例をご紹介します。

世界中から従業員が集まる「Nth Floor」(アクセンチュア)

アクセンチュアはマイクロソフト、AltspaceVRと共同で「Nth Floor」と呼ばれるバーチャルオフィスを構築しました。Nth Floorの「N」は構築できる仮想フロアが無限であることを意味しています。

アクセンチュアでは、サミットや会議、採用イベントや新テクノロジーの発表会、研修などでNth Floorを活用しています。多国籍の人が集まるアクセンチュアでは、25か国150名を超えるマネージングディレクターが集まるバーチャルイベントを開催しました。

参考:Going beyond with extended reality

バーチャルお産合宿を開催(GMOペパボ)

GMOペパボでは、コロナ禍にオフィスの代替としてバーチャル空間を用意することで、イベント開催を実現しました。ペパボバーチャルオフィス(非公式)は、GMOペパボの東京オフィスを模したものをUnityで作成したものです。ペパボのパートナーや社外の方が自由にログインできます。

このバーチャルオフィスを利用することで、バーチャル会場による合宿の開催に成功しました。実際のオフィスの空気感やコミュニケーションの距離感、一体感を体感することができました。

参考:バーチャルお産合宿を開催しました

オフィス半分を解約し、バーチャルオフィスを導入(エン・ジャパン)

エン・ジャパンでもバーチャルオフィスを導入しています。エン・ジャパンでは緊急事態宣言が解除された後も、出社率を15〜25%に維持していました。社員はオンライン環境に次第に慣れていったように見えていましたが、体調不良や予期せぬ退職が増加しました。
原因としては、従業員が小さなSOSが出しづらいこと、上司はチームの動きが見えない、といったことが考えられます。コロナが落ち着いた後も出社率は継続し、officeも半分解約していました。そこで社員の孤立を防止するために、コロナ前のオフィスの雰囲気をできる限り再現する「バーチャルオフィス」を導入しました。

バーチャルオフィスは新入社員の教育や、新入社員が初受注を獲得し、皆でお祝いする場としても活用されています。結果的に、バーチャルでもリアル同様かそれ以上に大盛り上がりでした。

参考:エン・ジャパンがオフィスを半分解約、「バーチャル本社」が生まれた理由

新たな働き方への挑戦としてバーチャルワークプレイスを活用(NECネッツエスアイ)

NECネッツエスアイでは、株式会社Synamonと共同でバーチャルワークプレイスの共同実証を開始すると発表されました。リアルとバーチャルを融合し、共創の推進とコミュニケーションの革新を実現する新たな働き方の確立を目指します。

バーチャルワークプレイスの導入背景には、コロナをきっかけにコミュニケーションやマネジメントの質の低下したこと、企業への帰属意識の低下などの問題がありました。

バーチャルワークプレイスでは、チームメンバーとの一体感や各ワーカーが自律的に考え行動し、共創を促すための環境づくりを推進します。

参考:NECネッツエスアイとSynamon、バーチャルワークプレイス活用した新たな働き方への挑戦を開始

社員の9割がバーチャルオフィスに出社(HIKKY)

HIKKYは「バーチャルマーケット」を運営している会社です。バーチャルマーケットは100万人を集める世界最大級のバーチャルイベントです。VRイベントの企画・運営、メタバースサービスの開発・実験等を展開しています。

HIKKYは設立当初からフルリモートでの勤務体系を採用し、VRChat上にもバーチャルオフィスを構築しています。約80名の社員のうち、一部は本名ではないバーチャルネームを使用し、VRChatやGoogle Meetで実施されるオンラインミーティングでは見た目や声をカスタマイズした状態で勤務しています。

HIKKYでは『理想の自分』になることで、自己肯定感を高め、見た目や経歴に左右されないフラットなコミュニケーションを実現できると考えています。

参考:アバター出社は当たり前!「見た目」から解放された平等な世界を実現するHIKKYの働き方

導入済みのバーチャルオフィスを有効活用

サイボウズ社「kintone」の開発支援などを行うジョイゾーは毎月開催しているイベントの「スナックジョイゾー」をバーチャル空間で開催しました。
元々はユーザーやパートナーなどの社外向けイベントとして企画をしていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でまん延防止等重点措置が発令されたタイミングとなってしまい、バーチャルオフィスツール「oVice」を用いて開催することになりました。

日常的に社内でバーチャルオフィスを活用していましたが、社外向けのイベントでのバーチャル空間でのイベントは初開催でした。不安も多くありましたが、参加者がバーチャルオフィスの機能を楽しみながら進めることができました。

参考:ジョイゾー、イベント始めたってよ〜スナックジョイゾー@oVice〜

バーチャルオフィスでビジネス急成長。株価は300%上昇(米不動産仲介業:eXp Reality)

アメリカにある不動産仲介会社の「eXp Reality」には、リアルのオフィスが存在しません。「eXp World」という専用のソフトをダウンロードし、バーチャルオフィスにログインして出社する仕組みです。約200人の社員がアバターとしてオフィスに出社しています。

eXp RealityのCEOはワシントン州、COOはアリゾナ州、CFOはネバダ州、CTOはニューヨーク州と各地に点在しているため、リアルでは集まることが難しい状況です。しかしeXp Worldに出社しているため、どこに住んでいてもアバター同士で会議をすることができます。

またオンライン会議だけでなく、湖やサッカー場、フリースペースなど休息の場も設けています。これらの場で他の社員と交流を深めたり、会議に向かう道中で同僚と雑談をしたりすることも可能です。
今後は新たにバーを作るなど、コミュニケーションの場を増やす計画を立てています。

参考:VirBELA’s Software Makes Remote Working Come Alive

3Dバーチャルオフィスの試験運用(デンソー)

デンソーは新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言をきっかけに、テレワークを本格推進するためバーチャルオフィス「RISA」を導入しました。RISAの導入目的は、リモートワークでもオフィスに出社していた時と変わらない組織全体の一体感を作ることです。

RISAがあることで共通の居場所ができ、テレワークにも関わらず雑談・相談といったコミュニケーション機会が増えました。最終的にはオフィス縮小もしていきたいと考えています。

参考:働き方改革

まとめ

バーチャルオフィスの事例について紹介しました。ほとんどの企業がコミュニケーションをより多く取ることに成功し、よりリアルな空間で働く環境を再現できていました、現状は技術や通信環境の制限から比較的簡易的な仮想空間が用いられることが多いですが、今後は技術が進歩し、バーチャルオフィスの導入も増えていくでしょう。社員の働き方や働く環境の多様化が進んでいく中、働き方の一つとして自社で取り組まれてみるのはいかがでしょうか。