RPAとAIはどう違うのか?活用例とともに解説

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昨今ChatGPTなど、AIによる技術進歩が注目を集めていますが、実際にRPAとどう違うのか、わからない方も多いのではないでしょうか。


「どちらも自動化できて業務効率化や生産性を向上できるもの」とわかっていても、実際に導入するにはそれらの違いについて正しい知識が必要です。

本記事では、似ているようで異なるRPAとAIについて、それぞれの違いや、普段の業務に取り入れられるような活用例を解説していきます。

RPA(Robotic Process Automation)とは?

RPAとはルーティン業務をソフトウェアロボットにより自動化する技術です。パソコン上で行う決まった作業を、RPAツールを使って自動化します。ロボットに毎日、毎月、毎年など、繰り返し行う作業を覚えさせ、自動化することが可能です。時間短縮や人によるミスを防止することが期待できます。

AI(Artificial Intelligence)とは?

AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、直訳すると人工知能です。AIは膨大な量のデータベースから学習、判断する技術です。機械学習を用いて、人間のように考える仕組みになっています。AI単体で何かの作業をする訳ではなく、システムに組み込むのが一般的です。

RPAとAIの違い

RPAとAIは両方とも技術ですが、自ら判断するかどうかが異なります。RPAは指定した作業を自動的に繰り返す技術で、AIは課題解決を行うための知的行動をコンピューターに行わせる技術です。AIでは膨大なデータから分析して、予測・判断することができますが、RPAは予測・判断はしません。RPAは決められた作業を繰り返し行うのに対して、AIはデータに基づき予測・判断するため、同じ動きを繰り返すとは限りません。

RPAとAIどちらを選んだ方がいいのか

RPAとAIの違いについて説明しましたが、どちらを業務に組み込むのが最適か、それぞれ説明していきます。

RPAを選んだ方が良いケース

RPAを選んだ方がいいケースは、決まった作業を繰り返し行うものがある場合です。

例えば、毎月行う集計作業があり、売上データから部署ごとや商品分野ごとなどに分けるために、以下のような社内システムでの集計作業があるとします。

  • 売上データを社内のデータベースから抽出
  • 集計システムに取り込み
  • 集計開始
  • 集計完了のメール通知

RPAは上記の繰り返し行う作業を自動化させることができます。集計作業担当者が一つでも工程を漏らしてしまうと、重大なミスに繋がります。RPAを活用することで、担当者の急な休みや退職にも対応でき、いつも決まった工程で作業が進みます。

AIを選んだ方が良いケース

AIを選んだ方がいいケースは、人間がデータから判断して分析や予測をするような業務です。

例えば、売上のデータから在庫予測をし、必要な発注量を導き出す場合に使えます。期間限定のキャンペーンや季節による売上の変化も予測し、分析をすることができます。AIは繰り返し予測を行うことで、より正確な分析をしていくようになります。人材育成や人手不足を補う役割を担えます。

RPAとAIの組み合わせでできるようになること

RPAとAIを組み合わせることで、複数人の担当業務を短時間で、シームレスに解決することができます。AIは、予測・判断した内容を元に、RPAに必要な作業指示をし、一連の作業を自動化することができるのです。その具体例を4つ挙げていきます。

在庫予測×発注業務

前述したように、AIが予測した在庫と発注数量を元に、RPAで発注業務を自動化することが可能です。

AIは在庫・発注管理担当者の代わりに、売上データに基づき在庫予測を行います。そしてその予測から必要な発注数量を判断し、RPAが処理する発注書テンプレートに必要項目を指示をします。RPAはAIによって指示された発注品目や数量などの必要情報を発注書へ入力し、発注先へ注文書を送信します。

このAIとRPAの掛け合わせにより、管理者と作業担当者、2人分の業務効率化や人手不足の解消を実現できます。

AIコールセンター×書類発行

コールセンターを運営している企業では、AIを導入しているケースが増えてきています。中でも、コール業務をAIに任せ、ヒアリング内容に基づいた書類発行はRPAで自動化してしまう、というケースもあります。

コール業務を担うAIは、用意されたシナリオの質問を読み上げ、顧客の回答の解析、プッシュフォン操作での回答内容を元に、その顧客に必要な書類の判断、RPAへの指示までを行います。必要な書類が、例えば解約書なのか契約内容変更確認書類なのかを判断した後、適切な書類をRPAに用意するように指示するのです。指示されたRPAは該当書類の記入・発行・送信の一連の流れを自動で行います。人が判断して書類の発行を行うよりも、時間短縮が期待できます。

AI OCR×申請作業

ある自治体で実際に導入した事例をご紹介します。紙の申請書をAI OCRを用いて読み取り、データ化した内容をシステムに登録するRPAを掛け合わせたものです。OCRとは、紙に書いてある文字をデータ化する技術で、AI OCRは読みにくい文字でもAIによって予測して読み取れることが特長です。AI OCRによって読み取ったデータは、RPAが申請システムに入力し、登録を行います。この一連の流れにより、紙の申請書を入力する時間が削減され、付加価値のある業務に集中できます。

メールの振り分け×自動返信

AIによるメールの分類を行い、自動的に振り分け、受信内容に合わせた返信を自動で送る方法があります。

AIがメールの内容を分析し、予め用意された返信のパターンから適切なものを判断します。そしてAIがRPAに返信メールの作成を指示し、送信して一連の流れを自動化させます。これはオペレーター不足による返信の遅れが原因となり、顧客にストレスを与えてしまう心配が無くなります。またAIにメールの優先順位をつけさせることで、より効率的に業務を遂行することができます。

まとめ

RPAとAIについて解説していきましたが、それぞれできることが異なるということが理解できたでしょうか。

業務を自動化させ属人化しない企業を目指す上では、RPAとAIはどちらも欠かせない技術です。これにより解決できる課題がたくさんあります。そのためには、どのようなシステムが必要か、適正な判断が必要となります。

今後、技術はますます進んでいき、今よりももっと着実に効率化された業務が実現できるでしょう。テックファームでもこうした技術の研究を進め、最新の情報をお知らせしていきます。