カスタマーサービスにAIを導入する効果と導入事例

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カスタマーサービスを運営する上で、AIを導入を検討しているが、実際に導入することで具体的に自社の業務のどの部分に活用できるかわからないという課題をお持ちではないでしょうか。日本ではコンタクトセンターのAI導入済みの企業は約50%になっています。

この記事では、カスタマーサービスにおけるAI導入の現状について解説し、どのような業務にAIが導入でき、どのような効果が期待できるのか、実際の導入事例と合せて紹介していきます。AIの導入を検討するにあたって役立つ情報となりますので、ぜひ御覧ください。

カスタマーサービス運営の現状と課題

カスタマーサービスとは単に顧客の悩みを解決やサポートするだけではなく、顧客の購入前から購入後までのそれぞれに適した顧客体験(CX)を届けることが昨今は求められています。まずは今注目されているカスタマーサービスについて、運営の現状と課題をおさらいしていきます。

範囲が広がり注目されるカスタマーサービス

カスタマーサービスは、商品・サービスの購入前から利用後までのプロセスの中で、それぞれに適した顧客体験を届けることが目的です。昨今では消費者の期待値が高く、企業が競争力を高めるために、より良い顧客体験を与え、顧客満足度を向上させることが重要になっています。単に適切な回答やサポートを提供するのではなく、商品・サービスに関わる顧客体験の一環としてサポートの内容や質が問われているのです。そのためには、次々と変化するニーズに対して応えるべく、カスタマーサービスへの投資を増やす傾向が多くなっています。これにより、他者との差別化、顧客の解約や離脱を防ぐことに繋がります。そのための役割として重要なのがコールセンターとなります。

カスタマーサービス運営の課題

カスタマーサービスを運営する上で重要になってくるのがカスタマーサクセス、つまり顧客の成功や、顧客満足へと導くことです。しかし、範囲が広がるカスタマーサービスを運営する中で、人手不足や、それによる人材の教育不足が課題となっています。オペレーターの知識の違いに差があったり、誤った知識を顧客に届けてしまい、さらなるクレームを生んだりと、単純な人手不足の解消だけでは解決が難しいものとなります。

カスタマーサービスのAI導入の現状

昨今ではサービスや業務にAIが利用されており、業務をサポートをしています。国内では、大手企業や製造業が中心となって、比較的AIの導入が進んでいます。しかし、世界的に見ると、日本のAI導入は遅れを取っています。デロイト トーマツ コンサルティングの調査によると日本企業のコンタクトセンターのAI導入率は50%という結果が出ています。コンタクトセンターに限らず、カスタマーサービスでのAI導入は今後も進んでいくと思われますので、今のうちに導入例や効果も把握しておくことが大切です。

AI導入で実現できるカスタマーサービス業務例

カスタマーサービス業務の中でAI導入をすることでサポートできる内容を解説していきます。

電話対応

AIで対応できるカスタマーサービス業務例の1つ目は電話対応です。例えば、電話対応で予約受付、サービス申込、電話の一次受け、支払い催促も可能となります。音声認識AIを利用し、人間が話しているような電話対応が可能です。AIは顧客の話す内容をテキスト化し、その内容を解析します。そして用意している回答例の中から適切な回答を選択し、オペレーターに代わって回答してくれます。これにより待ち時間の短縮によるストレスの解消や24時間受付対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。

受付業務

対面で行われる受付業務にもAIの導入が可能です。昨今ではホテルの受付をAIが人に代わり行ってくれる企業が増えてきています。例えば、観光地のホテルはフロントでチェックイン待ちの行列ができ時間がかかっていましたが、AI顔認証を活用することによりスムーズにチェックインが行なえます。

サポート

顧客へのサポート対応にもAIで応えることも可能です。WebサイトにAIチャットボットを設置し、いつでも問い合わせできるようにし、予め用意しているシナリオに沿って適切な回答を顧客へ送信してくれます。スマホの料金プラン変更や定期購入プラン変更、家電や機器の各種設定やトラブルシューティングが可能です。

売上予測

カスタマーサービスによる売上予測もAI導入で行うことができます。過去の売上データや顧客とのコミュニケーション内容を学習し、そのデータをもとに売上予測を行います。過去のデータを元に売上に影響する要因を特定し、売上予測をすることで、仕入量の調整をしたり、顧客に向けた販促活動を行うことができるようになります。

AI導入で期待できる効果

AI導入の業務例は多数あり、カスタマーサービス業務をサポートしてくれます。それによる主な4つの効果をそれぞれ説明していきます。

生産性の向上・人手不足解消

AIの導入による1つ目の効果は生産性の向上や人手不足解消です。業務が自動化されることにより、業務時間が短縮もしくは削減され、生産性が向上します。今までの人員は別の業務を行うことができ、人手を賄うための採用も減らせます。

人為的なミスの減少

AIの導入による2つ目の効果は人為的なミスの減少です。冒頭でも説明した通り、カスタマーサービスは範囲が広がり、多くの人員が必要となります。これを全て人だけで解決しようとすると、ミスも多発します。AIを導入することで長時間の作業が可能となり社員の業務の手助けをしてくれます。

高度な分析と予測

AIの導入による3つ目の効果は高度な分析と予測が行えることです。機械学習を用いて、多数の商品ラインナップの中で購入パターンやトレンド・季節要因を掛け合わせて分析し、売上に影響する外的要因を考慮した精度の高い売上予測が可能です。また、その予測をもとに顧客へ効果的なアプローチ方法を編み出すマーケティングの役割も担うことができます。

カスタマーサービスの拡大

AIを導入することにより、カスタマーサービスの拡大が期待できます。人員の確保だけでは難しい24時間のサポート対応や多言語でのサポートが可能です。これによりカスタマーサービスの質の向上にもつながります。

カスタマーサービス業務でのAI導入事例

AIといってもさまざまな種類があります。それぞれの導入事例について解説していきます。

AIチャットボット導入で顧客満足度90%以上を達成(東京電力エナジーパートナー株式会社)

「販売力の強化」「オペレーション効率化」をテーマにDX推進の取り組みを全社的に行なっている東京電力エナジーパートナーは、コールセンターの入電を減らし、応対を効率化させることを目的に、AIチャットボットを導入しています。顧客のFAQページやシステムに対する満足度に課題があり、電話をAmazon Connectに切り替え、Zendeskの対話型のAIチャットボットを連携させ、柔軟な対応を可能としました。
導入の効果として、チャットボット経由でのチケット数が1日に約15,000件、オペレーターがチャットで受け取るチケット数が約1,500件と、チャットの利用量の急増と顧客対応の満足度が90%以上まで上昇しました。
参考:ITmedeiaビジネス

AIがワンストップでサポート受付(損害保険ジャパン株式会社)

損害保険ジャパンは、事故サポート受付のコールセンターを運営しています。損保業界では応答率の低下は致命的となりますが、災害時のコールセンターへの問い合わせは殺到し、つながらないという苦情が多発していました。多くの問い合わせに対応するために、対話型AIにNTTコミュニケーションズの「COTOHA Voice DX Premium」を採用しています。これはAIによる応対業務だけではなく、応対後の内容記録や業務処理などの派生業務や後続業務の一連の作業を自動化するシステムです。1時間あたり3000件の受付が可能となり、オペレーターの業務削減を実現しました。
参考:ITLeaders

自社開発のAIチャットボット運用を開始(小林製薬株式会)

小林製薬は、2023年8月にグループ会社を含む国内の全従業員約3200人を対象に、日本マイクロソフトが提供するAzure OpenAI Serviceを活用して自社開発した社内AIチャットボット「kAIbot(カイボット)」の運用を開始すると発表しました。トレンドの変化や多様化が進む顧客ニーズに、AI技術を活用して素早く対応することを目的に開発されました。日常業務で使用しているGoogle Chatにて、新製品のアイデア出しや業務効率化に向けて活用ができます。
参考:ミクスOnline

まとめ

カスタマーサービス業務へのAI導入は、さまざまな種類があり社内の生産性の向上や人手不足の解消、属人化している業務の自動化など、よくある悩みを解決できるものとなっています。この記事ではカスタマーサービス業務へのAI導入の事例や効果を解説してきましたが、カスタマーサービスの業務は今後もますます範囲は広がり、人材の育成や確保が今よりも困難になっていき、AIの導入は欠かせないものとなっていくでしょう。
テックファームではカスタマーサービス業務にAIを導入するにあたり、ただ導⼊するだけの局所的な改善ではなく、カスタマーサクセスも考慮し、AI導⼊の効果をより⾼める事が可能です。導入事例と効果について詳しく知りたい方は、ぜひ資料ダウンロード、お問い合わせください。