毎年1月、ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES」。
2026年、テックファーム社員が現地を視察してきました。会場で多く目にしたのは、社会の基盤として溶け込む「AIインフラ」の最前線でした。
本記事では、現地で体験した最新テクノロジーを紹介するとともに、世界基準のスピード感に触れて確信した、明日からの業務に活かすべき「AI前提」のマインドセットをご紹介します。
昨年のCES 2025レポートはこちら
<目次>
CESとは
CESは、毎年1月に行われる世界最大級のテクノロジー見本市です。主催は全米民生技術協会(Consumer Technology Association:CTA)で、AI、モビリティ、ロボティクスなど、多岐にわたる分野の先端技術が世界中から集結する場となっています。
2026年のCESは世界各国から4,100社超えの出展社が集まり、大規模なイベントとなりました。
CES2026年のスローガン
今年の公式スローガンは「Innovators Show Up(革新者たちが現れる)」。
この言葉には、これまでの生成AIブームを経て、技術が単なる「期待」から、具体的な価値を生む「実装」のフェーズへと進んだことが象徴されています。
革新の主役が企業の掲げるコンセプトから、実際にAIを使いこなし、社会を変える「具体的な行動やプロダクト」へとシフトしたことを告げる、力強いメッセージとなっています。

CES2026現地の様子
AIが「当たり前」の世の中に
会場を歩いて強く感じたのは、「AIを使うかどうか」という議論はすでに過去のものになったということです。あらゆる製品にAIが組み込まれているのが大前提となり、もはやAIは特別な技術ではなく、電気や水道のような「インフラ」として日常に溶け込んでいました。
この大きな変化を象徴する、2026年の3つの要素を紐解きます。
AIの日常化
これまでは「AIで何ができるか」という機能面が注目されていましたが、2026年のCESでは、「あらゆる製品への当然の実装」へとフェーズが変わったように感じました。
家電、モビリティ、教育、ヘルスケア。どのブースに行ってもAIが裏側で動いており、ユーザーが意識することなく最適な恩恵を受けられる「AI前提」の社会が到来しているということではないでしょうか。
フィジカルAI
これまでデジタル空間である画面の中にいたAIが、ロボットやウェアラブルデバイスといった「物理的な実体」を持ち始めました。
会場では、四足歩行ロボットやヒューマノイドが、AIによって周囲の状況をリアルタイムに理解し、自律的に動くデモンストレーションが数多く行われていました。
AIが「知能」だけでなく「身体」を得たことで、私たちの生活空間に直接干渉し、サポートしてくれる未来がすぐそこまで来ています。
インビジブルUI
もう一つの驚くべき進化が、物理的なボタンや画面を必要としない「目に見えないインターフェース」の台頭です。
壁や机、あるいは水や脳波そのものを操作の入り口に変えてしまう技術は、まさに魔法のようでした。
デバイスの存在を意識させない「インビジブル(不可視)」なテクノロジーは、デザインのあり方を根底から覆す可能性を秘めていると感じます。
テックファーム社員が注目した出展社3選
広大な会場の中で、特に心を動かされた3つの出展社・製品をピックアップします。
ARIVIA Water-Surface Light and Fountain Drone
福島県発のスタートアップ、スペースワンが手掛ける「ARIVIA(アリヴィア)」は、噴水・LED・音響を自在に操る自律航行型の水上ドローンです。
注目したポイントは、 水中ドローンの技術を単なる「点検・調査」に留めず、華やかなパフォーマンスへと昇華させた点に、技術活用の新しい可能性を感じた点です。
今後は観光地やリゾート地での空間演出だけでなく、環境センサーを活かした水質モニタリングとエンタメを両立させる、日本発の「実用的な演出技術」として世界へ広がることが期待されます。

参考:ARIVIA Water-Surface Light and Fountain Drone
Focus +
脳波と体の信号をAIで解析し、集中度や過負荷状態をリアルタイムで可視化するニューロAIデバイスです。
注目したポイントは、多数のウェアラブルデバイスの中でも、メンタルヘルスやパフォーマンス管理に直結するこの技術は、ストレス社会において極めて重要な役割を果たすと感じた点です。
今後は自己管理の質を高めるための、眼鏡やイヤホンに次ぐ「次世代の標準ウェアラブル」として、ビジネスから日常まで幅広く普及していくのではないでしょうか。

参考:Focus +
SWAVI Invisible Touch Controller
机や壁、金属パネルなど、ありふれた素材の表面をなぞるだけで、直感的なデジタル操作を可能にするインビジブル・タッチコントローラです。
注目ポイントは「摩擦による音響信号をデジタル入力に変換する」という驚きの発想です。
物理的なボタンや専用の画面に縛られない、全く新しいインターフェースの形を確信しました。
今後はスマートホームの壁や家電の表面など、デザインを邪魔せずに機能を組み込む「消えるUI(インビジブルUI)」の代表格として、私たちの住環境を劇的に変えていくでしょう。

参考:SWAVI Invisible Touch Controller
今後の展望〜明日からの業務に活かす「AI前提」の視点
CES 2026の会場を歩き、世界基準のスピード感とスケールに触れる中で確信したのは、モノづくりに対するパラダイムシフトの必要性でした。
特に今後、私たちが最も注力すべきは「AI前提のデザイン」への転換です。
「AIを軸」とした設計へ
このCES 2026で、これまでの「AIを使うかどうか」ではなく「どう組み込んで価値を出すか」というフェーズに入っていると感じました。
企画の第一歩から「AIが介在すること」を前提とした体験設計が求められると考えます。「機能」ではなく水中ドローンをエンタメに昇華させたARIVIAのように、高度な技術をどう「体験」として演出するかも重要となります。
人間が感じる「驚き」や「心地よさ」、そして「信頼感」という情緒的価値をどう設計に組み込むか、企画の第一歩として考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
2026年のCESは、AIが単なる「流行のツール」から、社会を支える不可欠な「インフラのような役割」へと進化した転換を感じられる場でした。
日本にいても情報は得られますが、世界基準のスピードとスケールを体感して得られる発見は想像以上に大きいものです。
今回のレポートのように、今後のビジネスの最前線を追求し皆様にお届けしていきたいと思います。










