
今や誰もが手軽に使用するようになった生成AIは日々進化し続け、新しいサービスを展開しています。
GPTsもその一つ。2023年11月7日に発表されたGPTsは、ChatGPTの機能の1つで、ノーコードでオリジナルのChatGPT(My GPTs)を作成できるため、専門知識を必要としません。
従来、AI開発に携わっていたのは専門的な技術者のみでした。一方でGPTsは、クリエイターや教育者、ビジネスオーナーなどがすでに活用している注目のサービスです。GPTsを活用すれば、従来はできなかった業務の効率化も夢ではありません。
本記事では、GPTsの特徴や使用方法、具体的な活用事例を紹介します。
ぜひ、記事を参考にGPTsの利用方法やメリットを理解し、自社組織やビジネスに役立ててみてください。
<目次>
GPTsとは?料金と利用方法
・GPTsの料金
・GPTs(My GPTs)の利用方法
GPTsの3つの特徴
・ノーコードでオリジナルのChatGPTを簡単作成
・外部サービスとAPI連携できる
・My GPTsの公開により収益化も期待できる
GPTsの基本の使い方
・STEP1:GPT Builderの起動
・STEP2:GPTsの目的を決定
・STEP3:ロゴとタイトルの決定
・STEP4:会話のスタイルや注意点などを設定
・STEP5:テスト後に公開
GPTsを導入するメリットと注意点
・GPTsを導入する際の3つのメリット
・GPTsを導入する際の2つの注意点
GPTsとは?料金と利用方法
GPTsは、自社の利用目的や用途に応じたオリジナルのChatGPT(My GPTs)を、ノーコードで作成できる画期的なサービスです。
このサービスでは、独自にカスタマイズしたGPTを作成・利用できるだけでなく、作成したGPTを他のユーザーと共有することも可能です。さらに、「GPT Store」機能が搭載されているため、将来的には作成したGPTを販売することも視野に入れられます。
本記事では、GPTsの料金や利用方法について簡潔に解説します。
GPTsの料金
ChatGPTには無料プランがあり、無料でも利用できます。しかし、GPTsを利用できるのは、ChatGPTの有料プラン「ChatGPT Plus」と企業向け「ChatGPT Enterprise」のユーザーのみです。
では、利用料金はどれくらいなのでしょうか。
「ChatGPT Plus」の料金は月額20ドルとなっており、比較的利用しやすい金額設定です。
一方、ChatGPT Enterpriseの料金は明確に定められていません。Enterpriseは企業の規模やニーズに応じて設定され、実際に利用する際にはOpenAIに見積りが必要です。目安は月額50USD/人程度となっていますが、実際は見積りをしてみないと分からない状況です。
GPTsは無料版から有料版に変更すれば簡単に試せるので、上記どちらかの有料プランを選択してください。
GPTs(My GPTs)の利用方法
GTPsを利用する際には難しい申請や手続きは不要で、誰でも利用可能です。具体的な利用方法は以下の手順となります。
- ChatGPTにアクセス
- トップ画面の「Explore」メニューからGPTを作成する「Create a GPT」を選択
- 使用目的を設定
- 基本設定を完了
- 公開設定
実際の利用方法については後述します。
GPTsの3つの特徴
GTPsには、以下のような3つの特徴があります。
- ノーコードで手軽に作成できる
- 外部サービスとAPI連携が可能
- My GPTsの公開により収益化も期待できる
それぞれ具体的に解説しましょう。
ノーコードでオリジナルのChatGPTを簡単作成
GPTsがほかのサービスと大きく異なる特徴は、ノーコードでオリジナルのChatGPTを作成できる点です。ノーコードで作成できるため、プログラミングの専門的な知識が要りません。
指示は人と会話するのと同様に、自然言語でイメージを伝えるだけ。難しい専門知識を使わなくても、簡単にオリジナルのChatGPTを作成できます。
ユーザーが必要な機能や情報をテキストで入力するだけなので、誰でも簡単に作成可能です。
外部サービスとAPI連携できる
GPTsは外部サービスとAPI連携ができます。GPTsに実装されているAPI連携機能が「Custom Actions」です。
API(アプリケーションプログラミングインターフェイス)とは、ソフトウェアやアプリケーション、Webサービスなどを連携するためのインターフェースであり、APIを利用すれば外部サービスのデータを取得できます。
たとえば、GoogleカレンダーやCRMツールなどとAPI連携すれば、特定のビジネスニーズに合わせた機能を持つ便利なMy GPTsが簡単に作成可能です。
My GPTsの公開により収益化も期待できる
ユーザーが作成したMy GPTは、利用実績に応じて収益化も可能です。オリジナルのMy GPTsは将来的にGPT Storeで公開可能となります。
現在のところ、収益分配は一部の招待された開発者に限られているため、誰でも収益化が可能とはいえない状況です。一方で、一部のGPT作成者に対しては、すでに報酬プログラムの試験提供が始まっています。
したがって、現在はほかの方法で収益化するしかありません。しかし、近い将来、有益なMy GPTsを作成できれば、あなたにも収益化のチャンスが巡ってくるでしょう。
GPTsの基本の使い方
ここでは、独自のMy GPTsを作る方法を解説します。GPTsで新たにオリジナルのGPTを作成する際には、「GPT Builder」の利用が必要です。「GPT Builder」には、「Create」と「Configure」の2つの機能があるので、どちらかを選択して利用します。
オリジナルGPTを作成する基本的な手順は次の5つのステップです。
- GPT Builderを起動する
- GPTsの目的を決定する
- ロゴとタイトルを決定する
- 会話のスタイルや注意点などをする
- テスト後に公開する
順に見ていきましょう。
STEP1:GPT Builderの起動
まず、ChatGPTにアクセスします。ChatGPTの会員登録がまだの場合は、アカウント作成のうえ、ChatGPT Plusへ登録してください。
ChatGPTにアクセスしたら、「Explore GPT」をクリックし、つづいて右上の「+Create」をクリックします。
GPT Builderが起動したら、次の手順に進んでください。
STEP2:GPTsの目的を決定
作成する目的やGPTの概要を、わかりやすくAIに伝えます。
注意点としては、英語表記がデフォルトに設定されているため、最初に「日本語で会話を続けて下さい」と記載するのがおすすめです。AIなので、伝えれば日本語で会話が可能になります。
AIから、「何を作りたいですか?」と聞かれるので、具体的なイメージを考えて指示を行います。
例としては、「記事を書くためのGPTを作りたい」「ブログタイトルを決定するGPTを作りたい」などです。
STEP3:ロゴとタイトルを決定する
3つ目のステップでは、あなたが作成するMy GPTsのロゴとタイトルを決定します。
AIが作成するGPTのタイトルを提案してくるので、採用する場合はそのまま次に進みます。気に入らない場合や提案したい名前があれば提案してください。
つづいてAIが内容に合わせた画像を作成してくれます。画像は何度でも変更が可能なため、気に入った画像を提示されるまで何度も繰り返してください。
STEP4:会話のスタイルや注意点などを設定
4つ目のステップでは、GPTsの役割や目標の設定を行います。
指示に従い、会話のスタイルや注意点などを具体化してください。回避したい情報や強調したいポイントなどがあれば、指定していく流れです。
以下のように会話しながら詳細を決定することもできます。
- 最初に〇〇を聞くように設定してください
- 回答は表形式にしてください
会話のスタイルやそのほかの細かなGPTsは、「Configure」で調整できますので、最初から細かく設定する必要はありません。たとえば、会話形式を「親しみやすく」や「ビジネスライクに」などのこだわりがある場合、「Instructions」のタブで指定します。
STEP5:テスト後に公開
4つ目のステップまでで、オリジナルのGPTはほぼ完成した状態です。最後に実際の動作を確認し、公開します。
まず、GPT Builderの右側に表示されているPreview画面を確認してください。設定したGPTsのプレビューが表示され、動作確認テストができます。
動作確認を行い、問題がないことを確認できたら、右上の「Create」ボタンをクリックしてGPTを完成させてください。その後、ほかのユーザーに公開するかどうかを設定します。
画面右上にある「保存」ボタンを押してください。すると、以下のような3つの公開先が表示されます。3つのなかから、いずれかを選択してください。
- 私だけ
- リンクを持つ人のみ
- 公開
最後に「確認」ボタンをクリックします。これで公開設定は完了です。
GPTsを導入するメリットと注意点
近年、企業のDXを推進するうえで、GPTsの導入が注目されています。GPTsを活用することで、業務の効率化や顧客対応の向上など、さまざまなメリットを得ることができます。
一方で、GPTsを導入する際には、データ管理やセキュリティの課題、AIの精度維持といった点にも注意が必要です。
本記事では、GPTs導入の具体的なメリットと注意点について、詳しく解説していきます。
GPTsを導入する3つのメリット
GPTsを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
業務の自動化によるコスト削減
GPTsを活用すれば、カスタマーサポートの自動化や書類作成・データ処理の効率化が可能になります。これにより、人件費削減や業務スピードの向上が期待できます。特に、マーケティング業務のコンテンツ制作なども効率化でき、企業全体のコスト削減につながります。
従業員の生産性向上
GPTsがルーチン業務や情報検索をサポートすることで、従業員は創造的な業務に集中できるようになります。人事・採用業務の効率化にも貢献し、全体的な業務負担を軽減できます。
顧客満足度の向上
24時間対応のAIチャットボットを導入することで、顧客の利便性が向上します。さらに、即時対応やパーソナライズされた対応が可能となり、顧客満足度の向上につながります。
GPTsを導入する際の2つの注意点
GPTsを導入する際には、以下の点に注意が必要です。
セキュリティ/データ管理のリスク
GPTsを含む生成AIは、適切に管理しないと情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが発生する可能性があります。
- 機密情報の流出:AIが処理するデータには、企業の機密情報が含まれることがあります。適切なアクセス制限を設定し、外部に流出しないように管理する必要があります。
- プロンプトインジェクション攻撃:悪意のあるユーザーが特殊な入力を行うことで、AIから意図しない情報を引き出す攻撃手法が存在します。このような攻撃を防ぐための対策を講じることが重要です。
- データプライバシーの確保:AIが学習するデータの取り扱いには注意が必要であり、個人情報保護法などの規制に準拠することが求められます。
GPTsを導入する際には、これらのセキュリティリスクを十分に考慮し、安全な運用体制を整えることが不可欠です。
AIの回答精度を維持するための継続的な管理
GPTsの回答精度を高く保つためには、継続的な学習データの管理とアップデートが必要です。
- 最新情報の学習:GPTsは学習データに基づいて回答を生成するため、古い情報のままでは誤った回答をする可能性があります。常に最新の情報を提供するように管理することが重要です。
- カスタマイズとチューニング:業界や企業ごとのニーズに合わせてAIを調整し、適切な回答ができるようにチューニングすることが求められます。
- フィードバックの活用:ユーザーからのフィードバックを収集し、AIの精度向上に役立てる仕組みを構築することで、より信頼性の高いAI運用が可能になります。
GPTsを活用する際は、一度導入して終わりではなく、定期的なメンテナンスと改善が欠かせません。
GPTsの業種別活用事例3選
GPTsの活用事例を見ていきましょう。業種ごとに、どのような活用方法があるのか紹介します。具体的に紹介するのは、下記3つの業種です。
- カスタマーサポート
- マーケティング・営業支援
- 社内業務効率化
それぞれ詳しく解説します。
カスタマーサポート
カスタマーサポートでは、GPTsでチャットボットやFAQ、メールの自動返信などを作成して有効活用している事例があります。主な事例は以下のようなものです。
- チャットボット
チャットボットは、顧客からの質問に自動で返答するプログラムです。GPTsを活用してチャットボットを設置することで、顧客からの問い合わせに24時間対応可能となります。顧客満足度の向上が期待でき、カスタマーサポートのコスト削減も可能です。 - FAQ
GPTsを活用して顧客からの質問を分析すれば、ホームページ用のFAQを効率的に作成できます。AIによって人間と同じような自然な会話が可能です。 - メールの自動返信
GPTsの活用によって顧客からのメールを解析し、効率的に返信メールを作成できます。 - トークスクリプト作成
GPTsでトークスクリプト(顧客対応の台本)を効率的に作成可能です。トークスクリプトにより、顧客対応の品質向上が期待できます。 - VOC(Voice of Customer)の抽出・分析
GPTsでは顧客の声(VOC)の抽出と分析が可能です。VOCを解析することで、業務改善やサービス向上の新たなアイデアを得られます。 - コールセンターの対応履歴を電子化
コールセンターの対応履歴は、基本的に音声データです。音声データは分析や利用が難しいため、GPTsを活用してテキストデータに変換します。また、単純にテキストデータに変換するだけでなく、問い合わせ内容の要約も可能です。
マーケティング・営業支援
マーケティングや営業分野におけるGPTsの活用事例には、以下のようなものがあります。
- ソーシャルメディア投稿の作成
マーケティングにソーシャルメディアを運用する際にGPTsが有効です。GPTsで自動生成した文章を定期的にSNSに投稿するなどの活用方法が考えられます。 - メールマーケティングの文章作成
メールマーケティングでは、GPTsによって顧客をパーソナライズし、それぞれに適した内容の文章を自動作成が可能です。さらに、自動作成した文章をメールとして送信するなどの活用方法があります。 - 広告コピーの自動生成
広告コピーの自動生成にGPTsの活用が可能です。GPTsによって、クリエイティブな広告文を瞬時に生成できます。 - キャンペーンのパーソナライズ
GPTsはキャンペーンのパーソナライズに活用できます。収集した顧客データに基づき、顧客のニーズに最適なキャンペーン展開が可能です。
マーケティングや営業支援の業務範囲は非常に広く、自動生成以外にもGPTsを活用できる業務は多々あります。
社内業務効率化
社内業務効率化にもGPTsが活用されています。とくにドキュメント管理や人材採用プロセスにおいては、大きな効率化が可能です。
それぞれ詳しく解説します。
GPTsをドキュメント管理に活用
ドキュメント管理にGPTsを活用すれば、以下のような効率化が可能です。
- 自動要約と分類
膨大な文書をGPTsにより自動で要約します。また、カテゴリごとの整理も可能です。 - 情報検索の効率化
GPTsを活用すれば、膨大なデータのなかから必要な情報を迅速に検索できます。 - データ入力の自動化
GPTsの活用により、手動入力の手間を省けます。これにより、作業効率を向上させ、コストダウンも可能です。
上記以外にも社内に発生するドキュメント管理は多々あり、工夫次第でGPTsを有効活用できる場面も多いでしょう。
人事採用プロセスをGPTsで効率化
GPTsを活用すれば、以下の事例のように人事採用プロセスを効率化できます。
- レジュメの自動評価
GPTsを活用し、応募者のスクリーニングを自動化できます。 - スキルマッチングの自動化
GPTsでスキルマッチングが可能です。求職者のスキルと求人要件を自動マッチングすれば、求職者と企業側の両方にメリットが得られます。 - 面接スケジュールの調整
面接日程の調整は意外に手間がかかりますが、GPTsを活用すれば、面接日程の調整を自動で行えます。APIとの連携により、開発コストも削減可能です。 - 候補者への自動応答
GPTsは自然言語の解析に長けているため、自動応答が可能です。応募者への通知やフィードバックも、GPTsを活用すれば迅速に提供できます。
人事採用プロセスにおいては、工夫次第でGPTsを活用できます。
まとめ~GPTsを手軽に活用して業務効率向上を目指す~
本記事ではChatGPTの機能の1つである「GPTs」の特徴や使用方法、具体的な活用事例などを詳しく紹介しました。
GPTsはノーコードでオリジナルのChatGPT(My GPTs)を誰でも手軽に作成できます。
従来は独自のチャットボットを作成するには、専門知識が必要でした。一方、GPTsのサービスが始まったことで、クリエイターや教育者、ビジネスオーナーなども参入できます。
GPTsを使いこなせば、業務改善の可能性が広がることは間違いありません。記事内で紹介した活用事例を参考に、自社に特化したチャットボットを作成してみてください。