データ分析プロジェクトの稟議の通し方と外注メリット

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「データ経営」「データドリブン経営」がテーマとして注目され始めて数年経ち、データ分析・活用が様々なシーンで検討され、取り入れられるようになってきています。

しかし、データ活用にリソースを投下している企業はまだまだ限られています。

重要性については認識されてはいるものの、まだ社内の理解を得るのが難しい分野でもあるのです。

こういった状況下で、どのようにデータ分析・活用に向けて社内稟議を通すのが得策か、ポイントを4つに絞って解説していきます。

必要性を感じながら、進まないデータ活用

日本では多くの企業がデータ活用の必要性を感じてはいるものの、企業姿勢や組織体制が整っていないのが現状です。ガートナージャパン株式会社の調査結果によると、データ活用で全社的に十分な成果を獲得している日本企業は3%程度です。

多くの人が問題意識を持ってはいるものの、実際に行動して改善しようとしている人は少数派と考えられます。また、問題意識を持っているにも関わらず、データ活用を用いた改善案が出た際に、いまいちデータ活用による効果をイメージしきれず、後回しにしてしまうケースも少なくはないのが現状です。

データ活用には、労力や時間や場合によっては費用も生じます。そこまでして果たして必要なのか、と実際データを業務に取り入れようとすると疑問に思われるのです。単純に現状の業務を変えたくないと考えている人もいるかもしれません。

データ分析を社内稟議で通すための4つのポイント

上記のような状況を変えるために、実際に行動を起こしている人も存在します。しかし、データ活用そのものに対して費用対効果を出しづらいこともあり、社内の承認を得ることは一つの大きな壁となっているケースは珍しくありません。場合によっては、データによって課題や問題が露呈してしまうことを不都合と考える人も社内にはいるかもしれません。

では、こういった状況下でどのようにデータ活用における社内稟議を通すのか、ポイントを挙げていきます。

小さな成功体験事例を作る

データ分析プロジェクトを社内で推進するためには、まず小さな成功事例を作ることが重要です。具体的には、作業の自動化や可視化、レポート作成の効率化など、身近な業務からデータ活用のメリットを実感できる小さな改善を行います。

このような「クイックウィン」と呼ばれる小さな成果を積み重ねることで、社内の信頼を獲得し、本格的なプロジェクトへの予算確保につなげていくことができます。小さな一歩から始め、徐々にデータ活用の範囲を広げていく戦略が有効です。

事業に影響のある分野で行う

データ分析プロジェクトにおいて、クイックウィンを作ることは重要です。しかし、自分都合な視点でクイックウィンを作ると失敗してしまう可能性が高いでしょう。自分目線ではなく、他の社員や経営者の視点に立ち、本当に会社が求めている成果を出すことが肝心です。

データ分析は手段に過ぎず、会社のニーズや課題を起点にどのような成果物を作るべきかを考える必要があります。技術的な面よりも事業価値を高められるかという観点から、クイックウィンのテーマを選ぶことが重要です。

わかりやすく可視化されたデータを出す

クイックウィンを社内に広め、データ分析の価値を理解してもらうためには、具体的な成果物を見せることが重要です。単に「データ分析ができる」と説明するだけでは、相手に実感を持ってもらえません。

実際にダッシュボードやグラフなどを使って関心のあるデータを視覚化し、その価値を体感できる形で提示することが得策です。相手が関心を持つデータや課題を起点に分析結果の具体例を示すことで、データ分析のメリットを実感してもらえます。

相手の立場に立ち、目に見える形で成果を示すことが、データ分析の理解を深める上で不可欠です。

事業責任者にアプローチする

データ分析プロジェクトを推進するためには、クイックウィンを作り、それを誰に見せるかも重要です。特に最終的に予算承認を得る必要がある場合は、決裁権を持つ事業責任者に対してデータを用いた成果を示し、事業価値への貢献度やROI、今後の計画などを説明することが効果的です。

事業責任者が納得できるようデータ分析の具体的な成果とメリットを事前に実感してもらった上で、正式に稟議書の形でプロジェクト計画を提案すれば予算化しやすくなります。クイックウィンの内容とともに、その成果を誰にどのように見せるかを検討することが重要です。

データ分析を外注するメリット

データ分析は自社で取り組むことはもちろんできますが、外注するという選択肢もあります。外注することでどのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。

正確な分析が行える

自社にデータサイエンティストなどの専門家がいれば、自社でも正確なデータ分析を行えます。しかし専門家が在籍しておらず、たとえばネットや書籍で情報収集しながらなんとか実施しているような状況だと、正確なデータ分析ができない可能性があります。

未経験者でも業務時間のすべてをデータ分析に充てられれば高い成果を出せるかもしれませんが、多くの場合は他業務もある中で最初はプラスαの業務になるため、現実的にやり切ることが難しいこともあるでしょう。

専門家の知見や最新ツールへのアクセス

専門業者に依頼すれば、業者が蓄積しているノウハウや保有している最新ツールを活用できます。これらによって効率的にデータ分析、活用が可能になります。また、分析内容や進め方、使用しているツールなどを共有してもらえば、知見を得ることができ、将来的には自社でもある程度対応できるようになります。

ただし、業者によってどこまでノウハウやツールを共有してくれるかが異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

固定費用のコスト削減

自社でデータ分析の専門家を採用する場合、単純に固定費用が追加で発生します。社員として採用すると毎月の給与を支払う必要があるからです。また自社で教育して専門家を育成する場合も、同様に固定費用がかかります。その点外注すれば必要なときだけ費用をかければ済むので、固定費用のコストを削減できます。

事業に集中できる

データ分析を外注すれば自社で考えたり作業する必要がなくなるので、従業員は事業に集中できます。特に経験がない状態からデータ分析を実施しようとすると、勉強する時間も必要なので事業に取り組む時間がなくなります。人手不足がよく課題に上がる昨今では特に、まずは外注をしてから要領を得て、将来的に内製化を進めていくという考え方もあります。

まとめ

データ分析の必要性は日本でも多くの企業が感じています。しかし実際に行動に移せている企業はごく一部です。なおかつ企業内では、データよりも慣習や感覚を好む人がいるケースが珍しくないのも事実です。

このような状況下で稟議を通すためには、説得する相手選びや方法が重要です。また自社で取り組むのではなく、外注して専門家に説得部分から任せるという選択肢もあるので、そろそろ取り組みたいとお考えの方は一度専門家と話してみると良いかもしれません。