
近年、VRは企業の安全教育や技能研修に活用され始めていますが、導入後の運用管理の煩雑さが課題となり、普及が思うように進んでいない方も多いのではないでしょうか。
導入にありがちな、「導入はしたけれど運用が大変」という声も多いはずです。
本記事では、VR普及を阻む「運用の壁」を掘り下げ、DX推進に欠かせないXRの可能性を最大限に引き出す方法を解説します。
既に、研修で使う多数のVRゴーグルを立ち上げ、管理し、運用する苦労を感じた方は、ぜひ御覧ください。
<目次>
VRは有効なのに、なぜ普及が進まないのか
・VRが普及しない3つの課題
煩雑さを一気に解消──デバイス統合管理ツール
・OneXRの主な機能
VRは有効なのに、なぜ普及が進まないのか
近年、VR技術は、産業界の安全教育や技能研修に活用され始めています。
理由はシンプルで、現実では再現が難しい危険なシーンや、大規模施設の疑似体験を、安全かつ効率的に提供できるからです。
また、複数のVRゴーグルを同時に扱い、多人数が同一のバーチャル空間に参加するマルチプレイ型のVR研修も徐々にではありますが認知されつつあります。
しかし実際の現場では、「導入はしたけれど運用が大変」という声が後を絶たず、普及の足取りは思ったほど早くありません。
VR普及を阻む壁に、運用管理の負担がまず取り上げられることでしょう。
VRが普及しない3つの課題
ここでは、VRが普及しない3つの課題を説明していきます。
- 準備や全員に操作説明する手間
企業の運用管理者や研修担当者は、同時接続や設定変更など複雑な管理作業に追われてきました。 受講者一人ひとりに機器を装着させ、設定を終えるまでに研修時間の多くを消費してしまうのが現状です。 - 講師や管理者が受講者の視点や操作を把握できない
何を見ているのか分からないままでは、的確な指導やフォローができません。受講者が何を見ているかを知ることで、どのような研修を受講しているかを知る必要があります。 - 操作トラブル・電池切れが頻発
体験中に操作方法が分からず中断する参加者が出たり、気付いたらバッテリーが切れていることも多いです。研修の準備で防げたトラブルも二度手間となります。
煩雑さを一気に解消──デバイス統合管理ツール
この課題を解決するにはデバイス統合管理ツールが便利です。テックファームが提供するXRデバイス一括管理ツール『OneXR』について紹介していきます。
このツールはXR運用管理者が多人数のXR体験者を一括でコントロールできる仕組みを備えています。
OneXRの主な機能
- デバイスの一括起動・終了
研修や体験を始める際に、全員の機器を同時にスタンバイ。終了も一斉に可能。 - データの一括送信
必要なコンテンツや設定を一度の操作で全員のデバイスに反映。 - リアルタイム視点モニタリング
参加者ごとの視野を講師が同時に確認し、状況に応じて声掛けや指示が可能。 - バッテリー残量や機器状態の監視
予期せぬ電池切れや接続不良を事前に察知し、トラブルを回避。
これら機能より、参加者は機器操作をほとんど意識せず、「装着したらすぐ体験」というスムーズな流れが実現します。
マルチプレイ型VRの一般化
XRの産業利用では、複数デバイスを同時に扱い、多人数を同一バーチャル空間に参加させるマルチプレイ型VR。この形式は臨場感やチームワーク訓練に非常に効果的です。
マルチプレイ型VRの活用シーンと効果
- 安全教育
作業現場を忠実に再現し、マルチプレイ機能でチーム全員が同じ空間に入り、不安定な行動や異常対応を体験が可能です。
特に、「感電」「挟まれ・巻き込まれ」「墜落・転落」「重機災害」といった高リスク状況を安全に疑似体験に最適です。指導役は他体験者の挙動を、同じ空間内で把握しながら的確なタイミングで指示を出せます。 - 技能教育
例えば鉄道の保線作業で、 参加者は「列車見張り員」「工事管理者」「作業員」などの役割を割り当てられ、協力しながら作業を進行。 チーム連携や役割分担の重要性を実践的に学べます。 - 施設・工場・大型設備の見学学習
企業の主な施設・工場・大型設備を、新入社員がバーチャル空間で団体見学を行えます。
講師やガイドがタイミングを見計らって解説テキスト・画像・動画を表示し、見学の質を向上させることが可能です。また、遠隔地や海外の拠点にも対応可能で、移動コストを削減することも期待ができます。
しかし、ここでも運用管理者、講師にとっては同様に以下の課題に悩まされることが多くありました。
- 一斉スタートが難しい
- 個別トラブルへの対応で進行が止まる
- 体験中の進捗や視点を把握できない
XRデバイス一括管理ツール『OneXR』は、こうした現場特有の悩みを構造的に解消するために開発されました。
VR研修現場の「リアルな声」に応える設計思想
複雑な運用管理がVR研修の普及を妨げる最大の障壁でした。しかし、『OneXR』は現場の生の声に真摯に応え、これまでの課題を構造的に解消するために生まれました 。ポイントは以下の3つです。
- 集合型VR研修に最適化された操作系
- 視点共有と録画による学習効果の最大化
- 将来を見据えた柔軟な拡張性
このツールは、集合型のVR研修に最適化された操作を備えています 。複数の受講者のデバイス起動から進捗管理まで、講師がすべてを一括で操作できるため、現場が求めるスムーズな運用が実現します 。
さらに、視点共有と録画機能は学習効果を最大化します 。講師は各受講者の視点をリアルタイムで把握できるため、的確なタイミングで指導や声かけが可能です 。また、重要な場面を録画して後から振り返ったり、共有したりすることで、研修の目的をより明確にすることができます 。
将来的な拡張性も考慮されており、CMSによるコンテンツ管理やLMSとの連携による履歴可視化、トリガー操作など、今後の機能拡張によってより高度な研修設計にも対応可能です 。
これらの機能は、体験者と管理者の双方に大きなメリットをもたらします 。
体験者のメリット
- 操作に不慣れな方でもすぐに体験を始められる 。
- セッティングや操作の不安から解放され、研修内容に集中できる 。
- マルチプレイ体験で、他の受講者との交流や協力がスムーズになる 。
管理者のメリット
- 全受講者の視点をリアルタイムで把握し、的確な指示が出せる 。
- バッテリー残量や機器トラブルを事前に察知できる 。
- 個別の操作説明や準備作業が不要になり、研修が滞らない 。
- 運営にかかる負担が大幅に減るため、本来の教育や演出に集中できる 。
教育研修にVRの普及が思うように進まない理由
ここまで述べてきた“運用管理の煩雑さ”以外にも、以下のような壁があるとされていますが、XRデバイス一括管理ツール『OneXR』による“VR導入へのはじめの一歩”で、これら課題をどう乗り越えてみようとしているのか‥その一端も解説していきます。
ROI(Return On Investment)への不安
業の経営層からは「本当に教育効果や事故削減につながるのか」定量的な成果が見えにくく、投資判断が後回しになりがちということがあるかもしれません。
これについては、『OneXR』のような集合研修向けに特化させたツールを使うことで、リアルタイムの視点確認で、全員が正しく学べているかを把握可能であるとともに、実際の現場に入れない方でも、全員が同条件で現場を臨場感・没入感を以て体験できる点や、「研修品質の安定化」の効果が期待できます。
また、将来的にはLMSを併用しての履歴可視化など、今後、より高度な研修設計にも対応することで定量的な成果まで見ていただけるようにしていきます。
社内運用リソースの不足
リソース不足の主な原因は以下の2つです。
- VR運用の専門知識不足
- 現場との調整負担
VR運用の専門知識不足
ITや3Dに詳しい人材が少なく、研修部門や安全管理部門だけでは運用は難しいです。
OneXRなら、簡単操作と直感的UIにより、誰でも簡単に運用できることをコンセプトとしているとともに、参加者側も特別なIT・デジタルリテラシー、機器操作をほとんど意識せず、「装着したらすぐ体験」というスムーズな流れが実現します。
現場との調整負担
研修用VRコンテンツが現場の最新の実作業と合っていないと「使えない」と判断され、使われなくなります。
OneXRは、将来的にはCMSを併用して現場の最新のデータ・情報との接続、共有をはかることで解決していくというコンセプトがあります。
ハードウェア面のハードル
特にあげられるのが、機器のメンテナンス・運搬のしづらさです。
よく見掛ける、モーションベースといった大型筐体等を併用した「危険体感型VRシステム」とは違って、主にはVRゴーグルとノートPCの機器構成で運用できることもあり、出張研修でも便利な“持ち運びに使える旅行用キャリーケースで済む”ことがメリットです。
コンテンツ制作コストと時間の負担
現場設備や作業手順をVR化するには3Dモデリングが必要ですが、CADデータの加工や新規モデリングは高コスト・長納期になりがちです。
最近はフォトグラメトリや3D Gaussian Splattingのような新しい3D生成技術でコンテンツ制作コストが下がりつつあり、この壁を突破できる兆しも出てます。
関連記事 フォトグラメトリとは?作成方法とメジャーなソフト9選
まとめ ‐VR研修の“スタンダード”を目指して
VR普及が停滞する主な理由とXRデバイス一括管理ツール『OneXR』による解決策は以下となります。
課題 | OneXRの機能・利点 |
導入後の運用負担・煩雑さ | 講師による「一括起動・終了」や「視点モニタリング」で進行が
スムーズに |
「使いづらい」「運用が大変」 | 簡単操作と直感的UIにより、現場負荷を大幅軽減 |
効果が見えづらいROIへの不安 | リアルタイム録画・振り返り機能で教育効果を可視化し、成果の
定量化を支援 |
コンテンツ更新や運用管理の非効率 | CMS/LMS機能やトリガー機能(今後対応予定)により、研修
運用を段階的に効率化 |
2025年7月の「XR総合展」で公開したこの管理ツールは、現場ニーズに真正面から応えてみようと、VR研修が抱えていた“壁”を次々と解消してみる設計思想があります。
導入によって、VR研修が「高コスト・運用難・効果不透明」ではなく、「スマート・効率的・効果が見える新しい教育体験」へと変わることを期待しています。
最後に、VR普及が停滞する主な理由とXRデバイス一括管理ツール『OneXR』による解決策は以下となります。