2025年10月、ChatGPTの開発元であるOpenAIが、新たなAI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas(チャットジーピーティー・アトラス)」を発表し、大きな話題を呼んでいます。
AI機能付きブラウザと、一体何が違うのか疑問に持っているのではないのでしょうか。
この記事では、ChatGPT Atlasの注目すべき機能から、無料版と有料版の違い、具体的な活用例まで、最新情報を分かりやすく解説します。
ChatGPT Atlasとは
ChatGPT Atlasは、OpenAIから2025年10月21日に発表された新しいWebブラウザです。ChatGPTが搭載されている新しいブラウザで、ChatGPTを開かずとも、ホーム画面からチャット形式で「今、知りたい情報」が知れます。
従来のWebブラウザはAI機能のアドオンであるのに対し、ChatGPT AtlasはすでにChatGPTを搭載しているブラウザです。
Webの検索、閲覧、ページ上の操作などを、AIとの対話を通じて行える仕組みになっています。
2025年10月現在、macOS版が先行リリースされており、Windows版やモバイル版は順次提供予定と発表されています。
ChatGPT Atlasの機能
ChatGPT Atlasには、以下のような主要機能が搭載されています。
- AIチャットサイドバー
- AI統合検索
- 基本的なブラウザ機能とインポート機能
- パーソナライズされたメモリ機能
- エージェントモード
詳しく解説していきます。
AIチャットサイドバー
ブラウザのサイドバーにChatGPTのインターフェースが常時表示されます。
これにより、タブを切り替えることなく、現在閲覧しているWebページの内容について「この記事を3行で要約して」「重要なポイントを箇条書きにして」といった指示や質問を直接行うことができます。
AI統合検索
従来のアドレスや単語を入れる検索バーがChatGPTへの入力欄としても機能します。
単なるキーワード検索だけでなく、会話のような自然な文章での質問や指示を出すことができます。AIがWeb上の情報を検索・整理して回答を生成します。
基本的なブラウザ機能とインポート機能
一般的なWebブラウザに搭載されている、タブ管理、ブックマーク、閲覧履歴、パスワード管理といった標準的なブラウザ機能も備えています。
加えて、現在使っている既存のブラウザからブックマークや保存済みパスワード、閲覧履歴を引き継ぐためのインポート機能も搭載されています。
パーソナライズされたメモリ機能
ユーザーの過去の閲覧履歴やチャットでのやり取りを記憶し、文脈を理解する機能です。
これにより、以前の検索内容や会話を踏まえた、よりパーソナライズされた検索結果や回答の提案を行います。
この機能は、設定で切り替えが可能です。
エージェントモード
ChatGPT Atlasの最大の特徴である機能がエージェントモードです。
Web上の操作を自動化するこの機能は、ユーザーが指示を出すと、AIがユーザーに代わってWebサイト上での一連の操作(クリック、フォームへの入力、ページ遷移など)を自動で実行する機能です。
この機能は主に有料プラン向けに提供されており、詳細はこの後詳しく解説します。
ChatGPT Atlasの料金プラン
ChatGPT Atlasのブラウザ利用自体に追加料金はかかりません。AIサイドバーやAI統合検索機能は、無料でも利用することができます。
ユーザーが現在契約しているChatGPTのアカウントプランによって決定されます。Atlasの利用は既存のChatGPTのプラン体系に準拠しており、主なプランと利用できる機能の関係は以下の通りです。
| プラン名 | 料金(米ドル) | ChatGPT Atlasで利用できる主な機能 |
| 無料 | $0/月 | ・基本機能 ・GPT-5利用(上限あり) ・メモリ機能 |
| Plus | $20/月 | ・エージェントモード ・最新、高性能AIモデルの優先利用 ・メッセージ上限の緩和 |
| Pro | $200/月 | Plusプランの全機能に加え
・さらに緩和されたメッセージ上限 |
| Business | $25/月 | Proプランの全機能に加え
・組織での利用に適した管理機能 |
詳細は、ChatGPTの料金プランから確認ができます。
ChatGPT Atlasの無料版と有料版の違い
ChatGPT Atlasは無料でも基本機能は使え、これまでのブラウザよりも効率的な情報収集が可能です。
しかし、Plusプラン以上の有料版との間には、特に業務での活用を考えた場合に違いがあります。
無料版と有料版の違いは、主に以下の2点です。
- Web操作を自動化する「エージェントモード」の利用可否
- 利用できるAIモデルの性能と、メッセージの上限
続くセクションで、これらの具体的な違いについて詳しく解説します。
エージェントモード
Plusプラン以上の有料プランのユーザー向けに、2025年10月現在は、「プレビュー機能」としてエージェントモードが提供されています。
AIによる「Web操作の自動化」
エージェントモードとは、AIに自然言語で指示を出すと、ユーザーに代わってWebサイト上の一連の操作(クリック、フォーム入力、ページ遷移など)を自動で実行してくれる機能です。
従来のAIアシスタントが「情報を見つけて要約する」といったリサーチ支援が中心だったのに対し、エージェントモードは「実際にタスクを実行する」ことができます。
例えば、以下のような作業をAIに指示して代行させることが可能になります。
- 特定のWebフォームへの情報入力
- ECサイトでの商品検索やショッピングカートへの追加
- 複数のページをまたいだ情報収集と整理
この機能により、これまで人間が手動で行っていた面倒な定型作業や反復作業をAIに任せられるようになります。これは、ブラウザ単体で業務自動化に近いことを実現できるポテンシャルを秘めており、有料版を選ぶ最大の理由と言えるでしょう。
メッセージの上限
無料版と有料版の違いのもう一つの違いは、AIへの指示回数の上限です。
無料版と比較して、高性能モデルを利用できるメッセージの上限が大幅に緩和されます。
特に「エージェントモード」で複雑な自動操作を指示する場合、AIは内部的に多くの思考や操作などのステップを実行するため、メッセージの消費が多くなることが想定されます。
業務で本格的に活用する場合、回数制限を気にせずに使える有料版のメリットは非常に大きいと言えます。
ChatGPT Atlasでの活用例
ChatGPT Atlasを導入することで、従来のブラウザ体験がどのように変わるのか、AIと統合されたブラウザならではの具体的な活用例を3つご紹介します。
WebページやPDFの要約
Webサイトや開いているPDFの内容について、AIサイドバーを使って即座に要約や分析が可能です。
別タブでChatGPTを開き、テキストをコピー&ペーストする必要がなく、閲覧と分析がシームレスに行えるため、情報収集の時間が短縮されることが見込まれます。
複数サイトにまたがる情報の横断と比較
AI統合検索や閲覧履歴が記憶されるメモリ機能を使い、複数のWebサイトの情報を横断して比較・整理させることができます。
これまで人間が複数のタブを見比べながら手動で行っていた比較検討作業を、AIが代行してくれます。
エージェントモードによるタスク自動化
最大の特徴である「エージェントモード」を使い、Web上の定型作業をAIに代行させます。
例えば、社内の経費精算システムを開き、「この領収書の画像データを読み取って、日付、金額、摘要欄に入力して」と指示します。AIがフォームを認識し、必要な情報を自動で入力します。
実行前の自身の確認は必要となりますが、情報検索やアイディア出しに限らず、実際の作業を実行することができ、反復タスクの効率化が期待できます。
ChatGPT Atlasの無料版を使ってみた
実際にChatGPT Atlasをインストールし、無料版を使ってみました。画像付きで解説していきます。
インストール後はもともと使っていたGoogle Chromeからインポートしたため、ブックマークが自動で表示されました。

ChatGPT Atlasのホーム画面
サイドバーを開くと、これまでのChatGPTの利用履歴が表示されます。これまでの利用を継続したい場合も、そのままチャットを再開することができます。

記事の要約
記事の要約はどのように表示されるのか見ていきましょう。右側のチャットバーで記事を要約するように指示をしていきます。
特に追加の要望を出さずに、要約だけ指示すると重要なポイントから要約してくれます。

続いて、Web上に公開されているPDFファイルの要約もできるのか試してみました。要約もできましたが、探したいページを特定することは難しいみたいです。
しかし大量の調査レポートをポイントだけ押さえたいなどの目的で読むには問題なさそうです。

翻訳機能
海外サイトの翻訳も可能でした。ブラウザで自動で翻訳されるため今使っているブラウザでも事足りますが、ChatGPT Atlasならここから深堀りしたい場合も1画面で解決できます。

まとめ
OpenAIが新たにリリースしたAI搭載ブラウザ「ChatGPT Atlas」について、その概要から主な機能、料金プラン、そして具体的な活用例までを解説しました。
ChatGPT Atlasは、単にAIアシスタントを「追加」した従来のブラウザとは異なり、AIとの対話や実行をブラウザ体験の中心に据えた新しいツールです。
AIが「検索」を手伝う時代から、AIが「作業」を実行する時代へと移り変わる可能性を示すChatGPT Atlas。まずは無料版をインストールし、AIが統合された新しいブラウザ体験を試してみてはいかがでしょうか。













