生体認証とは?8つの種類と導入メリットを解説

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生体認証はスマートフォンのロック解除や自宅の鍵の代用としてなど、多くのシーンで活用されており、私達の生活で欠かせないものとなっています。その利便性の高さや、安全面の向上に加え、企業でも導入のハードルは低くなっています。

この記事では生体認証の仕組みや、種類、課題などを解説していきます。生体認証を導入するにあたり、役立てる情報となりますのでぜひ最後までご覧ください。

生体認証とは

生体認証とは身体の特徴の一部で個人を特定し、認証するものです。個人によって異なる指紋、顔、声、静脈、虹彩などを事前にデータとして保有し、認証時に照合して本人の特定をします。
身近なものだと、パスワードの代わりに指紋や顔のデータを登録して、スマートフォンのロックを解除するのも生体認証の一つです。

生体認証のメリット

生体認証にはいくつかのメリットがあります。

利便性の高さ

パスワードのように記憶したり、物理的な鍵やICカードを持ち歩く必要がありません。パスワードは単純なものを設定する人が多いのが現状のため、漏洩のリスクが高くなります。また、物理的な鍵やICカードだと、紛失したり持ち忘れたりしてしまうリスクがあります。一方、生体認証は盗難や記憶忘れを心配することもなく、利用が可能です。
また認証スピードも早く、パスワード入力の操作の時間が不要です。

高いセキュリティ

生体認証は、指紋、虹彩、顔認識、声紋などのユニークな生体の特徴を使用するため、従来の物理的な鍵、パスワードやPINコードよりも高いセキュリティを提供します。生体認証情報は模倣が難しいため、不正アクセスのリスクは低いです。
また他の認証要素と組み合わせて使用​​できます。 同様に、指紋認証とPINコードを組み合わせることで、より高いセキュリティを確保できます。

生体認証の種類とその利用シーン

生体認証には主に8種類ありますので、それぞれ解説していきます。

指紋認証

指紋認証では、指紋の模様、指の形状や凹凸を読み取り、個人を識別します。指紋は人によって大きく異なり、一生変化することがなく、他人の指紋が誤って認証されることはほぼありません。ただし指に付着している汚れや摩耗により指紋認証のセンサーでエラーになる可能性があります。指紋認証は、スマートフォンのロック解除や立ち入り禁止区域のドアロック解除などで使用されています。導入は読み取り用の小型装置のため、安価で進められますが、認識精度に影響があります。

指静脈認証

指静脈認証は、指の第二関節までの指の表面の静脈パターンを認証する方法です。近赤外線を指に当てて透過させて静脈パターンを読み取り、個人認証ができます。静脈は赤外線を透過しづらい特性を持っていて、血液の流れによって静脈パターンが変化するので、そのパターンが照合できるのです。指静脈は指の内部にあるため、外部からの観察は難しく、高度なセキュリティを担保できます。代表的な利用例として、銀行ATMの本人確認が挙げられます。

顔認証

顔認証では、カメラを使って、顔の輪郭、目や鼻のパーツの配置の特徴を画像認識技術によって取り出し、個人を識別し認証します。様々な特徴を捉えるため、なりすますことは困難です。さらに、3Dカメラを使用すると、立体的な顔の形状の認識が可能になり、より高い精度での認識ができます。代表的な利用例として、スマートフォンのロック解除「Face ID」があります。

声紋(音声)認証

声紋認証、または音声認証では、人間の声の周波数の分布や、音程、発音、発声の速さなどの特徴をマイクで読み取り、その人を認証します。人間の声は口や喉の形状によって異なるため、個人特有のものとなります。スマートフォンやタブレットなど、汎用的なマイクで利用が可能です。主に電話業務が多いテレフォンバンキングやコールセンターでの本人確認で使われています。

虹彩認証

虹彩認証では、人間の虹彩、つまり瞳の瞳孔の周りにあるドーナツ状の模様を比較して本人を認証します。虹彩は、人により模様は異なり一生変化しないものです。さらに右目と左目でも虹彩は異なり、遺伝の影響がほとんどなく、一卵性双生児でも識別できます。
虹彩認証は、空港の入出国ゲートで利用されています。

耳介認証

耳介認証は、カメラを使用して、耳の形、大きさ、位置を特定し、本人を認証します。老化により変化する目や鼻と違い、ほとんど変化がないため比較的精度の高い認証方法です。そのため、犯罪捜査でよく利用されています。

DNA認証

DNA認証は、人により異なる特性があるDNAの塩基配列を用いた認証方法です。DNAサンプルとして唾液、血液、毛髪が収集され、特定のDNAパターンで解析し、保存されているデータと照合して認証が行われます。DNA認証はドラマや映画でよく見かけますが、犯罪捜査で実際に利用されています。

行動的生体認証

行動的生体認証では、人の歩き方や癖、習慣などの行動に関わる特徴を利用して識別し、個人を認証します。多数の行動的特徴を利用しており、カメラの画像だけではなく、キーボードやマウス、タッチスクリーンの操作、筆跡も認証データとして利用されます。行動的生体認証はまだ普及率が低いですが、世界では実証実験を進めている企業もあります。

生体認証の導入で期待できる効果

通常のパスワードや物理的な鍵にはないメリットを持つ生体認証ですが、これを導入することで認証そのもの以外に得られる効果があります。ここでは2つの効果を紹介します。

業務管理の効率化や時間短縮

企業では、生体認証を使用して従業員の勤務時間を記録したり、アクセスを管理したりすることができます。これにより業務効率が向上や、不正アクセスを防ぐことができます。またパソコンやスマートフォンのロック解除で生体認証を行うことにより、パスワードを手入力を行う必要がなく、時間短縮も可能です。

複数の組み合わせでセキュリティ強化

生体認証を複数組み合わせたり、ID・パスワードと生体認証を組み合わせて利用することで、より高いセキュリティ対策を行うことができます。例えば入退室の解錠や管理は、主にICカードの利用が多く用いられていますが、ICカードと虹彩認証を組み合わせることにより、セキュリティ強化が期待できます。

生体認証の課題

生体認証は前提として、完璧なものではないという点を理解する必要があります。IDやパスワードと比較して、100%の精度にすることが難しいのです。では、生体認証を使う上で主な課題として3つを紹介していきます。

生体情報の変化

人間の成長や老化により身体的特徴は変化します。一生変化しないものもありますが、顔や声は成長や老化で変化していく可能性もあります。同一人物でも機械で認証されなくなった後の対策を考えておく必要があります。

なりすましの危険

盗み見が出来てしまう行動的特徴の認証方法は、なりすましの危険があります。また双子も認証されてしまう可能性もあり、認証時や行動情報の収集には保管のプライバシーは厳重にする必要があります。

漏洩のリスク

模倣できるもの以外にも、生体情報のデータが盗難の被害にあうと悪用されることがあります。IDやパスワードとは異なり、生体情報は変更することが出来ません。生体情報の管理は暗号化するなど、厳重なセキュリティのもと、管理を行う必要があります。

生体認証の導入前に知っておきたいポイント

生体認証を導入する場合、押さえておくべきポイントを2つ紹介していきます。

生体情報のバックアップを必ず取得する

生体認証に使用する生体情報のバックアップを必ず取っておくことがおすすめです。成長や老化により生体情報は変化するため、複数の生体情報を登録しておくと本人認証の確率が上がります。例えば指紋認証であれば、指紋情報として複数の指の指紋登録をしておくと他の指でも認証できて有効的です。

再現・盗用されにくい認証方法の選択

求められるセキュリティレベルによって、再現や盗用がされにくい認証方法の選択も考慮しておくと良いでしょう。指紋や音声はスマートフォンから盗用が比較的容易にできてしまうため、高いセキュリティを要する場合は、指静脈認証や虹彩認証など、身体の内部にある生体情報を選択することがお勧めです。

まとめ

生体認証と言っても様々な種類があり、技術の発展により精度も高くなってきています。利便性が向上し、メリットも多い一方で、いくつかの課題もあるので、それらを認識した上で対策を考える必要があります。
自分の身体の一部が本人認証の鍵となる、映画の中のような世界観も現実になりつつあります。今後のますますの普及に向け、最新技術情報や導入事例を確認しつつ、より安全に利用するための利用方法に注意を払っていくと良いでしょう。