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平時のドローン活用が災害時の「地域の目」に――福井県での遠隔状況確認事例

1 時間前
読了時間: 10分

災害が発生したとき、道路やその周辺がどのような状態にあるのか。


現地の状況を早期に把握することは、その後の対応を検討するための重要な出発点です。


一方、状況を確認するために現地へ向かうにも、移動経路の状態が分からないことがあります。山間部や海岸沿いなど、地形によって確認できる範囲が限られる場所もあります。


こうした場面で情報収集の手段となるのが、現地に設置したドローンの遠隔運用です。


2026年8月30日、テックファームは豪雨に伴う福井県からの緊急の撮影依頼を受け、現地に設置していたドローンで周辺の県道を確認しました。さらに後日、福井市からの依頼により林道の状況確認も実施しています。


今回活用した機材は、小学校での教育プログラムに向けて設置していたものでした。


教育プログラムのレポートはこちら:


本記事では、二つの状況確認事例を通じて、日常の目的で整えたドローンの運用環境が災害時にも役立つこと、そして、その活用を支える準備や運用のポイントをご紹介します。



教育プログラムのために設置した機材を、災害時にも活用


テックファームでは、福井市立越廼小学校での遠隔フライトを活用した教育プログラムに向け、水仙ドームにドローンポート「DJI Dock 3」を設置していました。


ドローンポートとは、機体の離着陸や充電などを行う拠点となる設備です。現地の機材と遠隔の操縦者を通信でつなぐことで、離れた場所から飛行を操作し、機体のカメラが捉えた映像を確認できます。


設置した機材では、教育プログラムの準備とともに、地域でのさまざまな活用を見据えた飛行も行っていました。機材を置くだけでなく、実際に周辺を飛行させ、遠隔で状況を確認するための環境と経験を整えていたということです。


その中で8月30日の豪雨が発生し、機材の設置をご存じだった福井県から、周辺状況の撮影依頼をいただきました。


現地にはすでに機材があり、遠隔で運用する準備も進めていたため、当社は新たに機材を搬送することなく、周辺の状況確認に着手できました。教育をきっかけに整えた環境が、災害時の情報収集にも活用された事例です。


8月30日に撮影した海岸沿いの県道。現地に設置していたドローンを遠隔操作し、道路と周辺の状況を確認しました。
8月30日に撮影した海岸沿いの県道。現地に設置していたドローンを遠隔操作し、道路と周辺の状況を確認しました。


県道を上空から確認し、車両の通行状況を飛行中に速報



路面に水が溜まっている箇所を確認


当日の撮影では、道路の状況を把握するため、周辺の県道を可能な範囲で映像から確認していきました。

災害時に道路を撮影する際は、道路がどこまで見えているか、路面を覆うものがないか、周囲から水や土砂が流れ込んでいないかなど、状況を具体的に捉える必要があります。今回も県道に沿って確認を進める中で、路面に水が溜まっている箇所を見つけました。


写真には、道路脇に広がる水と、路面の一部が水で覆われている状態が写っています。ただし、上空から見た水の広がりだけで、その深さや水面下の路面の状態を判断することはできません。


周囲を確認していたところ、道路を走行する車両を見つけました。そこで、水が溜まっている箇所を通過するタイミングに合わせて写真を撮影し、通行への影響を判断するための材料を記録しました。


県道の一部で、路面と道路脇に水が溜まっている状況を確認しました。
県道の一部で、路面と道路脇に水が溜まっている状況を確認しました。


車両が進む様子を、連続写真でも記録


撮影した11時30分20秒、22秒、24秒の連続写真には、車両が水しぶきを上げながら進む様子が記録されています。車両の位置の変化を捉えることで、撮影時点の当該区間で実際に通行があったことが分かる写真になっています。


水が溜まっているという情報に、車両が通行しているという情報が加わったことで、現地の状況をより具体的に伝えられるようになりました。


水が溜まった区間を車両が通行する様子。当時の道路状況を把握する判断材料となりました。
水が溜まった区間を車両が通行する様子。当時の道路状況を把握する判断材料となりました。

当社の操縦担当者は、この通行状況を確認した段階で、飛行終了を待たずに福井県へ速報しました。その後、撮影した写真も送付しています。


ここで伝えたのは、撮影時点で映像に写った範囲の状況です。道路全線の通行可否や安全性を判定したものではありません。確認できた場所と内容を具体的に伝えることで、状況把握のための情報として共有しました。



撮影と並行して、必要な情報を届ける


今回の対応で意識したのは、撮影したデータを渡すことに加え、確認できた情報を速やかに届けることでした。

遠隔からリアルタイムで映像を見られるため、気になる箇所を継続して確認し、その場で得られた情報を共有できます。今回も、車両の通行が確認できた時点で速報し、写真の送付によって状況を補足しました。

何を撮影するか、映像から何が分かったか、どの段階で伝えるか。ドローンによる状況確認では、こうした情報収集と共有の進め方も、機材の運用ノウハウと同じように重要になります。



後日の林道確認では、2か所の土砂崩れを把握


県道の確認に続き、8月31日には福井市から林道の状況確認の依頼を受け、9月3日に飛行を実施しました。


当初依頼のあった林道は、設置場所からの距離と当日の気象条件により確認できませんでした。一方、その手前の林道については撮影ができ、2か所で土砂崩れを確認しました。


そのうち1か所では、土砂や岩、木片などが路面を覆い、道路を塞いでいました。前後の道路と併せて撮影することで、被害が生じている位置とその様子を把握できました。


9月3日の林道確認で撮影。カーブ付近で土砂が道路を塞いでいる状況を確認しました。
9月3日の林道確認で撮影。カーブ付近で土砂が道路を塞いでいる状況を確認しました。
別の箇所でも、斜面から崩れた土砂や岩が路面に到達している様子を確認しました。
別の箇所でも、斜面から崩れた土砂や岩が路面に到達している様子を確認しました。

災害対応では、確認が必要な場所を同時にすべて調べられるとは限りません。現地へ向かうまでに時間がかかる場所や、進入する前に状況を把握しておきたい場所もあります。


そうした場所を遠隔から確認できれば、現地への移動を伴わずに、被害の有無や見えている範囲の状態を把握できます。今回も、道路を塞ぐ土砂があるという具体的な状況を確認し、今後の現地確認や復旧の検討に向けた情報を得ることができました。


一方で、依頼されたすべての区間を撮影できたわけではありません。ドローンの運用は、距離、地形、通信、気象などの条件に左右されます。確認できた範囲とできなかった範囲を明確にすることも、情報を利用する側にとって大切な要素です。



遠隔での状況確認を支える三つの準備


今回の対応を支えたのは、現地に機材があったことと、その機材を運用できる準備が整っていたことです。地域で継続的に活用するには、設備と運用の両方を考える必要があります。



1.現地への移動を伴わずに確認を始められる環境


ドローンを撮影のたびに現地へ持ち込む場合、操縦者の移動や機材の搬送、現地での準備が必要です。

あらかじめ機材を設置し、遠隔で操作できる環境を整えておけば、その工程を減らせます。今回も、現地に設置済みの機材を使って状況確認を行いました。


ただし、設置場所から確認したい対象が見られるか、通信が確保できるかなどは、地域ごとに異なります。導入時には、利用目的と周辺環境を踏まえた設置場所の検討が必要です。



2.用途を見据えた飛行の準備と運用経験


当社は今回、災害時の利用を想定した飛行申請を含め、事前の準備を進めていました。また、現地での飛行を通じて、周辺の地形や通信状況を確認していました。


用途が変われば、撮影したい対象や飛行範囲も変わります。日常の利用に加え、災害時にどのような確認を行いたいかを考えておくことで、必要な準備を具体化できます。


こうした準備と実際の飛行経験が、依頼内容に応じた運用を支えます。



3.映像を確認し、関係者へ共有する運用


撮影した映像を業務に役立てるには、誰が何を確認し、どの情報を関係者へ伝えるかを考えることも必要です。


今回の県道確認では、操縦担当者が映像を見ながら車両の通行を確認し、飛行中に速報しました。林道確認では、土砂崩れの状況に加えて、撮影できなかった区間があることも、実施範囲を理解するための情報になります。


映像を取得する仕組みと、取得した情報を共有する方法を合わせて整えることが、実際の業務で使えるドローン運用につながります。



日常の課題解決が、防災を支える基盤にもなる


今回、教育プログラムに向けて設置していた機材が、県道や林道の状況確認にも活用されました。一つの目的で整えた設備と運用経験を、別の場面でも生かすことができた事例です。


地域でドローンを活用するきっかけには、インフラ点検、鳥獣害対策、山林や河川の状況確認、教育など、さまざまなものがあります。まず日常の課題に対して利用目的を定め、実際に運用しながら、機材や通信の状態、撮影方法、情報の共有方法を確かめていくことができます。


その際に災害時の利用も視野に入れておけば、必要な場面で既存の設備や経験を活用する選択肢が広がります。


もちろん、どのような状況でも飛行できるわけではありません。それでも、地域に遠隔で確認できる手段があり、それを扱う人と運用経験があることは、災害時の情報収集を支える一つの基盤になります。


テックファームでは、こうした日常的なドローン活用の積み重ねが、地域の防災を支える環境づくりにもつながると考えています。



テックファームが支援する、目的に合わせたドローン活用


ドローンの導入を検討するとき、最初から機種やシステムを決めておく必要はありません。まず整理したいのは、どこで、何を確認し、その情報をどの業務に役立てたいのかという点です。


テックファームでは、こうした活用目的の検討から、機材の選定・設置、運用方法の検討、必要なシステムやアプリケーションの開発まで、課題に合わせた支援を行っています。

検討すること

支援内容の例

活用目的・対象業務

現地確認の課題整理、撮影対象や必要な情報の検討

機材・設置環境

用途に応じた機材選定、設置場所や通信環境の検討

運用方法

飛行範囲や撮影方法、確認結果の共有方法の検討

システム・アプリケーション

映像や写真の分析・解析、結果の記録・蓄積、既存システムとの連携など、業務に必要な機能の開発

たとえば、撮影した写真を関係者が確認できる仕組みや、過去の記録と比較できる仕組みがあれば、継続的な点検や状況把握にも活用しやすくなります。必要な機能は、利用する方や業務の進め方に合わせて検討します。


今回のような現場での経験を、次の設置や運用、システムづくりに生かし、地域の目的に合った活用を支援していきます。


「現地確認の負担を減らしたい」

「設置したドローンを複数の業務で活用したい」

「日常業務での利用と災害時の備えを合わせて考えたい」。


そのような課題や活用について検討される際は、具体的な導入計画が固まる前の段階から、ぜひテックファームへご相談ください。



テックファームについて


テックファームはソフトウェア開発や過去のドローン飛行の実績を踏まえて、ドローン飛行における飛行運用(業務委託対応)や関係ソフトウェア開発などを行っております。


また、世界最小クラスの狭小空間で活躍するLiberaware社の「IBIS2」の販売も行っております。



空のドローン飛行実績例について


  • 獣害対策 (遠隔制御含む)

  • 土砂災害監視 (遠隔制御含む)

  • 豪雨災害監視 (遠隔制御含む)

  • のり面監視 (遠隔制御含む)

  • アクティビティ活用 (遠隔制御含む)

  • 牧場活用 (遠隔制御含む)

  • 農場活用

  • TV番組向け空撮


以下のページにて実績内容を公開しております。



狭小空間で活躍するLiberaware社の「IBIS2」について

弊社は、Liberaware社のゴールドパートナーです。

以下のページにて商品紹介を行っております。




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