スクロール様 ECサイトでの3D新技術を用いたCX向上

先端技術の3D Gaussian Splattingを国内で先駆けて実用

株式会社スクロール様は、全国の生協宅配事業の全国の組合員様に毎週カタログをお届けし、衣料品や服飾雑貨などの商品を提供する通信販売を基幹事業とする会社です。その媒体の一つとして、組合員様向けのクローズドECサイトも運営されています。

今回テックファームは、本サイトに3Dモデルの新技術を活用して、全身のコーディネートを再現しました。これまではフォトグラメトリという技術を用いてアイテム単体の撮影を行い、3Dモデルを生成していました。ユーザーのアイテムに対するイメージをより膨らませるため、アイテム単体ではなく、人間が着用した状態のトータルコーディネートを再現することにしました。
また、従来は撮影時に着用アイテムをモデルにフィットさせるような調整をすることが一般的でしたが、今回は360度の方面から撮影を行うため、加工も必要なく、Mサイズのアイテムを寸法に適合するモデルに着用させ、リアルな着用感を再現しています。これによりユーザーは実物とのイメージの乖離を軽減できるため、CX向上による購買促進が期待できます。

フォトグラメトリの3Dモデル生成技術の課題

3Dモデル作成のための撮影にあたり、従来のフォトグラメトリは、対象物の全ての面を撮影する必要があり、撮影枚数が多くなっていました。また、不得意な対象物(透明、反射、複雑な形状など)も多く、髪の毛や人の表情など細部を再現するためには、解像度の高いカメラを複数台設置する必要があります。他にも、ブラウザではデータが重いなどの多くの課題があり、アイテム単体での3Dモデル生成に留まっていました。

テックファームのソリューション

スクロール様より「人間に着せたコーディネートで表現したい」というご要望をいただき、フォトグラメトリの課題を払拭させる必要がありました。様々な検証を経て最終的に『3D Gaussian Splatting(ガウシアンスプラッティング)』という新しい技術を採用しました。

この技術は、複数のアングルから撮影された画像データから3D空間を学習し、リアルタイムにレンダリングし3Dシーンを生成​する技術です。フォトグラメトリと比べて、撮影の対象物の制約が少ないため、トータルコーディネートでの3Dモデル生成を実現することができました。当社では、360度に設置した50台のカメラで一括撮影を行えるようにしました。
それにより人の表情、着用アイテムのプリーツ(折り目)、透け感のある素材など、細部まで再現でき、角度や体の部位に触れている部分によって変わる色合いも細かく360度再現されています。写真だけだと分かりづらい部分も、3D Gaussian Splattingを用いることで、より実物のイメージに近いものを提供できるようになりました。

撮影時間の大幅な短縮で業務効率化を実現

撮影枚数は以前のフォトグラメトリの技術では130枚〜300枚程度でしたが、今回は50台のカメラで一括撮影をし、50枚のデータで3Dモデルを生成しています。 撮影時間も、以前から比較すると3時間から5~10分に短縮され、大幅な短縮を実現しました。

また、お客様のサイトでの3Dモデルの表示と操作できるよう、3D Gaussian Splattingを前提としたテックファーム独自のビュワー(Viewer)を開発しました。ユーザーにとって、ストレスを感じることなく、よりリアルな購買体験を楽しんでいただけるようになりました。

お客様の声

生協の宅配事業では、紙カタログでの販売からネットでの販売への転換期にあり、私たちスクロールは、その中でアパレルという商材を通して、組合員様にネットを利用する価値を如何にしてご提供できるかということを日々模索しております。

テックファーム様に3Dのさらなる進化を伺い、それを利用してインターネットの世界を体験してもらう方法はないかと考えました。生協では紙カタログ紙面をそのまま利用し画面をタッチしながら購入する「WEBカタログ」は既にあります。それをヒントに、テックファーム様の3D新技術を活用し、ネットユーザーに向けたコーディネートのご提案や、ご要望の多かった「リアルな着用感が知りたい」という声を形にする手段として「3D WEBカタログ」を開発いたしました。
今回の3D技術は、このようなアパレル販売での活用はおそらくこれまでにないのではとの情報もいただき、スクロールが独自に提供できる新たな価値観の創出につながるというところも決め手となりました。組合員様のご要望に応えるため、実商品のMサイズをモデルさんに着用いただく設計にしたのも大きなポイントであり、評価されています。
テックファーム様にはこれまでにも商品単独の3D化などを実現していただいていますので、初めての取組みでありながら安心してお任せすることができました。3D用の撮影は通常のカタログの撮影とは異なりモデルのポージングや商品の角度に注意しなければならないなど、実際に進行してみて初めて気づかされるポイントも多かったのですが、設営からデータ生成までこちらの要望を細かくヒアリングしていただきスムーズに進めることができたいへん感謝しております。

3D Gaussian Splattingで生成した3Dモデルを体験

テックファーム内で撮影を行ったサンプルイメージです。自由に操作してみてください。
◆操作方法
・写真の上で、ドラッグで回転、ホイール操作で拡縮
・アイテム名をクリック
・詳細ページにアクセスできます。

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