パナソニック株式会社様/ユーザー視点のPoC検証計画

課題策定プロセスから検証設計まで支援

パナソニック株式会社様にて試験運用中の介護事業者向けサービスへの追加機能に対して、テックファームはサービス価値(ユーザー課題の解消)を検証するためのPoC(Proof of Concept:概念実証)計画支援をさせていただきました。

PoCとはコンセプトの検証であり、機能が実現するかの検証(フィジビリティスタディ)とは異なります。PoCを実施する際に、「どのような価値をユーザー(顧客)に提供するのか」をはっきりさせないままPoCを進めてしまうと、一部の機能の動作検証となり、全体サービスでは、ユーザーにとって魅力のない「使われないサービス」に陥る可能性があります。

そこで、プロトタイプアプリ開発に加えて、「ユーザー視点を軸としたPoC検証のゴール設定と検証ポイント策定」を行う提案をしました。

PoC検証計画のフロー

検証計画は、以下の画像の順序で進めていきました。
PoC検証計画のフロー
PoC検証計画のフロー

よいサービス設計には複数の視点が必要

まず、上記フローの「プロトタイプアプリ開発に関わることと価値」についてです。

サービス価値を決める際には、立場の違う複数の関係者が集まり、各々が主体的に発言し共同で作り上げることが重要です。1つの立場のみでサービス価値を考えてしまうと、別の立場から見たときに意味のないものになってしまうことが少なくありません。

関係者間で業務の内容や視点を共有することは、無駄の削除や効率化につながり、「よいサービス」を育てる土壌づくりのようなものです。

今回のプロジェクトは、パナソニック様や介護関連業務に関わってこられた方々でチームを組みました。チームでパナソニック様のサービスの価値や、そのサービスを受けるユーザー(介護施設職員)にとっての価値を検討することで、チームの気付きが深まりました。各タスクの深掘りと選択をしながら進め、合意形成にいたりました。最大11名参加、1回につき3時間前後、全5回、15営業日ほどで検証計画を行いました。

サービスの思想、生み出される価値の言語化

検証計画に沿って、次に現在のビジネスモデルの整理を実施いたしました。整理を行ったことで、各関係者の関係性が明確になったと同時に、それぞれの関係者が課題を把握しきれていないことが判明しました。

このまま関係者の課題を明らかにせず、ユーザー層(介護施設職員)の悩みごとや業務負荷が検証チームに共有されないまま開発を進めると、ユーザー層の悩みを解決できず、結局使われなくなるおそれがあります。

ユーザー(介護施設職員)、管理者、企業体、社会全体レベルで価値の構造や循環・価値同士の関係性を可視化し、サービス価値の関係性を整理しました。

サービス価値の関係性整理 ユーザーが価値を獲得するためにはどのようなフローを辿る必要があるのかをまとめています。
サービス価値の関係性整理

続いて、サービスの対象となるユーザー(介護施設職員)の現状の悩みと原因を可視化し、それを元にサービスで解決できる本質的な価値が何なのか、チームメンバー同士で確認します。そして仮説を立てチーム全員が「ユーザー(介護施設職員)にとっての価値は何か」の目線を合わせることで検証の柱が設定でき、検証内容を探るためのスタートラインに立つことができました。

業務フローの理解と学びを得たい箇所の特定、調べたい項目の棚卸

次にユーザー検証に関わることを議論しました。

最初に、ユーザー(介護施設職員)が日々接しているタスクを理解することから着手しました。タスクを理解した上で、現在の業務フローの課題を明らかにします。また構想中の業務フローと照らし合わせをすることで、課題の重要度の順位付けを行います。

カスタマージャーニーでの検証を実施時のワークフロー 現在困っていることと、理想形をつきあわせることで、課題の全量を洗い出し、クリティカルな項目を選び出します。
現在困っていることと(As-Is)、理想形(To-Be)をつきあわせることで、
課題の全量を洗い出し、クリティカルな項目を選択

現在の業務フローで何が問題なのかを明らかにし、また構想中の業務フローを照らし合わせすることで、今回の検証で根幹となる箇所を特定し、その後の課題の重要度の取捨選択および順位付けをした結果、チームメンバーが判断基準を策定するフェーズに移れるようになりました。

ユーザー(介護施設職員)がサービスや製品を利用する際の、さまざまなタッチポイントや行動、思考などを、時系列に沿って一枚の図に視覚化することで、それまでに見えていなかった課題を発見しユーザー体験を俯瞰することができます。

PoCの判断基準策定完了とユーザー起点の思考法をチームメンバーに共有

最後は、評価にかかることを決めていきます。

検証項目と、その結果を判断する基準(例えば、どのような結果が出たら何点を付けるかなどの採点方式)や、検証の判断ポイントの策定を行い、それらを確認するためのユーザー検証で実施する大まかなフローを作成しました。

評価結果の判断基準の策定
評価結果の判断基準の策定

ユーザーから求められるサービスを考える上で、「共通の価値観・検証をするときの軸になる提供価値の明文化」「価値を感じる箇所の重要度調査と順位付け」「評価に対する判断基準」は欠かせない必要材料です。ユーザー価値をしっかりと定めてからPoCのプロトタイプアプリ開発に向かう前の土台を固めることで検証計画が完了しました。

これによりプロジェクト関係者がサービスの価値を整理すること、ユーザー(介護施設職員)視点でサービス開発を捉えることの重要性を再認識してプロジェクトを進めることができました。

テックファームは、様々なお客様のご要望に回答するだけでなく、開発チームのマインドづくりやナレッジの整理をし、お客様のエンドユーザーの方も含めて、より高いサービスを提供していきます。

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